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社会不適合者が凄腕のバリスタになっていた件  作者: エスティ
第18章 包囲網編
445/500

445杯目「機能的な家」

 皐月の正面に跪くように腰かけ、ベッドに座る彼女を見上げた。


 まともに直視できないのか、皐月はやや斜めに顔を向け、チラチラと僕の顔を覗くように眼球を動かしている。こっちも皐月の豊満な膨らみが度々目に入ってくる。物凄い引力だ。


 こんなにも近くで見たのは初めてだ。やばい、僕まで緊張する。妖艶で見た者全てを振り返らせるクールビューティーな顔と体つき。今度は腰の括れにまで目が行ってしまう。


「皐月、今から言うことは絶対他の人には言わないでくれ」

「案ずるな。こう見えて口は堅い」

「……葉月グループは杉山グループとコーヒー業界の覇権争いをしてる」

「そんなことは知っている。コーヒーイベントでもプロアマ対決が注目されていたからな」

「そのプロアマ対決が問題だ。覇権を争うというのは、負けた方が破滅するという意味でもある」

「破滅というと?」


 優勝回数勝負の件を説明するが、皐月はあっさりと納得する。


 皐月はベッドに僕を座らせ、すぐ隣に陣取った。横から見る豊満な膨らみも良い眺めだ。灰色の薄いニット越しに自己主張する果実に目を奪われ、話どころではないと思った僕は前を向いた。


 急所を晒すよりもずっと緊張するのは気のせいだろうか。


 女性の部屋と言えば散らかっているイメージを持っていた。璃子の部屋なんて最たる例で、散らかり放題だ。他人にはまず見せない側面と言える。本当はめんどくさがりな性格が垣間見えるが、他人からは真面目な人であると評価されたい願望を持ち、隅から隅まで片づいている作業部屋とは対照的で、矛盾を抱えた乙女心を象徴した部屋だ。だが皐月の部屋は必要最低限の物しか置かれていない。ベッドは朝自動で起き上がりながら起こしてくれるハイテク機能付きで、ソファーとしても使える高級品だ。テーブルは立ち仕事にも座り仕事にも対応していて、パソコンはコンパクトで薄い形をしており、革で繋がっているキーボードを畳んで気軽に持ち歩きまでできる。


 古典的な家よりも、機能的な家を好むはずだ。


 これが、21世紀以降に生まれた現代人の生き方なのかと思うと、侘しいな。立花社長がため息を吐くのも分かる。文化の奥深さよりも、文明の利器を先に覚えてしまった結果だ。


「つまり話をまとめると、葉月グループと杉山グループは破滅を懸けた優勝回数勝負をしていて、2025年までに7種類のメジャー競技会が3回あって、合計21回の勝負で先に11勝した方の勝ちで、勝った方が相手のグループを吸収合併するというわけか」

「その通り。もし花音が優勝してくれなかったらと思うと――」

「ゾッとするな。これで4勝10敗か。来年は全勝しないと、未だ後継者が定まっていない上に役員が老人ばかりで、目先の利益ばかりを求めている杉山グループが今の日本経済の中心になりつつあるコーヒー業界の覇権を握れば、日本は沈没するだろうな。プロバリスタが輩出されなくなれば、国内のカフェも閉店していくのが目に見えてる。杉山社長はあんな経営者じゃなかった。今のような、目先の利益しか考えない人じゃなかったんだがな。何故ここまで短絡的になったのか、理由までは分からん」

「他人事とは思えんな」

「だが少しばかり軽率だな。相手は勝てる勝負しかしない勝負師だ。それに話を聞く限りだと、あず君はバリスタランドでも戦いがあるはずだ。中山道葉月は大丈夫なのか?」

「今のところはな。何かあったら神崎から連絡が来るはずだ」


 皐月が真っ先に心配したのは中山道葉月だった。


 いつも思うが、目の付け所が全く違う。いや、本来分かるべきものが分かるだけなのかもしれん。


 精神的な余裕がない時でも、真っ先に僕の心配ができるあたり、皐月は本当に優しい女性だ。


 結局、皐月は終始僕らの味方であった。


 杉山グループとの対決を繰り返す内に、人を疑うことが癖になってしまっていた。純粋な心で相手を見ようとしても、いつまた陥れられるのではないかと勘繰ってしまう。僕はいつの間にか、学生の頃に戻ってしまっていた。本当に優しい人の心さえ見えない。色眼鏡をかけながら自らの疑心と戦うのが人間なのかもしれん。疑心で皐月と接してしまっていたために今回の事態を招いたし、皐月を傷つけてしまった。社員1人幸せにできない僕がこの戦いに勝ったところで、また同じような悲劇を繰り返してしまうのではないか。事業内容が似てしまったのも僕のミスだ。差別化を徹底していれば、削り合いになんてならなかった。組織が大きくなりすぎたことで、弊害が出てしまっている。


 美羽のことを疑ってしまっていた自分を思い出す――。


 このことは璃子に報告しておくか。


「皐月、君のことをスパイと疑って済まなかった」

「良いんだ。私もあず君のことを信じ切れなかった。済まなかった。取り乱していたせいで気づかなかったが、あず君は勘の良い人ほど嵌りやすい罠に嵌っていた。確かに最初は悲しかった。でもあず君が疑心暗鬼になったのは、間違いなく杉山社長の罠だ」

「罠って……どういうこと?」

「以前旧虎沢グループが潰れた件を知ってるだろ?」

「あー、親子共々やらかしたのがバレてグループごと崩壊した件だろ?」

「確かにあれだけ栄えていた虎沢グループが潰れたのは、虎沢一家の素行の悪さもあるが、実は素行以前に業績が悪化していたんだ。杉山社長が仕掛けた罠で、虎沢グループと業務提携を結んでいる企業を吸収合併したり重要人物を裏切らせたりしたことで、虎沢社長は疑心暗鬼になった。そのせいでこれまでグループを支えてくれていた役員たちの首をあっさり切ったことで、業績悪化に歯止めがかからなくなったところに、あず君の個人的な復讐がとどめを刺した。素行の悪さだけなら、立ち回り次第でどうにでも誤魔化せたはずだが、優秀な弁護士を雇って裁判を続ける費用すら確保できなくなった上に、馬鹿息子の方がボロを出してしまったからな」

「じゃあ……あの復讐を成し遂げたのは、運が良かったからだってのか?」

「その通りだ。復讐したいと思っても、達成できるパターンなんて極稀だ。ましてやグループ企業が相手であれば尚更困難だ。ほとんどの人は悪行を揉み消されて泣き寝入りする」


 皐月が言うには、旧虎沢グループの主力事業であるホテル事業は、杉山グループの居酒屋チェーンの売り上げを大きく下げてしまうほどであった。そこで杉山社長は旧虎沢グループの弱体化を図ろうと、中心人物をまんまと引き抜いたのだ。それも虎沢社長の傍若無人な事業方針をどうにか抑えていた側近をだ。敵の急所を突き、確実に葬り去る。僕の復讐は杉山グループありきだった。


 世間を見返したのは紛れもない事実だ。でも社会はまだ見返せていない。


 ホテル事業を吸収した杉山グループに、社員全員の面倒を見るほどの体力は残っておらず、大量リストラを決行した結果、岐阜県と滋賀県を中心に近畿地方と中部地方の各地で無敵の人が定期的に発生した。一斉にクビにしたのではなく、定期的に決行したものであり、10年かけて大量リストラを決行中であるとのこと。つまり大量リストラは来年まで続く。その間、生活を維持する手段を奪われた無敵の人が放出され続けるわけだ。汚染物質を海に流し続けるかの如く、治安が悪化していく。雇用だけで人々の生活を支え続けるビジネスモデルは既に限界を迎えている。なのに誰もこの問題に手を打っていない。政府は馬鹿の1つ覚えの雇用促進ばかり。どうりでここんとこ無敵の人事件が増え続けたわけだ。伊織の母親が犠牲になった頃、丁度岐阜市にある杉山グループの企業が解体されたばかりだった。


 兆候は既に表れていた。吸収合併で利益を独り占めし、不要になった人材は何のケアもなしに解雇。


「皮肉なもんだ。伊織と一緒になったきっかけが、杉山グループによる虎沢グループの吸収合併とは」

「もし杉山グループが吸収合併と大量リストラを繰り返せば、この国は無敵の人だらけになる。この点は親父も懸念しているようだ」

「1つ教えてほしいことがあるんだけどさ、立花社長は味方なのか?」

「当たり前だろ。親父は私がプロバリスタになることをずっと楽しみにしていた」

「バリスタランドに参加してまで、杉山グループと業務提携を結んだ理由は?」

「立花グループを守るためだ。味方でいれば牙を剥かれることはないというだけで、立花グループは業績が下降気味だったんだが、コーヒー業界が台頭してきた影響で、コーヒーマシンの需要も増してきたお陰で仕事も増えた。今はまだ……表立って杉山グループには逆らえないがな」


 立花グループは建設だけでなく、機械の開発や修理なども担当している。そこにコーヒーマシンを作る仕事が見事に合致し、新たな活路を見出すことができたとのこと。どうやらコーヒー業界は関連する業界の助けにもなっているらしい。うまく活用すれば、他の業界を助けるばかりか、新たな雇用を生み出せるかもしれん。コーヒー業界に必要な人材を育てる企業と、コーヒー業界と他の業界の架け橋となる企業を作れば、多くの生活困窮者たちを助けることができるのではなかろうか。


 ただ雇用するだけだからうまくいかないんだ。育成、雇用、自立の三点セットなら、飯を食えない大人たちを減らすことができるかもしれない。今はどれも別々に行っているが、コーヒー業界ではプロバリスタが台頭してきたために、プロスポーツを参考に育成してから本格的に雇用し、引退しても自助努力で生活ができる人間になることを目指している。学校教育も生活保護も機能不全を起こしている今の時代だ。民間で教育から自立までを担当しなければならないほど、社会の組織力が弱まっている。


 日本もここまで衰えたか。本来人間教育は社会全体で行わなければならない。なのに過度な競争を煽ってしまったがために他人を尊重できない人間ばかりの社会になりつつある。個人的には自分さえ良ければそれでいいと思っている人間こそが、最も社会を腐敗させている。雇用を生み出し、経済を回すために存在するはずの企業が、いつしか利益を稼ぐためだけの貯金箱となっている。社会の癌化と言ってもいい。就職レールに乗っている連中の多くは雇われる以外の生き方を知らない。


 皐月の言葉は大きなヒントになった。


 ベッドから立ち上がり、扉に手をかけた時だった。


「待ってくれ。うちで食事していかないか?」

「いいのか?」

「ああ、是非食べていってくれ。私が作るから」

「お、おう」


 力瘤を見せつけながら、嬉しそうに立ち上がる皐月。


 言葉の勢いのまま、皐月と1階まで下りた。僕を6人くらいが座れる長方形のテーブルに座らせると、ハウスキーパーと一緒に料理を作り始めた。エプロンを着用し、髪を後ろにまとめ、ポニーテールに髪型を変えた皐月がさっきと比べて可愛らしく見える。


 キッチンには牛肉、人参、ジャガイモ、玉葱、蜂蜜がまとめて置かれている。


 食材だけですぐにカレーだと分かった。


 豊後牛をふんだんに使い、予め煮込んでいたものが思ったより早く完成した。皐月は毎日のように栄養価の高い高級料理を食べているようだ。食への拘りは幼少期からあったようで、学生時代は給食の改善に尽力し、牛乳ですぐに腹を下してしまう生徒のため、給食メニューから牛乳を緑茶に変えさせたほどだ。皐月がいじめを受けなかった理由が分かってしまった。


 食べている時は仕事の話をしないのが立花家の家訓らしい。食事の時くらいは楽でないといけない考えに基づいている。家訓一覧を見せてもらったが、どれも筋が通っている者ばかりだ。惚れた仕事に身も心も捧げるとかはうちにも通じるものがある。葉月家も家訓を作ってみようかな。


 今まで話せなかった時間を埋めるように、皐月は特に誇張することもなく過去を話してくれた。


 バリスタオリンピックをリアルタイムで見てから、皐月を含む多くの子供が僕に憧れを抱きバリスタを志した。鷹見兄弟も僕の影響を受けていたようで、引きこもる前は仲の良い友達であったとのこと。皐月は恐らく感づいてすらいないだろうが、鷹見兄弟がバリスタを目指したのって――。


 会話が終わると、ハウスキーパーの女性が口を開いた。


「皐月さんは大分初のトップバリスタとして、地元でも人気を集めています。でも性格は昔から変わらないんです。良くも悪くも女性らしさがなくて、男が近づける雰囲気ではないと、社長が毎年嘆いていらっしゃるくらいですから」

「その話はいいだろう。もう何度聞いたことか」

「ですが皐月さん、縁談を断り続ければ、社長の立場がございません」

「やめろ。私は仕事と結婚している」

「この前はもう辞めるかもしれないと仰っていたのに――」

「何か言ったか!?」

「……いえ……何でも」


 威嚇とも受け取れる声を前に、ハウスキーパーの女性は冷や汗をかき、静まり返るしかなかった。


 皐月の家に住み込みで働くハウスキーパーの女性、宇佐美香(うさみか)は立花グループ直属の正社員である。家が近いこともあり、学生時代から皐月の世話役として従事しており、高卒と同時に皐月の教育係に任命された。家では白を基調としたメイド服姿で、ふんわりとしたツインテールが特徴だ。


 宇佐さんは僕より8歳年下の26歳、大人びているが一回りも若い。


 立花社長には妄信するほど従順なようで、立花社長の同級生の娘ということもあり、何かと優遇されている。過去に皐月とも巡り合っているが、自由奔放に育ってきた皐月に対して何かと気苦労が絶えない。住み込みで皐月の世話をしているようだが、すっかり転勤慣れしている様子だ。


「辞めることまで考えていたか。相当滅入ってたんだな」

「忘れてくれ。宇佐はよく皮肉を言うんだ」

「えへへ、葉月社長は皐月さんと凄く仲が良いと聞いています。いつもお世話になっているようで」

「あず君でいいぞ。そんなに偉くないし」

「分かりました。あず君は皐月さんのことをあまり評価していないと聞きましたが、本当ですか?」

「おい、やめろと言ってるだろ!」

「いいえ、これだけは聞かせてください。ずっと部屋に籠って泣くほど落ち込んでたんですよ。ちゃんと真意を聞くくらいは世話役としての義務です。皐月さんも私も、葉月グループで仕事をするためにここに住んでるんですから」

「……勝手にしろ」


 腕を組みながらそっぽを向く皐月。


「皐月は現時点で葉月グループ最高のバリスタだ。それは僕が保証する。強化合宿に呼ばなかったのは、僕が手取り足取り教える必要がないと思ったからだ」

「その強化合宿なんだが、来月から私も参加させてほしい」

「別にいいけど、あくまでもボランティアだし、休日返上ってことになるぞ」

「構わん。それともう1つ。ロッジを常時解放して、いつでも自分で強化合宿ができる状態にしておいた方がいいと思うぞ。都合を合わせる必要もなくなるし、来れる人は毎日でも来れるようになる」

「その手があったか!」


 何でもっと早く思いつかなかったんだ。今回のコーヒーイベントで思い知った。月に1回の強化合宿では到底足りない。コーヒーは全てを見通し、不足を教えてくれるじゃじゃ馬だ。あれがコーヒーからの解答なのであれば、僕のやり方は恐らく間違っている。急いで改革をせねば。


 宇佐さんは口が堅そうだ。強化合宿の件はバレてもいいとして、まだ立花グループが味方であると決まったわけじゃない。あくまでも皐月個人にのみ心を許し、意見を仰ぐのみ。カレーを何杯も平らげると、途中からは米なしで食べ尽くした。皐月もさっきまで落ち込んでいた反動なのか、今は驚くほど食欲旺盛なようで、男顔負けの食べっぷりである。


「ふぅ~、腹一杯だ。ごちそうさん。皐月、そのアイデア、採用させてもらうぞ」

「元々はあず君のアイデアじゃなかったのか?」

「コーヒーイベント前に練習場所を確保するためのアイデアだけど、強化合宿には当てはまらないと思ってた。参加する連中の都合もあるからな。強化合宿プログラムを一度見直してみる。じゃあな」

「どこに行く?」

「どこって、帰るんだよ。いつまでも居たら悪いだろ」

「今日は泊まっていけ。疲れただろう。風呂を沸かしてある。早く入るといい」


 言われるがまま風呂に入った。予想に違わず機能的で、シャワーヘッドが丁度座る場所に向いている。ボタンを押すだけで温水が降り注ぎ、湯船に浸からなくてもすぐに上がれる。


 風呂から上がると、宇佐さんが待ち構えていたかのようにバスタオルを持って佇んでいる。


 用意されたパジャマに着替え、客用と思われる部屋へと赴く。


 ――あれっ、僕帰るはずだったんだけどな。


 やばい、なんか急に体が重く感じてきた。


 そういやあのシャンプーやリンスには、気分を落ち着かせ、眠気を誘発する効果があるって書いてあったな。今更帰るのが面倒になってきた。ていうか脱ぎ捨てた服、いつの間にか消えてるし……。


 ベッドに横たわり、しばらく天井を見つめていると、部屋の扉が開き、誰かが歩み寄ってくる。


「まだ眠れないのか?」


 皐月が僕の頭上にひょっこりと顔を出した。


「うわっ! ビックリしたぁ~!」


 不意の出現に慌てて飛ぶように起き上がる。


「そんなに驚くことか?」

「自分の部屋に行けよ。ていうかパジャマ姿じゃねえのかよ」

「あー、パジャマは実家を出てから着なくなった。いつでも出かけられるように、部屋着は統一した」


 ベッドに腰かけ、皐月は太股に僕の頭を押しつけた。


「ちょっ、何考えてんだよっ!」

「唯さんから聞いたぞ。あず君は耳かきしてもらわないと寝つけないらしいな」

「それはそうだけど――!」


 起き上がろうと上を向くと、至近距離に皐月のダブルメロンがズームされている。このまま起き上がれば間違いなくモフッとした触感が顔一面を覆い尽くす。遥々天獄までやってきたかのように気持ち良い。


 ただでさえ部下の家にお邪魔になっている……無謀と知った僕は……考えるのをやめた。


 大人しくお縄にかかるように皐月の太股に頭を寝かせると、彼女は見たこともない豪華な梵天を細長い重箱のようなケースから取り出し、僕の耳にゆっくりと挿入する。


「あんっ!」


 あまりの気持ち良さに、思わず女性のような喘ぎ声を発してしまう。


「ふふっ、そんな声が出るんだな」

「伊織には子供たちに聞こえるからやめるように言われるけどな」

「好きなだけ喘いでもいいぞ。誰も聞いてないからな」

「んっ! あっ! ちょっと……」


 駄目だ。気持ち良すぎて逆らえない。全身が耳かきしてほしいと訴えてくるっ!


 結局、最後まで皐月の世話になってしまった。泊まるつもりなんて毛頭なかったが、皐月のことを気にしすぎた精神的疲労がここにきてドッと押し寄せてくる。


 意識が段々と遠のき、皐月の太股の上で眠りに就くのだった――。

読んでいただきありがとうございます。

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宇佐美香(CV:沼倉愛美)

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