表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社会不適合者が凄腕のバリスタになっていた件  作者: エスティ
第13章 群雄割拠編
307/500

307杯目「緊張と不安の払拭」

 ――大会2日目――


 300組いたチームは残り60組となり、準決勝の日を迎えた。


 ここから決勝の舞台に勝ち上がれるのは8組だ。どうやら準決勝までは総当たり戦を続ける方針のようだが、対戦形式の違いが勝負の行方を左右するだろう。


 準決勝は6つのグループに分かれ、10組毎に1つのグループに入り、ツーオンツーによる総当たり戦を行うこととなる。各グループの上位1位に加え、1位でないチームの中で最もスコアの高い2組も敗者復活となり、8組が決勝トーナメント進出となる。だがミスは許されない。これもダブルエリミネーションルールが適用され、2敗した時点で強制ドロップとなる。


 ツーオンツーはAB、BC、CAの組み合わせで3戦行い、3戦通しての総合スコアが高い方が勝ちとなるため、全員が必ず2戦行うこととなる。スリーオンスリーのように、ハンデを抱えた者を3戦目に置いて逃げ切る戦法は使えない。3分以内であれば、何度でもフリーポアラテアートを描くことができる。だが描けるのは実質2杯目までとなる。残った1人はポルタフィルターやコーヒーカップに触れること自体許されず、フリーポアラテアートを描くことはできないが、スチームミルクの作成は認められている。


 この日の朝、僕と同じ部屋で寝ていた千尋が真っ先にベッドから起き上がった。


 伊織は桜子と同じ部屋で眠っているようだ。


「あず君、今日の試合どうしよぉ~」


 ベッドの布団越しに千尋が覆い被さるように乗ってくる。


 千尋が困っている原因はもちろん伊織だ。決して仲が悪いわけじゃない。ただ、昨日の言い争いの後が気まずすぎて、お互いにコミュニケーションが取れていない。これは非常にまずい。コンビネーションが重視されるツーオンツーにおいて、この状況は武器を持たずに素手で戦場に殴り込むようなものだ。千尋もそれを理解しているが故に悔いている。事の発端は桜子だが、彼女も被害者のようなものだ。


「気楽にやれよ。勝ちたい気持ちは大事だけど、まずはラテアートを楽しむ気持ちがないと、コーヒーが微笑んでくれることはないぞ」

「なんか宗教みたい」

「誰だって何らかの信仰の1つや2つくらい持ってるもんだ。いくら無宗教とは言っても、どこにも属さない自由を望むなら、それはそれで1つの信仰だと思うぞ」

「理屈っぽい」

「それは君が言えたことか?」

「……とにかく、まずは伊織ちゃんとどう接するかだよ」

「まずは千尋の方から折れてみろ。どっちかが折れないと、永久にこのままだぞ。昨日の会場で言ってたよな。もし負けたら、僕の優勝記録を途絶えさせたことを一生言われ続けるって。伊織だってさ、そんな未来は望んじゃいないと思うけどな」


 桜子と2人きりになった時、僕らはある作戦を立てた。


 隣の部屋でもうまくいってくれるといいが――。


 朝食の時間になり、試合開始を前に4人でレストランに集まった。


「「昨日はごめん! ――えっ!」」


 伊織と千尋がまるで鏡に映ったように同時に頭を下げた。


 意図せず声がハモってしまい、これまた同時にお互いの顔を見る。


「「……ふふっ、あはははは!」」


 伊織も千尋も思わず笑ってしまった。


「昨日は言い過ぎた」

「千尋君だけじゃないですよ。私も言い過ぎました」

「伊織ちゃん、今日と明日、何としてでも勝つよ。立ち止まってる場合じゃない。朝食が終わったら課題の練習しよ。試合開始まで時間がない」

「うん。でも今日のツーオンツーって機械で判定するんだよね?」

「一致率の判定は人間より機械の方が優秀だし、形が全く一緒でも、同じ位置に同じものを描かないと、スコアを伸ばせない。動物なら中央に胴体、真横に頭、植物は中央に花を描けばいい」

「月とかの背景があった方が、スコアを伸ばせると思いますよ。確か一致率だけじゃなく、ラテアートの芸術性もスコアになりますから、あまりシンプルになりすぎない方が良いと思います」

「「……」」


 桜子が2人の弱点に気づいてしまった。背景やコントラストもスコアに反映されるが、複雑にすればするほど一致率は下がりやすくなるのだ。シンプルな方が手堅くスコアを稼げるとは思うが、僕と伊織はともかく、この中で最もフリーポアラテアートを苦手としている千尋には負担が重い。


 事実を突きつけられたのか、2人の顔がショートしてしまった。


「……あっ、ごめんなさい。私余計なことを」

「いや、良い指摘だと思うぞ。僕は複雑なフリーポアも描けるし、伊織は決められた手順通りにラテアートを描けるし、僕と一緒に描く分には問題ない」

「球落としはできるけど、ペンスティックなしじゃ、どうにもならないよ。あっちはある程度リカバリーが利くけど、こっちは全然駄目だぁ~」

「諦めたら駄目です。食べたら練習しますよ」

「……うん」


 珍しく千尋が伊織に押されている。


 デザインカプチーノは千尋の方が得意だが、フリーポアラテアートは伊織の方がまだ得意だ。問題は伊織が球落としができない点だが、明日まで生き残っていれば必要になるかもしれない。


「あれっ、葉月さんたちもここに来ていたんですね」


 松野たちが僕らの席の近くを通り、先頭にいた根本が僕らに声をかけた。


「えっ、根本さんたちも同じホテルだったんですか?」

「参加者の大半がここに泊まってますからね」

「周りを見てみろ。昨日よりも人が少ない」

「あっ、そういえばそうだね」


 千尋が周りをキョロキョロと見渡した。


 話を聞きながらのんびりとバターを塗ったパンを口に頬張った。昨日までは常に立ち上がってバイキング料理を取り分けている人たちで賑わっていたが、今日はめっきりと数が少なくなっている。


 観客はシアトル在住の人ばかりだ。ということは、マイケルがいた店も近くにあるのだろうか。


 それにしても、ほとんどのチームの人や、応援に駆けつけた人の多くは、昨日の時点で帰ってしまったあたり、バリスタ競技会はかなりドライな文化のようだ。しかも準決勝進出者に至っては、役員を除けばいずれもプロ契約を結んだバリスタばかりだった。本気度が全然違う。


「今日は僕らと同じグループみたいですね」

「組み合わせって、もう発表されているんですか?」

「ホームページに載っていたぞ」


 松野の言葉を聞いた伊織が慌ててスマホをポケットから取り出した。


 WBTC(ワブトック)のホームページを検索する。


「あず君、私たちのチーム、本当に松野さんと同じグループですよ」


 伊織がゾッとした顔で、ゆっくりと首をこっちに向けた。


「本当は決勝で当たりたかったんだけどな」

「準決勝は各グループの上位1組までが決勝進出ですから、必ずどちらかのチームが敗退しますね」


 今度は芽衣が真剣な眼差しで僕の顔を見た。


「できればマイケルジュニアと同じチームが良かったんだけどな」

「マイケルジュニアって、確かマイケルの息子で、今大会の優勝候補だぞ」

「どうしてマイケルジュニアと戦いたかったんですか?」


 沙織が僕に子供が聞くような愚問を尋ねた。


「何で分かりきったことを聞くかなー」

「あず君は先に最強のライバルを倒して、余裕を持って決勝を迎えてイージーウィンしたいの」

「言ってくれるな」

「マイケルジュニアのチームは個人の力が強い。できれば明日のワンオンワンで当たりたくなかった」

「決勝までいく前提かよ。相変わらずだな」


 僕らのマイペースにすっかり慣れている松野がクスッと笑う。松野たちは近くの席に座り、黙々と朝食を食べ始めた。伊織と千尋が真っ先に朝食を食べ終え、すぐに練習場所へと向かった。


 奇しくも再び僕と桜子の2人きりとなった。


「今朝の伊織はどんな様子だった?」

「とても……落ち込んでいました。千尋君に言い過ぎたって」

「まあそりゃそうだろうな。あの2人はよく似てる。行動力があって、やったことをすぐに後悔するところとかな。良くも悪くも子供というか、研究熱心で教授よりも精通してる」

「あず君もあんな感じだったんじゃないんですか?」

「よく言われる。僕はあそこまで慌てないけどな」

「ふふっ、貫禄が出てきましたね」


 桜子がとびっきりの笑顔を見せた。僕以上に人を観察することが得意のようだ。隅から隅までよく見ていることが窺える。そういえば、朝日奈珈琲先代マスターも僕の本質を逸早く見極めてくれていた。


 色眼鏡なしで人を見るところは先代マスターによく似ている。


「桜子、今日は観客席から見ていてくれ」

「あの……私にも手伝わせてください」


 震える右手を左手で抑え、桜子が喉の奥から声を振り絞った。


 注目を浴びている状況を思い浮かべるだけでも顔色が悪くなるくらいだ。このプレッシャーへの弱さを考えれば、バリスタ競技会出場は延期するべきだろうか。


「あがり症はどうした?」

「我慢します。あの時は突然のことで覚悟がなかったんです。伊織さんに聞きました。マイケルさんたちが手伝ってくれなかったら、失格になっていたって」

「気にすんな。大した問題じゃない」

「大した問題ですよ。自分が競技に出るわけでもないのに、あんなに恥ずかしくなるなんて。でもあず君たちの危機に比べれば、私の抱えている問題なんて、全然大したことないですよ。それを知ってからは、少し気が楽になりました。今度は大丈夫です。私に汚名返上の機会を頂けませんか?」


 目を逸らすことなく、桜子は真っ直ぐな瞳で僕を見つめた。


 何だか昔の璃子を思い出した。桜子になら話してもいいか。


「分かった。じゃあ引き続きサポーターを任せる。実は璃子がHSPでさ、対人関係が億劫で仕方なかったことを明かしてくれた。桜子にも近いものがある。今は念願の夢である引き籠りになった。将来の夢が引き籠りってところが、実に璃子らしいって思ったけどな」

「璃子さんはショコラティエじゃないんですか?」

「ショコラティエの仕事は、人とほとんど会話しないところ、チョコに対する強い興味、こういった要素が璃子にうまく合致したからで、本当は家に引き籠りたくて仕方なかった。でも璃子は世間体を気にしていたから、何かしら仕事に就かざるを得なかった。だからずっと自分を押し殺して、必死に堪えながら接客をしていた。今はショコラティエの仕事が全面的に成功して、本業をこなしながら本当にやりたかった引き籠りを始めたってわけだ」

「引き籠って何をやってるんですか?」

「動画配信とかで稼いでる。チョコレート動画も定期的に投稿してるみたいだし、これは誰にも会わなくても1人で稼げる時代であることを示してる。璃子はコミュ障とか、集団生活が苦手な連中に1つの答えを示した。もし大会とかで人に会うのが億劫なら投稿部に異動してもいいぞ」


 桜子にはコーヒーを創造する才能がある。


 だがそれを拒むかのようにあがり症を併せ持っている。就職しなかった人間には相応の事情があるとは聞くが、桜子が躊躇なく先代マスターの後を継いだのは、目立ちたくなかったからだ。


 気になった僕は進学も就職も視野になかったのかを聞くと、桜子は事情を話してくれた。


「進学も就職も考えました。周囲からも高校くらいは出て就職した方がいいと言われましたけど……就職したら人と関わることになるので、それだったら、先代の後を継ぐ方がいいと思ったんです。結局高校に通いながら後を継ぎましたけど、現実を見るよりも、続くかどうかも分からない夢を優先してる時点で、私も社会不適合者かもしれませんね」

「かもしれないじゃなくて、十分社会不適合者だ」

「どうして分かるんですか?」

「僕自身がそうだから」

「「……ふふっ、あはははは!」」


 思わず笑いが飛び出してしまった。何の因果だろうか。僕の周りは他の組織ではまず通用しそうにない連中ばかりだ。いや、僕が呼び寄せたようなものか。


 うちとていつ潰れるか分からないし、潰れるにしても、大量リストラの危機がくるかもしれない。その時までに、1人でも生きていける人間にはしてやるつもりだ。


 それが朝日奈珈琲先代マスターに対する、せめてもの恩返しだ。


 僕らは伊織たちに合流し、桜子は昨日の件を詫びた。


 取り返しのつかないミスを犯した新入社員のような顔だ。だが伊織も千尋も、今更過去を悔いるようなタマではなかった。2人共快く桜子を受け入れ、今後は準備だけ手伝うことを決意する。チームにとっては小さな一歩だが、桜子にとっては大きな一歩だった。


 午前10時、会場は大いに盛り上がっていたが、観客の数は以前にも増しており、僕らを歓迎するかのような熱狂ぶりだった。コーヒーイベントの時とは雰囲気が全然違う。これがシアトルの文化なのかもしれない。彼らにとって、大会はエンターテイメントなのだ。早くもツーオンツーの試合が始まった。どのバリスタも息がピッタリで、まるで同じ人が描いたかのような一致率が評価される一方で、より複雑なラテアートを描いたチームが最も評価が高いという結果を見た。無論、一致率が高いことが前提になるが。


「根本さんの試合が始まりますね」

「相手は優勝候補のカナダチームか。どこまでやれるか楽しみだ」

「根本さんと芽衣さんと沙織さんの3人で出場しているんですね」

「松野は現役復帰したとはいえ、基本的には根本たちのバリスタトレーナーだからな。次のコーヒーイベントに集中したいのもあるだろうし」

「メジャー競技会は全部6月に固定されましたから、予定は組みやすくなりましたけど、競技会を一本に絞る必要はないんですか?」

「僕は虚弱体質だったし、一度に複数の大会に出る余裕がなかったから一本に絞ってたけど、自信があるなら、複数の大会に挑むのは全然ありだ。それだけの自信と実力があるってことだな。でもチーム穂岐山珈琲とは同じグループだし、対戦するのは間違いないな」


 穂岐山珈琲はここまで無敗だった。3人共見事なコンビネーションだ。


 お互いに相手のカップを覗いているかのように、ほとんど同じ位置に百合の花が描かれている。あいつらも成長したな。相手のカップを覗くのは禁止であり、運び始めたらもう描き直しはできない。そのためお互いに背を向け合ってフリーポアラテアートを描くのだ。


 僕らが持ち込んだ各種道具が運営スタッフによって僕らの前まで運ばれてくると、バトンを受けた僕ら4人が会場まで運び設置する。エスプレッソマシンは大会用に設置されたものを使用するが、その他の道具は自ら持ち寄り、ステージのセッティングも行わなければならない。


 今回は桜子の助力もあり、どうにか時間通りに終わった。


「応援してますよ」

「何言ってんの。桜子も応援される側だぞ。観客席を見てみろよ」

「勘弁してくださいよぉ~。ただでさえ緊張してるんですからぁ~」


 ぐったりしている桜子と肩を組み、2人で観客席を見渡した。


 すると、観客たちが僕らを見ながら手を振り始めた。


「僕だけじゃない。桜子のことも応援してる。サポーターもチームの一員だ。桜子は1人じゃない。いつだって僕らがついてる。緊張するのは勝手だけど、怖気づくことからは卒業しろ。ここには桜子の敵なんて1人もいない。もし何かあったら、僕が守るから」

「! ――はい……何だか、余計に緊張してきました」


 桜子が赤面しながらうるうるとした大きな瞳で僕を見つめた。


 ハッと何かに気づいた桜子が僕に背を向け、少しばかり距離を置いた。


 その背中は僕にはとても小さく見えた。大人のように綺麗でスラッとした背丈が僕の神経を震わせながらも表情をうっとりさせる。後ろから見てもスタイル抜群だ。


「でも……不安はなくなりました……どうしてなんでしょうね。昨日はあんなに不安だったのに」

「徐々に慣れていけばいい。無理にとは言わないけどな」

「あず君、JBC(ジェイビーシー)予選までに、私なりの回答を考えておきます」

「分かった。期待せずに待ってる」


 桜子がステージから降りると、僕らを囲んでいる低めの壁の上に肘をつき、じっくりと僕らの様子を見守っている。誰にも期待されてないくらいが丁度良いと、桜子の目が僕に訴えかけていた。


 何故かは分からないが、そんな気がした。1人で考えたい気持ちはよく分かる。


 未だ無敗のチーム穂岐山珈琲に追いつこうと、僕らは息を合わせ、フリーポアラテアートを次々と描いていった。空いている1人がスチームミルクを作り、2人がお互いに背を向けながらフリーポアラテアートで課題となった動物や植物を描いていく。課題は全て事前に公開されているため、モチーフを作って一緒に練習していた分描きやすかった。僕が描いている時は一致率が90%を超えていたが、伊織と千尋が一緒に描く時は60%を超えるかどうかだった。だが思った以上にフリーポアラテアートがうまくなっていたのか、戦いを繰り返す内にラテアートの一致率が徐々に上がっていく。


 チーム葉月珈琲とチーム穂岐山珈琲が4勝0敗のまま、遂に激突することとなった。


 2敗で強制ドロップだが、1敗でもすれば、敗者復活枠に入らない限り負けだ。できれば全勝で準決勝を突破したいところ。ようやく直接対決かと思いきや、ここで一度昼休憩となった。


 時刻が正午を迎えたところで、松野が歩み寄ってくる。翔吾だけに。


「敵情視察とは随分余裕だね」

「俺たちにとって最大のライバルはチーム葉月珈琲だからな。ここでお前らを倒せば、俺たちは無敗で準決勝進出が決まるってわけだ」

「そうだな。でも負ける気はない」

「それはこっちも同じだ。早くも2敗して強制ドロップになるチームが続出している。つまり、ここでどちらかが1敗したところで、両方共準決勝に進める可能性が高い」

「言っとくけど、勝率が並んでいる場合は、全戦の平均一致率で敗者復活枠が決まる。それに敗者復活枠があるのは、どのチームも1敗で諦めないようにするためっていうのと、決勝トーナメントを円滑に進めるためにチーム数を調整する必要があるからだろうな」

「よくそこまで分かるな」

「うちも社内予選を何度か開催したことがある。運営の考えてることは手に取るように分かる。伊達に何度も大会に出てきたわけじゃない」

「だがお前らには致命的な弱点がある。それを克服しない内は、俺たちにはまず勝てないぞ」

「「「!」」」


 意外なことに、松野は僕らの弱点に気づいているようだった。


 僕らは個人の力が強い分、協調性もなければ同調性もない。それがチーム葉月珈琲が描いたフリーポアラテアートの一致率に表れている。平均一致率は常にスコアボードに表示されており、僕らは30チーム中12番目だ。1位とそこまでの差はないが、優勝候補にしては低い数字であった。


 チーム穂岐山珈琲は3位の一致率を誇る。誰が誰と組んでもほとんどブレがない。


 松野たちはチームワークの強さと細かい技術力で他のチームと差をつけていたのだ。


 この事実は、この後の直接対決において僕らが圧倒的不利であることを意味していた。

読んでいただきありがとうございます。

気に入っていただければ下から評価ボタンを押していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ