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社会不適合者が凄腕のバリスタになっていた件  作者: エスティ
第16章 愛弟子の大舞台編
372/500

372杯目「王者の苦痛」

 スティーブンの家に来たのは実に13年ぶりだった。


 以前は修業に夢中で、店名のことさえ聞かなかったが、奇しくもバリスタオリンピックチャンピオンとなってからはケルティックタイガーの如く、会社が凋落する一方だ。


 アリスと出会ったのも丁度この時だった。ダブリンにやってきたばかりの僕に優しくしてくれた。


 スティーブンはコーヒーカクテルの極意を教えてくれたが、2ヵ月後のバリスタオリンピック選考会には参加できなかった。この極意が真価を発揮したのは2013年のJCIGSC(ジェイシグス)WCIGSC(ワシグス)を待つこととなる。


 皮肉にもあの妨害が原因で、僕は前代未聞の無敗記録を樹立することになったわけだが、バリスタ競技会で無敗が続くと、意図せず記録を守りたくなるのが人情というもので、いつ記録が途切れるかの不安はあった。アンタッチャブルレコードにはなったが、こんなしがらみから解放されたいと思う自分もいる。


 僕、伊織、千尋、桜子、那月、響がカウンター席にズラリと横並びに座る中、スティーブンは客たちに目をやりながら、店の事情を淡々と話し続けた。


「バリスタオリンピックを制覇すれば、一生その地位を約束されるとは言っても、俺自身が飯を食えるようになっただけで、俺以外の人たちの生活は全く守られやしない。俺は今でも大会の解説とかに呼ばれたりして、自分が生きていく分には困らないようになったが、かつての常連たちはみんな失業して来なくなっちまった。俺だけが生き延びて、他の人はみんな落ちていく。1人の個人として見れば、成功した人生と言えるかもしれん。でもこれは俺が望んだ成功じゃなかった。俺がバリスタオリンピックチャンピオンを目指していたのは、取引先、常連たち、みんなを幸せにするためだったんだ。コーヒーを通してな」

「結果的にスティーブンおじさんが経営する、このコーヒー会社、ケルティックタイガーだけが伸びて、他のコーヒー会社とカフェが不況に耐え切れずに倒産しちゃったから、スティーブンおじさんが独り勝ちの状況になって、そのことを良く思わない人たちがケルティックタイガー包囲網を作っちゃって、それで今のうちは取引先を見つけるだけでも一苦労でね」

「妬みってどこの国にもあるんだねぇ~」

「取引先から打ち切りにされた結果、最大の取引先を失って自滅するパターンだな」

「どうして分かるんですか?」

「ケルティックタイガーが勢いに乗っているってことは、相手にとってはここが最大の取引先のはずだ。それを蹴ったのは嫉妬心だけじゃなく、好景気で余裕があったからだ。でも好景気の後には必ず不況がやってくる。こんなのちょっと考えれば、分かるはずなんだけどな」


 バリスタオリンピックチャンピオンにはジンクスがある。


 大樹の根が水を吸い上げてしまうように、周囲が段々と貧しくなり、自分だけが栄えるというものだ。


 自分のことだけ考えているような人間であれば、それで完結しているかもしれないが、バリスタオリンピックチャンピオンになるような人間は、コーヒーを通してみんなが幸せになることを望む人間だ。コーヒーは共通の話題、共通の競技、共通の趣味として、人々を繋げてくれている。


「あず君はバリスタオリンピックチャンピオンになったのに、周囲を幸せにできているよね。どうしてこんなにも差がついてしまったのかが知りたい。何か心当たりはあるか?」

「心当たりねぇ~」

「まっ、葉月グループの成功は、璃子さんによるところが大きいけどねー」

「そうなの?」

「だって社長とは言っても、仕事の提案から実行まで、ほとんど璃子さんにやらせてるし、あず君は現場主義で有能な働き者って感じだから、社長には向いてないかもねー」


 千尋が両肘をついたまま言うと、伊織は珍しく千尋の言葉に頷いた。


 言い方はともかく、千尋の言葉は群像の感覚に溢れていた。


 僕はどちらかと言えば、個人事業主の方が合っている。


 スティーブンが言わんとしていることは、胸に刺さるほどよく分かる。僕がバリスタオリンピックチャンピオンになった頃、身内はみんな失業し、勢いに乗っていた葉月珈琲への就職に頼らざるを得なくなっていた。そんな時に経営者としての才能がなかった僕を支えてくれたのは璃子だった。


 今、うちの親戚たちは、グループ内におけるバリスタコーチとなっている。


 正社員は実力あるバリスタばかりとなり、非正規社員は育成枠で入社させるシステムが確立した。


 これらのアイデアを出してくれたのは他でもない璃子だった。身内を囲い込みつつも経験を活かせるポジションに就かせたばかりか、他人からもベテランをバリスタコーチに就任させることで、周囲から身内を贔屓しているようには思わせないテクニックは流石だ。


 嫉妬を買わずにやり過ごす立ち回りは、学校で培われたものだろう。


「本質的には璃子の方が経営者に向いてるからな。うちが法人化した後、璃子を役員に就任させることに迷いはなかった。面倒なことは全部任せてたし」

「璃子さんが葉月珈琲にいた時、あず君がいる時でも指揮を執ってたもんね」

「そうそう。あず君は璃子さんをこき使いすぎなんです」

「……あいつには苦労をかけた。だから好きなことを好きなだけできる環境を与えた」

「社長経験のある人に経営権を分譲したのは、璃子さんのためだよね?」

「よく分かったな」

「元御曹司だからね」


 千尋がアイリッシュウイスキーを飲み干し、グラスを静かにカウンター席に置いた。


 経営者の才能がないと分かっていたからこそ、全部自分でやるのではなく、苦手なところは人に任せていたのが幸いした。僕は生粋の現場人間である。


 ――いや、もっと他に理由があった気がする。思い出せ……僕がここまで自分を制御できた理由が記憶のどこかにあるはずだ。驕る気さえ失せた理由が……必ずどこかにある。


 頭に手を当てながら、脳内で過去を探った――。


「バリスタオリンピックチャンピオンって、結構色んな悩みを抱えてる人多いんですね」

「人生は童話みたいに、必ずハッピーエンドで終わるわけじゃねえからな」

「でもそのジンクス、ちょっと考えれば、当たり前な気がするんだよねー」

「どういうこと?」

「だってさ、歴代のバリスタオリンピックチャンピオンって、あず君も含めて子供時代から頭角を表してるわけだし、元々差がついていたものが更にハッキリとした形で表れたってだけだと思うよ。メディアだってバリスタオリンピックチャンピオンを放っておくわけがないし、CMとかバラエティ番組とかに引っ張りだこになれば、一般の人から見て大きな差がつくのは当然だよ。周囲の人はみんな凡人だし、近所の人が注目されたら、嫉妬心も生まれるのかねー」


 ――CM? バラエティ番組? どっかで聞いたような。


 千尋の言葉に耳を澄ませ、聞き逃さないよう全神経を集中する。


「メディアの注目が向いたら、お店が繁盛しますよね」

「その通り。それでお店が繁盛すれば、お客さんはどうなるかな?」

「バリスタオリンピックチャンピオンのお店に集中しますね」

「すると、他のお店はどうなっちゃうかな?」

「話題になりますから、そこにいるお店の常連も――ハッ!」

「伊織ちゃんもお察しの通り、他のお店の客が取られちゃうわけだ」

「他の店から意図せず常連を奪ったことで周囲の縄張りを荒らしたと見なされて、ケルティックタイガーは包囲網を作られてしまった。そう言いたいんだろ?」


 話半分に聞いていた響が割って入ってくる。いつの間にか桜子と那月も話に加わっている。


「つまり、他のお店はお客さんを取られたのが気に入らなくて、腹いせにケルティックタイガーを目の敵にするようになって、取引先を調べてから囲い込むようになったわけですね」

「いるんだよねー。自分たちの常連を奪うことがタブーになってる人たちが」

「ということは、ダブリンの各店舗のカフェが仲良く住み分けをしていたけど、スティーブンさんがバリスタオリンピックチャンピオンになってしまったことで、ダブリンの各店舗の常連たちが一斉にケルティックタイガーに集中してしまった。これこそ、ケルティックタイガーだけが儲かって、周囲のお店の売り上げが下がってしまった原因じゃないかな」


 ここで頭の中を電撃が走ったかのように僕も気づいた。


 そうかっ! そうだったんだっ! このジンクスとも言える現象は、全部バリスタオリンピック効果の一部だったんだ。これに気づくとは、流石は千尋だ。


「まるで水を吸い上げる大樹だな」

「でも優勝によって売り上げが上がるのは、チャンピオンの特権だと思うよ」

「全くだ。だが哀れだ。自分が栄えるということは、別の誰かが衰えるということだ。客の数は無限じゃないからな。資本主義の本質は椅子取りゲームだ。これは仕方がないとも言える」

「――本当に仕方がないのかな」


 他の客たちの雑音に紛れるようにボソッと呟いた。


 誰かが貧しくなっているということは、誰かが余分に取りすぎているということだ。


 世界の総資産は段々と増えているが、それでもなお貧困問題は解決していない。一部の成功者が余分に取り過ぎている。僕もその1人かもしれない。だからこそ人を雇い、散財している。僕自身は独り勝ちで幸せになれるタイプではある。ただ、無敵の人が怖いのだ。


「バリスタオリンピックチャンピオン以外にも逸話がある。バリスタオリンピックファイナリストだ」

「ファイナリストにもジンクスがあるんですか?」

「ああ。これもさっきと一緒で全員に当てはまるわけじゃないが、バリスタオリンピックファイナリストの多くは、自らの実力を過信して、周囲には驕るようになって、段々と落ちぶれていくジンクスがある」

「なんか嫌なジンクスですね」


 ――実力を過信する? 周囲に驕る? ……聞き覚えがある。


 最初にヴェネツィアに行った時、フランチェスカが言っていた。ガストーネはバリスタオリンピックファイナリストになってからは、人が変わったように傲慢な立ち振る舞いをするようになった。交際を求められた時も、彼女は次のバリスタオリンピックで優勝したらと約束したが、達成されることはなかった。


 無理難題を押しつけられた時点で、断っていることに気づけないガストーネには、人の心を知り、コーヒーの声を聞く力を失っていた。そんな状態で優勝などできるはずもなく、堕ちていく一方だった。


 今は良心を取り戻し、地元のカフェでバリスタトレーナーとして活躍している。


 やっと思い出した。僕はフランチェスカに釘を打たれていた。故に驕ることはなかった。


「どうしてそんなことになるんでしょうね」

「世界大会決勝に君臨するだけの人格がなかった。ただ実力があるだけでのし上がったはいいが、人格が身分不相応だったというだけのこと。影響力を持つ者は、それなりの自制心も必要ってことだ。今まで力を証明できなかった人が急に力を持ってしまったら、力に翻弄されるのは必至だ。貧困者が宝くじで1億円当てたようなもので、その多くは破産している。貧困はなるべくしてなっているわけだ」

「バリスタオリンピックの優勝賞金も1億円あるよね。昔のバリスタは貧しい人ばかりだったし、宝くじの現象と同じことが起きていても不思議じゃないよね」

「優勝したらしたで嫉妬を買うし、決勝に残ったら残ったで堕ちていくか。それでもずっと参加人口が多いのは、やっぱコーヒーが好きだからだな」

「面白い話をしているな」


 不意に澄んだ声が背後から聞こえた。


 真後ろには皐月を始めとした、他のメジャー店舗からのサポーターが佇んでいる。


 スタッフに案内され、近くのテーブル席に着いた。皐月、弥生、莉奈、若菜、美月、凜がようやく集合する。みんな伊織と千尋をサポートするために派遣された。


「おっ、やっと揃ったな」

「大会前からファイナリストになる前提でジンクスを話すなんて、流石はレジェンドですね」

「まあでも、バリスタオリンピックチャンピオンが2人もいるんですから、当然と言えば当然ですね」

「それがあず君ですから」

「ねえ、こんなにサポーター呼んでどうするの?」

「どうするも何も、2人のサポートだよ。伊織と千尋の競技を見て、何か気づいたことがあったら、どんなに些細なことでもいいから指摘をしてほしい。僕は応援に来てくれた元同級生が弱点を指摘してくれたお陰で優勝することができた。真理愛の時にはそれがなかった」

「その時優勝したマチューには多くのサポーターがいた。それで気づいたわけだな」

「そゆこと。サポーターが多いほど穴を見つけやすいことが分かった。マチューはサポーターからの助言を受けて競技を改善していた。レパートリーポイントも稼いでたから、それがハイスコアに繋がった」


 ここでようやく、サポーターを多く募った理由を全員が理解した。


 関係者を集めて説明する暇なんて、全然なかったからなー。


 これはあくまでも優勝確率を1%上げる作業にすぎない。この大舞台を志した時から、既に勝負は始まっているのだ。いかに準備を怠らないかが大事で、そのことをみんなに分かってほしかった。参加者が何でもかんでも全部やる時代は終わりだ。これからは分業体制にして、参加者の負担を減らす方針だ。


「あず君が指摘すればよかったんじゃないの?」

「僕にも限界ってもんがある。それにかつての真理愛の競技は完成度が高かったし、とてもノーとは言えなかった。コーヒーに対してある種の固定観念を持ってしまっていたのもある。でも元同級生たちは競技を知らない分固定観念も少ないから、より客観的に競技を見ることができたわけだ」

「要するに、サポーターを増やして参加者の負担を減らしながら、ミーティングでの助言役もやってもらうことで、競技の穴を埋めていく方針でしょ。あず君はバリスタ競技以外の部分にも力を分散していたせいで、本来の力を発揮できずにいたと考えてるんだよね?」

「……よく分かったな」


 千尋の理解があまりにも早すぎるのか、みんな呆気に取られてしまっている。


 参加者が最も大変であるバリスタ競技会だが、僕はイメージを変えたかった。


 アイリッシュブレックファストティーに牛乳を足して飲み干した。このブレンド紅茶の前では、牛乳さえ調味料のように感じてしまう。ここらの料理や飲み物は客が後から別の味を付け足すのが当たり前だ。最も合った分量を手探りし、徐々に牛乳の割合を増やしているが、なかなか最適解が見つからない。


 確か伊織が競技に取り入れていたような気がするが、一度見てみれば分かるだろう。


「あず君は過去の失敗を猛省して、次は極力穴を埋めようとするよね。それが分かっていれば、次にやろうとすることが必然的に分かるよ。僕と伊織ちゃんが競技に集中できるようにしてくれているのは嬉しいけど、もう十分だよ。後は自分でやるから大丈夫」

「そうですよ。なんかお母さんみたいです。そこまで過保護にしてなくても、私たちを信じてください」

「競技の時は協力してやれないからな。競技と関係のないところで減点されるのは防ぎたい。それがサポーターとしての役割だ。忘れてるみたいだけど、僕だって2人のサポーターなんだからな」

「気持ちだけで十分だよ。予選は何もしなくていいから」

「……分かった。じゃあ予選は本当に何もしないぞ」

「うん。まずは予選通過しないと、元も子もないからね」


 伊織も千尋も突き放すような口ぶりだが、僕の意図は理解しているようだ。


 僕や真理愛が参加した時はサポーターが充実していなかった。あの時の僕は集中しきれていなかった。途中までファイナリスト止まりの総合スコアだったが、たまたま見に来ていた小夜子たちの言葉が、僕の競技に足りなかった最後のピースとなり、これが明暗を分けていたのだ。


 予定の組み立ても、ステージの設計も、物資の調達も、全部バリスタが担当しなければならなかったことを考えると、競技の準備に費やす時間が限られてしまう。そこで各メジャー店舗から優秀なサポーターを集い、バリスタオリンピック参加者の役割を分散することにしたのだ。


 結果的に伊織も千尋もバリスタ競技の準備に全神経を集中することができたが、そこには全く気づいていないらしい。いや、気づいていないふりをしているようにも見える。千尋ほどの知性を持っていて気づかないはずがない。だがそれでも、何もするなと言われれば何も言えない。競技で何をするかを決めるのは参加者自身。これは伊織と千尋のゲームだ。僕に口出しする権利はない。


「あず君、私たちはチェックインを済ませた。何かやる必要はあるか?」

「ああ。伊織と千尋にはここで競技の練習をしてもらう。サポーターのみんなには競技を見てもらって、何か気づいたことがあれば意見を出してもらう。それを受け入れるかどうかは2人が決める。食材は潤沢に揃ってるから、練習したくなったら言ってくれよ」

「分かりました。でも今日は来たばかりなので疲労が溜まっています。今日はここで食事をして、明日から練習ということでどうでしょうか?」

「分かった。千尋はどうする?」

「僕もそれでいいよ。伊織ちゃんに賛成」

「じゃあせっかくだから、私はここで食事をしていくことにする」

「なら私もつき合おうかな」


 皐月の言葉に乗せられて弥生も続いた。皐月たちはここが気に入ったようだ。


 今日のところは休日か。僕の時にはそんな発想はなかった。いや、余裕がなかったのかもな。


 注文を済ませ、スティーブンとアリスが歓迎の意味を込めて、アイルランド料理を振る舞ってくれた。ジャガイモやパンが中心で、アイリッシュシチュー、ベーコンアンドキャベジ、コードル、コルカノン、ソーダブレッドなどがテーブルに並べられたが、このジャガイモに対する拘りは何だ?


 ここまでジャガイモを多用するカフェは他にないと思うが。


「カフェというより、アイリッシュパブだね」

「ふふっ、その通り。うちはアイリッシュパブも兼ねているカフェなの」


 ケルティックタイガーは、植民地時代から続く古いパブであった建物を買い取ったものだ。


 天井が低く、窓の少ない小さいパブだ。これはイギリス政府による建物に対する税金を避けるためで、アイルランドにある最古のパブは600年以上も前に建てられたものとされる。現在も子供や老人も含めた近隣住民が集まり、歓談するための地域の交流場としての役割を担っている。どれほど小さな通りや寒村にも、必ず生活の中心としてパブが存在している。


 日本で言うところの居酒屋に近い店だろうか。それにしては上品で物静かだ。気づいてみれば、客は僕らだけになっていた。外にいる客たちは外を歩きながらバリスタオリンピックキャンペーンを謳い文句にしている店にばかり注目を集めている。どこの国にもミーハーはいるんだな。


 バリスタオリンピックは、個人戦のふりをしたチーム戦だ。伊織と千尋は個人として挑むが、それを僕らがチーム葉月珈琲として裏で支えていく。文字通りバックアップを全面的に強化したのだ。


 葉月珈琲以外に所属するサポーターたちがホテルへと戻っていく――。


 サポーターにはセンサリージャッジも兼ねてもらう。これなら客がいなくても練習ができるし、スティーブンにアリスもいる。かつてライバルだった者たちが団結して挑む光景に、個人主義国家の中に咲く本来の集団主義を見た。競技だけでなく、卓越した味覚と嗅覚を持つ連中だ。きっとうまくいく。


 僕らには勝たなければならない理由があるのだから。

読んでいただきありがとうございます。

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