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社会不適合者が凄腕のバリスタになっていた件  作者: エスティ
第13章 群雄割拠編
318/500

318杯目「社内貢献度」

 午後7時、僕らは名古屋市内のレストランで過ごし、段々と帰宅時間が迫ってくる。


 伊織はレストランの中で誰とも話さず、黙々とコーヒーを飲んでいる。


 地方予選で淹れたエスプレッソだが、腕前については特に心配していない。準決勝までは行ける。大会中は持ってきたコーヒーを順番に淹れていき、センサリージャッジに提供する。ヘッドジャッジやテクニカルジャッジも時間が少ない分注視しやすい。


 提供するものが限られている分、特化した説明もしやすい。全部やろうとすると切り替えるが必要になってくるが、提供するものが1つなら切り替える必要もない。今までは切り捨てられてきた項目を導入することで、より才能を見極めやすくなるのだ。


 切り替えができるかどうかは大した問題じゃない。今までは切り替えができる人ばかりが余分にスコアを稼いで決勝に残るようになっていたことが、そのまま同じ人ばかりが毎年のようにファイナリストになる原因となっていたが、今回からはそうはいかない。


 決勝以外を簡略化しつつ、より適切な者を決勝に導きやすくなった……と思いたい。


「なあ、優子の店に有望なバリスタでもいんのか?」

「何でそんなこと聞くわけ?」

「優子が同僚の連中と今日ここにいるのは、バリスタ競技会で通用する人がいたってことだろ。珈琲菓子葉月の役割は、コーヒースイーツに特化した『コーヒーパティシエ』を輩出することだ。正直驚いてる」

「あたしはそのコーヒーパティシエを輩出する修行の一環として、バリスタの大会とパティシエの大会、両方に参加することを推奨してるの。ちょっと呼んでくるね」


 優子が席を立つと、少し離れた席にいた1人の女性を呼び、隣に座らせた。


 可愛らしいツインテール、ゆるふわで薄い茶色の髪、健康そうな頬にサバサバとしたつり目が特徴だ。そして何より……でかい。璃子と同じくらいあるな。


「紹介するね。2年ほど前からうちで働いている、栗谷那月(くりたになつき)ちゃん」

「栗谷です。那月って呼んでください。葉月社長、ご無沙汰しています」

「堅苦しいな。あず君と呼んでくれ。みんなからそう呼ばれてる。それとそんなに遜る必要はない。社長とは言っても、別にそんな偉いもんじゃねえから」

「ねっ、言った通りでしょ。あず君はこういう人なの。何ならタメ口でもいいから」

「分かりました。えっと、あたしはバリスタとパティシエの両方をやってるの。周りからは反対されてるけど、あたしはどっちも好きだから両方究めたいの。才能あるんだからどっちかに絞った方がうまくいくって言われてるけど、今まで誰もやってこなかったことをやってみたいって……あず君を見て思ったの」

「ならやってみろ」

「即答っ!?」


 思わず着席したまま仰け反る那月。彼女にとっては予想外の返答らしい。


 普通の日本企業なら反対されていただろう。専門職であれば、社員は1つの職務に配属され、特化した業務を行うことになる。その方が効率が良いし、より良い結果に結びつきやすくなるからだ。


 ほとんどの場合、社会に出てからは得意な業務に特化するか、器用貧乏に何でも屋をこなすかだ。うちは得意分野に特化した人間を育てることを目指しているが、あえて挑戦するところが気に入った。


 ふと、優子に向かって真っ直ぐと視線を合わせた。


「よくそんなこと思いついたな」

「あず君だってバリスタの世界大会だけじゃなくて、ゲームの世界大会も制覇してるでしょ。柚子ちゃんだって仲人バリスタとして、バリスタと仲人の両方を究めようとしてる。あたしは大会に出る暇なんてないけど、柚子ちゃんは今年のJCTC(ジェイクトック)に出る予定だし、やりたいことを1つに絞る必要はないと思うの。コーヒーパティシエは、コーヒースイーツを作る人じゃなくて、バリスタとパティシエを同時にやっている人と解釈したの。どっちにも詳しくなれば、結果的にコーヒースイーツにも詳しくなるでしょ」

「……」


 革新的な考え方に、僕は口を開けながら黙って頷いた。


 優子はコーヒーパティシエの定義を昇華させていたのだ。


 合わせ技で1種類の分野を磨くことを良しとしてきた僕にとって、合わせ技で2つの分野を同時に磨くという全く新しい価値観に触れた瞬間だった。コーヒーカクテルもそうだ。これを究めるにはコーヒーとアルコールの両方を理解する必要がある。だがバリスタとバーテンダーを両立することは難しかった。


 僕はコーヒーカクテルのコーヒー部分は自分で考え、アルコール部分を真理愛に任せるという分業体制でコーヒーカクテルの大会を制覇してきた。だがそれを通り越して、全部自分で究めようとする者が現れることを、僕は予想だにしていなかった。柚子に仲人バリスタを勧めたのも優子だった。


 共にJCTC(ジェイクトック)で戦った優子は、柚子にとっては切磋琢磨する戦友だった。


「あぁ~、だから柚子の奴、両方やるって言ったのか」

「今メジャーリーグで二刀流の選手が活躍してるでしょ。どっちかに絞った方が、より特化した成績を残せたとは思うけど、両方やってみるのも人生だと思うの。そりゃハードかもしれないけど、悔いは残したくないもん。やりたいことを言えない人生が1番不幸だって、あず君言ってたよね。ユーティリティー制度も複数の技能を身につける目的で始まったものだし、グループの方針には反してないと思うけど」

「そうだな。うちは専門分野に特化した人間を輩出して、飯を食える大人の育成を目的としてきた。うちには優秀なユーティリティーがたくさんいる。複数の分野で全部二流とかだったら、いくらでも代わりはいるってことだ。両方やるってんなら、両方で一流を目指せ。その覚悟はあるか?」

「もちろん。あたしは葉月珈琲で働くことを目的に、ここまで頑張ってきたの。バリスタも究めたいし、あたしを助けてくれた優子さんに応えるためにパティシエも究めたいの」


 何の迷いもない目に僕は関心を向け、もっと詳しい話を聞いてみたいと思った。


 どうやら訳ありのようだ。自ら困難な道を選ぶあたり、何かが彼女の背中を強く押していることが分かるが、同時に背水の陣でもあることが窺える。


「助けてくれた?」

「あたしの両親はパティシエなの。でもあたしはバリスタの方が好きで、あず君の活躍を見てカフェに就職しようと思ったんだけど、両親に反対されて、パティシエの仕事を継ぐように言われていたの。そこで優子さんに誘われて、両親に内緒のまま、バリスタとして就職したわけ」

「ある意味あず君が原因なんだから、責任持って背中を押してあげたらどう?」

「言いがかりもいいとこだな。2人が知り合ったきっかけは?」

「那月ちゃんの両親は、あたしのお父さんがヤナセスイーツで働いていた時のライバル店なの。あず君があたしを誘ってくれなかったら就職する予定だった、あのお店だよ」

「あー、確か『パティスリークリタニ』ってとこだろ。あそこの娘さんだったか」

「今は福井に拠点を移してるけど、あず君のお陰で葉月商店街が大盛況になったことを伝えたら、滅茶苦茶悔しがってたなー。5年ほど前に訪問した時、那月ちゃんが凄く困ってたから、そこであたしのお店にパティシエとして雇って、バリスタも同時進行してるわけ」

「つまり優子の発案か」

「そゆこと。理解が早くて助かるなー」

「最初はバリスタ一本でやろうと思ってたんだけど、優子さんからばれた時のためにパティシエも同時にやるように言われたの。パティシエとしての腕が上達してなかったら実家に戻されちゃうし、元々の夢を叶えたい部分もあるけど、やるからには本気でやる」


 小さな笑みの裏側に秘めた熱意が僕には伝わった。


 那月の事情はよく分かったが、両親にはこのことを伝えていないらしい。


 もしばれたらどうするんだろうか。考えるのも恐ろしい。本来なら夢を叶えられないまま人生を妥協せざるを得なかったはずの人たちばかり集まっているような気がする。それはうちが現状を打破できる数少ない企業だからであると考えれば説明はつくが、思うような人生を歩めていない人が多い証でもある。


「這い上がってこい。待ってるから」

「うん、あたし頑張るから」


 もし才能がありそうなら、チャンスを与えることも考えておくか。


 優子には『社員推薦権』を与えている。推薦権を持つ各店舗のマスターたちに募集をかければ、店内で最も有望なスタッフを選んで紹介する。1年以上務めたスタッフのみ、推薦権における選出資格を得る。


 葉月グループには代替可能社員と比べて、どれくらい会社に貢献したかを評価する独自の指標がある。


 2016年から導入された『社内貢献度』という総合指標だ。


 飲食部の場合、出勤日数、配膳回数、受け付けた商品を作った回数、商品を開発した回数、開発した商品の売り上げといった数字が細かく記録される。年末を迎えると、『株式会社葉月データ』がコンピューターを使って総合スコア方式で算出する。これでどれほど会社に貢献したのかが浮き彫りになる。本当はこんなことしたくないが、営利企業である以上、1人あたりの生産性を上げることが、何よりの最優先事項なのだ。もちろん、大会での成績も社内貢献度に加算される。


 社内貢献度『±0.0』で代替可能社員1人分の活躍をしたことになる。『+1.0』で代替可能社員より1000万円分の利益を会社にもたらしたことになり、逆に『-1.0』の場合は1000万円分の損失を会社に与えたことになる。基本的には『+1.0』以上をノルマとしており、『+3.0』で優秀社員、『+5.0』で最優秀社員と同等の活躍と見なされる。マイナスを記録した者は来年度から仕事量を増やされ、耐えられないようであればマスターの判断で、降格、減給、解雇のどれかを告げられるだろう。


 この指標を導入してからは雇用の流動性が激しくなり、多くの人々にチャンスを与えたことで、社員全体の質が大幅に向上したのだ。指標は年々アップデートされており、社内ニートが一発で分かるようになったことで仕事ができる人しか生き残れない企業となっていった。適正給与も分かるため、余分に稼いでいた者を特定することが容易となったのは非常に大きい。


 例えば2019年における伊織の社内貢献度は『+14.9』であり、代替可能社員と比べて1億4千9百万円分の利益を会社にもたらしたことになる。これは2019年度葉月グループ全社員の中で最高の数値であり、伊織が如何に優秀なバリスタであるかを物語っている。プラスを記録した者はボーナスが加算されるため、努力が反映されやすい仕組みとなっている。


 平たく言えば、社内貢献度が高いほど仕事ができる社員と言える。葉月グループでは社員の仕事力を測る上で重要な目安となっており、うちを見習う企業が現れるほどである。


 もっとも、これを他の企業が導入したところで、日本の労働者の8割以上が給料分の仕事をしていないことが浮き彫りになるだけなんだがな。何だかんだ言ってもほとんどは会社に養われているだけで、本当に利益を上げているのは少数派だ。日本企業が成果主義を導入するなんて100年早い。


 千尋は小夜子たちと話しており、村瀬グループの今後の動向に興味を示していた。


「へぇ~、そこまで測られてたんだ~。なんか怖くなってきた」

「そういうわけだから、精々クビにならないよう頑張ってね。まっ、村瀬グループが社内貢献度を導入することはないよ。そんなことしたら役員はみんなクビだろうから」

「だから村瀬グループを離れたんだ」

「社員は優秀だけど、役員が明らかに給料分の仕事してないからね」

「村瀬グループにいた社員が次々と葉月グループに入社してるって聞いたけど、本当なの?」

「本当だよ。ここまでは読めてた」


 自分の親父が創業したグループ企業の衰退を自慢げに語る千尋。


 ここまで見捨てる気満々な反応を見ると、むしろ清々しく思えてくる。大した器だ。


 千尋は村瀬グループの社員たちに同情し、かつて恩を受けた者たちを葉月珈琲へと招き入れた。言わば沈みゆく泥船で喘ぐ人々を救おうとしているように思える。


「はぁ~」


 さっきから何度もため息を吐いている花音。店内の照明とは対照的だ。


 真由に振られたことが余程ショックと見える。


 花音は対人関係にこそ慣れているが、好きになった相手とのつき合い方を知らず、過剰なメールで怯えさせてしまったことにも気づいていない。花音がここまで結婚できなかったのは当然と言えるのだ。


 花音の隣に座った。彼女の後姿はとても華やかだ。


「そう落ち込むな。男なんて星の数ほどいるから」


 手が届くとは言ってないがな。


「……私、何がいけなかったんでしょうか?」

「距離を詰めすぎたのが悪かったな。メアドは削除しとけ。これ以上抵抗しても傷口を広げるだけだ」

「はーい……私って結婚向いてないのかなー」

「相手との距離感が分からないのは致命的だ。でも花音は一度好きになった相手にとことん貢献しようとするところがあるから、結婚自体は向いてると思うぞ。振られるってことは、もっと相性の良い相手がいるってことだから、次はミスをしないようにな」

「……」


 後はボタンを押すだけで真由のメアドは消去される。


 だが花音の手はブルブルと震えており、最後の一押しができずにいる。


 花音は深呼吸をしてから、恐る恐る消去のボタンを押した。


「ふぅ~」

「よくやった。今月は自分の参加する大会に集中しろ」

「あの、8月の岐阜コンですけど、参加しに行ってもいいですか?」

「もちろん。参加費はうちの利益になるからな」

「また利益ですか?」

「企業が利益を稼ぐのは金のためじゃない。事業を回すために金が必要だからだ。この先もどんどん金を回していかないと、また去年の令和恐慌みてえな大不況が襲ってくるか分からねえし。不況の原因はみんなが金を使わなくなったからだ。つまり、不況の煽りは被害者であるみんなが作ってるってことだ。消費して経済を回せば、ちょっとはマシな状況になる」

「……そうですね」


 不穏な空気を醸し出しながらも、僕に不安を感じさせまいと作り笑顔だ。ここまで思ってることが分かりやすい子も珍しいだろう。大半の女は本音を隠すというが、花音は本音の塊と言っていい。察することはなかなかできたもんじゃないが、その分素直さがある。


 ドジっ子なのに愛されているのは正直に生きてきたからだ。


 夕食がお開きとなり、僕らはそれぞれの家に帰宅しようとみんな駐車場の車に乗り始めた。


「優子、ちょっといいか?」


 車の扉に手をかけた優子に話しかけた。


「どうしたの?」

「那月だけどさ、今度うちに招待したい」

「何? 惚れちゃったの?」

「んなわけねーだろ。実績次第で、うちに昇格もあり得るって言ってんの」

「えー、あたしから那月ちゃんを取り上げちゃうの~? あず君ってば残酷」

「マイナー店舗のマスターとは思えない台詞だな。忘れたのか? うちは常に将来有望なバリスタを求めてる。これからのコーヒー業界を背負っていく逸材がな。那月がうちに相応しいかどうかを確かめたい。それにスイーツを作れる人がまた必要になってきた」

「誰か異動させるの?」

「まあそんなところだ」

「ふーん、分かった。じゃあ那月ちゃんに伝えとくね」


 優子は乗車してからすぐに大きな音を立てながら扉を閉めた。


 そろそろ帰るか。唯も子供たちも待ってるし。


「あずくーん! もう出発しますよー!」


 手が届かないくらいの距離から両手を口に当て、少し大きな声で僕を呼ぶ桜子。


「あー、行く行く」


 急いで伊織たちの元へと走った。みんなは今日の競技に確かな手応えを感じている。


「あれっ、伊織は?」

「伊織ちゃんならあず君を呼びに行きました。あっ、伊織ちゃん、出発しますよ」

「は、はい。今行きます」


 僕の後ろから幽霊のように伊織が現れた。驚かすなよ。ちょっとビビっちまったじゃねえか。


 早くも地方予選通過者がホームページで発表された。参加者1000人の中から200人枠に残った。流石は社内貢献度上位勢だ。でも様子がおかしい。さっきまでは桜子と仲良しそうに話しながら惜しみなく笑顔を振りまいていたが、夕食のあたりから顔がとろーんとしている。


 もう夜の9時だ。本来なら眠ってる時間なのかな?


 一向に寝ようともしない。どうやら眠たくはないらしい。


「伊織、どうかしたか?」

「いえ、何でもないです」

「もしかして、予選落ちが心配とか?」

「やめてよ……縁起でもない」

「まっ、どうでもいいけどさ、伊織ちゃんがそんなに何かを心配してもじもじしてるのを見てると、全然張り合いがないっていうか、つまんないんだよねー。そんなんじゃマイナー店舗降格になっちゃうよー」

「うっ……ううっ……うっ」

「「「「「!」」」」」


 辺りは暗かったが、伊織が静かに啜り泣きする音が隣から聞こえた。


「ちょっと伊織ちゃん泣いてるよ! 千尋君が不安を煽るようなことを言うからでしょ! 謝ってよ!」

「ええっ、何で僕っ!? ……伊織ちゃん、ごめんね。ちょっと言い過ぎた」


 後部座席から伊織の悲しそうな後ろ姿を申し訳なさそうに眺める千尋。


「おかしいよ。いつもはこれくらいじゃ泣かないし、何なら歯向かってくるのに」

「確かに言われてみればそうだね。何か不安なことでもあったのかな?」


 千尋が花音と内緒話を始めた。原因は僕にも分からない。


 ここまで打たれ弱い伊織を見たのは久しぶりだ。幼児退行ってやつか? いや違う。もっと根深い問題があるはず。情緒不安定な伊織は何かに押し潰されているような窮屈な泣き顔を隠している。


 しばらくして帰宅する。桜子は引き続き車で、伊織たちを家まで送っていく。


 何がそんなに悲しいやらと思いながら扉を開けた。


「あず君、おかえりなさい。どうかしたんですか?」


 目の前には風呂から上がり、パジャマ姿のままずっと待ってくれている唯の姿があった。


「えっ……何が?」

「なんか思い詰めた顔でしたよ」

「大したことじゃねえよ。今日の地方予選だけど、色んなバリスタが参加してた。参加者の中にとんでもない奴がいてな。バリスタとパティシエの両方で一流を究めるって宣言までする子がいてさ」

「両方究めるんですか? それって難しくないですか?」

「難しいかもな。僕とてバリスタ以外はトータルで見るとさっぱりだし、何か1つでも究めるだけでも大変だっていうのに、最近の若手連中は大したもんだ」

「なんか台詞がおじさんっぽいですよ」

「おじさんゆうな。これでもまだ31なんだけどな」

「世間的にはもうおじさんですよ。私はそれでもあず君への気持ちは変わりませんけど――んっ!」


 思わずかぶりつくように唯の唇を奪い、豊満な膨らみを揉みしだいた。


 こんな時でさえ、心底では伊織のことが心配になる。僕はそれを誤魔化したかった。

読んでいただきありがとうございます。

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栗谷那月(CV:小見川千明)

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