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私が遊と1日過ごす件について

今回の主役は香月です

遊と香月の1日です

では、どうぞ

 今日は私、藤堂香月の1日の話だよ。でも、1日の話と言っても何を話せばいいんだろ?仕事の事?それとも、友達や同僚と遊びに行っている時の事?どれも違う……やっぱり私が遊と一緒に過ごしている1日の話をした方がいいよね。うん、そうしよう!


「おはよう、遊」


 私はいつもより少し遅く起きた。いつも遅くはないんだけど、今日はオフだし、朝寝坊してもいいよね?


「おはよう、香月」


 あいさつを返してくる遊は遊華ちゃんと美月の食器を食洗機に入れている最中だった。2人がいないって事は今日は私と遊の2人っきりって事?


「遊華ちゃんと美月は?」

「2人とも仕事だ」


 遊華ちゃんと美月はショッピングではなく、仕事に行っているらしい。知らなかった……だけど、2人がいないとわかった今、遊と思いっきりイチャつける!今日は遊を独占できる!


「遊、これから暇?」


 遊にも人付き合いがあるし、家事だってあるから暇?って聞かれて即答で暇だって答えてくれるわけないよね……聞いてる私もダメ元だし


「まぁ、香月が朝飯をさっさと食べてくれたら暇だな」

「え?」


 驚いた……私が朝ごはんを食べたら暇になるんだ。じゃあ、早く朝ごはんを済ませなきゃ


「いや、え?じゃなくて、さっさと朝飯を食べてくれないと片付かないから、さっさと朝飯食べてくれ。そうしたらいくらでも構ってやるから」

「うん!」


 私は目の前のトーストとサラダ、目玉焼きに手を付けた。遊の為だし、早く食べよう


「慌てなくていいからゆっくり食べてくれ。詰まらせたら困る」

「うん!」


 遊は私が早く済ませようとしているのを察してくれたのか、ゆっくりでいいと言ってくれた


「さて、香月が朝飯を食べている間に俺は一息入れるが、香月は何か飲むか?」

「それじゃあ、コーヒーお願い」

「はいよ」


 遊はコーヒーを淹れにキッチンに戻っていった。やっぱり遊は優しい……寝坊したのは私なのに、飲み物のリクエストまで聞いてくれるなんて……


「ほれ、コーヒー」


 私の前にコーヒーを置き、遊はその迎え側に座った。今日はアイスコーヒーの気分なんだね?遊


「ありがとう」


 私はアイスコーヒーに口を付けた。ホットもいいけど、たまにはアイスもいいものだ。


「俺の気分でアイスコーヒーにしたけど、大丈夫か?もし嫌なら淹れ直してくるが?」

「私もアイスの気分だったからいいよ」

「そうか……」


 本当は気分とか関係ない。遊に出してもらったものなら何でもいい。遊と同じものなら私は文句言わないよ


「さて、朝ごはんも食べ終わったし、これから何しようか?」


 トーストとサラダと目玉焼きだったので食べ終わるまでに時間は掛からなかった。


「何かする前に口元にジャム付いてるぞ」


 遊に指摘されるが、ここに鏡がない為どこにジャムが付いてるかわからない


「遊、とって」


 子供みたいだし、自分で取れるけど、私は遊に取ってほしかった。


「子供かよ……ったく、動くなよ?」

「うん」


 何だかんだ言って最終的にはやってくれる遊。私はそんな遊が好き、大好き


「ほら、取れたぞ」

「ありがとう」


 今の私と遊はどんな風に見えるのかな?恋人同士?それとも、夫婦かな?いや、親子?まぁ、いいや。私は遊といるだけで幸せだから


「さて、本格的に暇になったな。何する?」


 朝ごはんを済ませ、私の分の食器を食洗機に入れた遊が戻ってきた。食器を食洗機に入れた後は機械が勝手に洗ってくれるのでやる事と言えば掃除なんだろうけど、遊の事だからきっと私が起きる前に済ませているんだろう


「何する?って言われても私も特に思いつかないなぁ……」


 いざ何する?って聞かれても何も思いつかない。いつもなら遊といろんな事をしたいと思っていても聞かれたら何も思いつかない。だけど、今日という日は1度しかないから時間は有効に使わないと


「映画でも観るか?」


 何も思いつかない私に遊からの提案。問題は映画を観に行くか、家にあるDVDを観るかだけど……


「うん、でも観に行くの?それとも、家にあるDVDを観るの?」

「どっちでもいいぞ?上映中の映画で観たいものがあれば観に行くし、特にないなら家にあるDVDを適当に探して観るし」


 今のところ気になる作品はないし、せっかくのオフの日だから家で遊と2人っきりでいたい


「うん、それでいいよ」

「んじゃ、親父の部屋から適当に持ってくるけど、どんなものがいい?」

「ホラー系以外ならなんでもいい」


 私はお化け屋敷が苦手なのは遊も知っている。お化け屋敷も苦手だが、ホラー系の映画、ドラマ、アニメ等も苦手だ


「ホラー系以外で適当に持ってくる」


 遊はリビングから出て父さんの部屋へDVDを取りに行った。前は私も一緒に行ったけど、父さんと母さんの営みのDVDを見つけて遊と気まずくなったので、今回は遊に任せる事にした


「持ってきたぞ」

「ありがとう」


 遊は5分と掛からずに戻ってきた。戻ってくるの早くないかなぁ……


「親父の部屋からホラーとその他世に出せないやつと俺の年齢に引っかからない範囲のやつ適当に持ってきた」


 テーブルには5枚のDVDが置かれていた。私はこの中から適当に観るやつを選ぶ。映画館で観たい映画はない。だからと言ってこのDVDの中で観たい映画があるか?って聞かれると、これと言ったものはない。だって、私は遊と一緒にいたいだけだから


「じゃあ、これ観よう」


 私は5枚の中からコメディー映画を選択した。別に最初だからコメディーを選んだんじゃなくて、ただ何となくで選んだだけだった


「そうだな、んじゃ、ディスク入れといてくれ。俺はその間に何か摘まめるものと飲み物持ってくる」

「うん、お願い」


 私は遊に言われた通りにプレイヤーにディスクを入れ、再生ボタンを押す。最初は宣伝映像だから再生していても問題ない


「オレンジジュースでよかったか?」

「うん」

「ポテチと一緒にここ置くぞ?」

「うん」


 遊は私の目の前にジュースとポテチを私の目の前に置いてくれた。目の前に置いても声を掛けてくれる辺りは遊らしい


「お、始まるな」


 予告が終わり、本編が始まる。


「そうだね」


 遊と2人きりなせいかな?うまくしゃべる事ができない。コメディー映画でも好きな人といれば緊張する……


「お、結構これ面白いな」


 隣りで遊がポテチを摘まみながら呟くが、私はそれどころじゃない。遊が横にいるだけでドキドキする


「──き」


 遊とずっと一緒にいたいなぁ……


「──つき」


 このまま時間が止まればいいのに……


「香月!」

「あ、ご、ごめん!何?」

「いや、映画終わったんだけど?」


 気が付けばエンドロールが流れていて映画が終わっていた。どうやら私は途中から映画よりも遊の事を考えるのに夢中で映画に集中できていていなかったらしい。遊に呼ばれている事にも気づかなかった


「そ、そう」

「どうした?具合でも悪いのか?」


 遊が心配そうに顔を覗かせてくる。違う。具合が悪いんじゃない。遊の事を考えていてボーっとしてたなんて……言えない


「う、ううん、どこも悪くないよ」

「そうか。だが、体調悪くなったら言ってくれ」

「うん」


 遊は優しい。いつも思っているけど、今回は特にそう思わされる。私がボーっとしてただけなのに心配してくれる


「やっぱ映画は止めるか」

「え?」


 いきなり何を言うの?遊!?私別にどこも悪くない!ただ、遊の事を考えすぎただけ!


「いや、香月が具合悪いなら無理して観る必要なんかないんじゃないかなぁ~と思って」


 そんな……私はどこも悪くないのに……だけど、遊にこれ以上心配を掛けるわけにはいかないし……


「じゃあ、映画は止めて遊の部屋にいかない?」


 言った……言ってしまった……私のバカ……


「はい?」


 ほら、遊がキョトンとしているし……


「具合の悪い私の看病を遊にしてほしいな」

「別に構わないぞ」


 遊は即答でOKしてくれた。半分冗談で言ったのにまさかOKしてくれるとは思わなかった


「私が言い出しといてなんだけど、風邪移っちゃうとか考えないの?」


 普通は風邪が移っちゃうとか、義理の姉とはいえ姉の看病とか15歳の男の子なら嫌がると思うんだけど……


「別に俺は特に仕事をしているわけじゃないし、肩書は羽月さんの事務所所属声優ってなっているが、仕事もほとんど来ないし構わない。それに、嫌がる理由がないからな」


 淡々と言ってのける遊だけど、私の看病嫌じゃないんだ


「ありがとう、遊」

「別にいい。んじゃ香月の部屋に行くか」


 遊はコップとポテチをキッチンに戻し、私の部屋に行こうとする。だけど────


「私は遊の部屋で看病してほしいな」


 私は自分の部屋より遊の部屋に行きたい


「自分の部屋の方が落ち着かないか?」

「ううん、私は遊の部屋の方が落ち着く」


 自分の部屋よりも好きな人の部屋で看病された方が落ち着く。それは多分私だけなんだと思う……私は普通の恋する乙女を知らないから何とも言えない


「まぁ、香月がそう言うなら俺の部屋でもいいぞ」

「うん!」


 自分でも単純な女だと思う。好きな人の部屋に入れるとわかった瞬間、元気になるなんて単純以外の言葉が思いつかない


「香月って意外と単純なんだな」

「うっ!」


 遊に図星を突かれてしまった……そーですよ!どうせ私は単純ですよーだ


「図星か……」

「う、うるさい!」


 図星を突かれて反論できない私。情けないなぁ……遊より年上の私が自分より年下の男の子に図星を突かれて反論できないなんて


「どうどう、落ち着け香月」


 遊は私を馬のように扱ってくるけど、私は馬じゃない!


「私は馬じゃないよ!遊!」

「わかってるって」


 わかってると言いながらもケラケラと笑っている遊とこんなやり取りもいいなと思っている私。ああ……私もうダメだ……完全に病気だ


「わかってない!遊は香月をからかって楽しいの?」


 私の悪癖とも言える武器である幼児退行。自分で悪癖と自覚しているけど、遊は女性の涙に弱いから使わない手はない


「ご、ごめん!」


 私の嘘泣きにアタフタする遊はやっぱり年頃の男の子なんだと思う


「悪いと思ってる?」

「ああ!」

「じゃあ、今日はずっと私といてくれる?」

「ああ!」

「私と一緒に寝てくれる?」

「ああ!」


 よし!言質は取った!約束通り私と寝てもらうからね!遊!


「じゃあ、遊の部屋に行こっか」


 私は幸せな気分で遊の部屋へと向かった。もちろん、遊と手を繋いで


「香月、どうしても一緒に寝ないとダメか?」


 遊の部屋の寝室に着いた途端に遊は決心が揺らいだのか、一緒に寝ないとダメか?なんて聞いてきた


「遊、リビングで言った事覚えてる?」

「ああ、もちろん」

「じゃあ、寝てくれるよね?」

「い、いや、それは……」

「ね・て・く・れ・る・よ・ね?」

「はい」


 力なく頷く遊を可哀そうだとは思っても約束は約束だし、一緒に寝てもらう。自分でも強引かなとは思うけど、そんな思いよりも好きな人と一緒に寝たいって気持ちの方が大きい


「じゃあ、寝よっか?」

「はい」


 遊が終始敬語だったのはこの際気にしない。遊とは結局、美月と遊華ちゃんが帰ってくるまでベッドで過ごした。遊はどう思っているかわからないけど、私にとっては充実したオフの1日だった事を最後に話しておこうかな



今回は香月が主役でした

次は美月かなぁ……

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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