俺が遊華に告白した件について
今回は遊が告白する話です
頑張れ!遊!
では、どうぞ
告白って緊張する。どんな内容の告白でも同じだ。今の俺はそんな事言ってられない。いや、言ってる場合じゃないの方が正しいのか?まぁ、言い方はどっちでもいい。1つ言える事は10年前の……いや、今の遊華は正直……愛想ねぇな!これ俺が告白してフラれるじゃん!ドッキリでした~で流せるぞ!?やらないけど!!
ええい、男は度胸だ!!
「遊華、今から大切な事を伝えたいんだが、いいか?」
10年後の遊華が俺に好意をストレートに伝えてくれたならこっちの遊華に今度は俺がストレートに伝えるしかない
「何?私、アンタに伝えられる事あったけ?」
素っ気ねーな……この無愛想女が10年後に俺がいなくなっただけでヤンデレになったりするんだからビックリだ
「俺はお前が好きだ」
言った!言ったぞ!どうだ?俺だってやる時はやるんだ!
「──とに?」
遊華の声が小さくてうまく聞き取れない。俺の耳が遠くなったわけじゃない。遊華の声が小さすぎるのだ
「え?」
思わず聞き返してしまう俺。聞き取れなかったのは仕方ない。うん、仕方ない
「本当か?って聞いてんの!」
「あ、ああ、もちろん!本当だ」
あ、やっぱ何年経っても遊華は遊華だ。こういうところは10年後でも変わっていない
「本当に本当?」
そこまで信用ないのか俺は……10年後の遊華なら飛びついてきますよ?
「本当に本当だ」
「信じていいの?」
「ああ、もちろん」
「じゃあ、私たち恋人同士?」
「…………」
無言で目を反らす俺。遊華よ、俺の好きだって言うのが家族としての好きっていう風には捉えないのか?恋人同士って言うのは少し気が早いとか考えないのか?
「違うの?」
涙目で俺を見つめる遊華。いや、俺と遊華は実の兄妹じゃないから恋人同士でもいいんだけどね?
「いや、違わない。俺と遊華は恋人同士だ」
「嬉しい!やっと思いが通じた!」
遊華が俺に勢いよく抱き着いてきた。俺は躱す事なくそれを受け止める。兄妹だって思ってた時は遊華のスキンシップに抵抗があったが、今は違う。俺と遊華は恋人同士だからハグしようが、キスしようが関係ないし、誰にも咎められる謂れはない
「よかったな。遊華」
「うん!でも、これでお兄ちゃんとは呼べなくなっちゃった……後はお父さんとお母さんに何て言おうか?」
あ、やべ、勢いで好きだって言ったが、この時の遊華は俺が実の兄じゃないって知らないんだっけ?
「あー、その事を含めて今日にでも親父……父さんと母さんに話があるんだが、遊華も来るか?」
「うん……」
遊華と恋人同士になったのはいいが、この世界の親父と母さんは俺が真実を知らないと思っているはずだからな、それを伝えなきゃいけない
「じゃあ、俺は電話してくるから一旦離れてくれると助かるんだが」
「え?嫌に決まってんじゃん」
告白してからの遊華は一時でも俺と離れたくないんですか、そうですか
「いや、でも電話しなきゃいけないし」
「このまましなよ。それとも他の女に電話するの?」
「もし、そうだって言ったらどうする?」
この時代の遊華が10年後の遊華と同じ事をするわけがない。俺と遊華が恋人同士になった事で未来は変わるはずだ。だからヤンデレになるはずなんて─────
「許さないよ?何で他の女に電話するの?彼女の私を放っておくの?告白して付き合ったばかりなのに?ねぇ、答えて。答えてよ!!!」
ありました。ものの見事にヤンデレです。一体誰に似たんだ?親父じゃないのは確かだ。って事は母さんか……
「と、父さんに電話するんだよ!いろいろ話したい事もあるしな」
嘘は言ってない。父さんに話す事はある。俺の事や羽月さんの事、香月と美月の事などいろいろとな
「本当?信じていいの?」
「もちろん。俺が遊華に嘘なんて吐くはずないだろ?」
10年後の遊華がヤンデレだったおかげでこの時代の遊華がヤンデレでも落ち着いて対応できる。慣れって恐ろしいな
「じゃあ、ここで電話できるよね?」
「え?」
「で・き・る・よ・ね?」
「はい……」
俺は遊華に押し切られる形で遊華の目の前で親父に電話する事になってしまった。電話した親父はすぐに出てくれて、今日家に帰ってくる事を約束してくれた。親父に俺と遊華の関係について話があるって言ったら2つ返事でOKしてくれた。そして─────
「父さん、やけに帰ってくるのが早いな」
「まぁね。遊が僕に大事な話があるって言うから早く帰ってきたんだけど、何?彼女でもできた?」
俺が電話して30分後に帰ってきた。いつも通り弄ってくる親父に目に物を見せてやる!俺と遊華の関係について話す時は母さんも同席してもらうが、その後の話は親父と俺の2人きりでしよう
「ああ、彼女できたよ」
「へぇ~、あの遊に彼女ねぇ~」
あのは余計だ。まぁ、彼女ができた報告はついでだ。俺と遊華の本当の関係……恋人同士っていうのもそうだが、実の兄妹じゃないって話もさせてもらうぞ
「あら、遊に彼女ができたの?」
「…………」
俺に彼女ができたと聞いて楽しそうな母さんと無言の遊華。2人の手には人数分のコーヒーが入ったカップ
「さて、全員にコーヒーが行き渡ったところで遊の話を聞こうか?」
いつになく真剣な表情の親父が口を開く。多分、親父は俺がこれから何を言うか大体の想像は付いてるんだろう
「お兄ちゃん……」
隣りに座る遊華が不安げな表情で俺の服を掴む。まぁ、遊華からしてみれば不安だろう。実の兄妹で恋人になりました。なんて言うんだからな。だが、それを言うのは後だ。まずは……
「ああ、俺の話ってのはな、俺が父さんと母さんの実の子供じゃないって話なんだが」
「「────!?」」
「…………」
俺の発言に驚いてる遊華と母さん。無言の親父。普段おちゃらけてる人が無言になるっていうのが1番怖いんですけど?
「何か言ってくれないと困るんだが?」
特に親父と母さん。反応がないと俺がバカみたいだぞ……頼むから何か言ってくれよ……
「遊、知ってたのか……」
俺以外の家族が無言の中、親父が最初に口を開いた
「まぁ、ちょっとした事情でな。それより、俺が父さんと母さんの実の子じゃないっていうのは……」
「本当だよ。遊は僕たちの本当の子供じゃない。施設から引き取った子だよ。だけど、遊、それをどこで知った?僕も母さんも隠してたはずなのに」
このまま本当の事を言ってもいいが、母さんは俺が飛ばされた未来では死んでいる。さすがに本人がいる前で俺が飛ばされた未来の話をするわけにはいかない。なので……
「詳しくは言えないが、父さんと同じ経験をしてそれで知った」
「「?」」
「そうか……」
遊華と母さんは何がなんだかわからないと言った表情をしていて、親父は納得がいったという表情をしていた。
「で、次の報告なんだが……俺、遊華と付き合う事になったから」
「うん……」
「「あ、そう」」
2人してドライすぎるというか、薄情過ぎません?祝福するとかないの?まぁ、実の子じゃないって報告した時は驚いたけどさ
「2人ともドライ過ぎません?」
別に指摘しなくてもよかったんだが、この2人相手じゃ指摘したくもなる
「いや、遊は全部知ってるみたいだし?今更反対する理由なんてないでしょ?」
「そうね、全部知ってる遊に遊華と付き合うなとは言えないわね。まぁ、遊斗は冷やかすかもしれないけどね」
「あ、そう……」
反対されないのならもう何も言わないが……あ、そうだ、家族会議の場ではあと1つ言う事があったんだ
「それから、父さんに1つ頼みがあるんだがいいか?」
「ん?何?彼女の正しい扱い方でも教えてほしいの?」
こうして会話してると親父は何年経とうが誰と結婚しようが全くの変化なしだってよくわかる
「違うわ!地下の親父の隠し部屋をくれって言おうとしたんだよ!」
「ああ、あの部屋かい。いいよ」
あっさりと許可が出てしまった。で、遊華は話についてこれなくて戸惑っているし、母さんは母さんで興味がなくなったのか、キッチンで晩飯の準備をしている。
「話はそれだけだから。行くぞ遊華」
「あ、うん」
俺と遊華はリビングを出た。っていうか、俺にはまだ遊華に説明する役目と親父に羽月さんと会わせてもらう約束を取り付ける役目が残っている
「いきなりの事でいろいろ聞きたいと思う」
「うん……」
「だが、それはまず隠し部屋についてからにしないか?」
「うん、そうだね」
俺にとってはもう何度目かになるこの隠し部屋だが、この時代の遊華にとっては初めての隠し部屋。さて、遊華の反応は……
「ほえ~……」
呆けていた。まぁ、初めて来たんだから当然か……まぁ、慣れればそうでもないが、初めてなら呆けていても仕方ないか
「どうだ?デカいだろ?」
俺が作ったわけじゃないけど、何となく自慢したくなる。だが、いつまでも呆けていられても困るわけで
「お兄ちゃん、この部屋何?」
「隠し部屋」
「いや、そういう事を聞いてるんじゃなくて」
聞きたい事はわかっている。何でこんな部屋がこの家に存在するか?だろ?
「聞きたい事はわかっている。順を追って説明するから落ち着け」
「う、うん……」
「まず、この部屋は父さんが母さんと何かあった時の緊急避難用の部屋だ。それこそ、何日も出れない時の事を想定してキッチンや風呂、トイレを含む生活に困らないものや退屈しないようにパソコンやテレビの娯楽や本を保管する為の書斎もある。ここまでで何か質問はあるか?」
「どうしてお父さんが緊急避難する事になるかはあえて聞かないけど、質問は今のところないよ」
そう言ってもらえると助かる。親父の緊急避難の理由なんて大体想像がつく
「で、遊華をここへ連れてきた理由なんだが」
「うん」
「遊華には俺と一緒にここで生活してもらう」
「うん……ええっ!?」
かなり驚いてるな。まぁ、いきなりここで暮らせって言われたらビックリもするか
「さっきも説明した通り、ここには生活に困らないものが一式揃っている。まぁ、早い話が同棲の練習だな」
遊華の事だ遅かれ早かれ同棲したいなんて言い出しそうだと予想した俺はこの部屋を利用して遊華と同棲する練習をすると親父と母さんに付き合う報告をする前に決めていた。それが1つ、もう1つは10年後に飛ばされた俺は主にこの部屋で生活していた。今更元の自分の部屋へ戻るなんて生活のサイクルが狂てしまうから無理だという事。遊華の願いを叶え、俺の生活サイクルを元に戻せる。一石二鳥じゃないか
「どどどどどど同棲……」
遊華は俺と同棲した時の事を想像したのか、真っ赤になって俯いてしまった
「お、おい、遊華!?」
はぁ、こりゃ慣れるまでに時間が掛かりそうだな……妹が素直になってくれただけでもよしとしよう。俺にとっては大きな収穫なわけだし
今回は遊が告白する話でした
次回!本編は最終回です。ですが、番外編をやります。
多分、皆様の中には疑問に思う事や指摘したい事のある方がいらっしゃると思います。
番外編の第一弾は既に決まっています
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました




