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ぱち屋バイトよもやま話  作者: 山本遊佑
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みつかっちまった パチ屋をやめる パチ屋バイト最終日 兵どもが・・・。

 らっきーせぶんせぶん!

 みつかっちまった

 

 ぱち屋バイトが10ヶ月過ぎた頃だった。

 実家での夕食中に母が真顔で言ってきた。

「あんた」

「?」

「パチンコ屋で働きよると」

 核心をつく一言に、ご飯がのどに詰まる。

「!・・・ん・・・?・・・どうして」

「大川の親戚がパチンコ屋でアンタを見たって」

「・・・・・・」

 固まる私。

「やっぱり」

 母は溜息をつく。

「いや、ほら社会勉強で・・・ずっとやる仕事じゃないと思っているよ」

 私は、しどろもどろに答えた。

「あなたの人生・・・仕事に悪い良いもないと思うけど。ちょっと考えなさいね」

「はい」

 私は頷いた。

そして返す言葉がみつからなかった。



 パチ屋をやめる


 一言でいえば親にバレたことで、世間体とか考えるようになって、ここまでと辞める決心に至った。

 ただそれだけの話である。

 バイトは楽しかった社員への誘いもあり迷った・・・そしてバレていろいろ思っている。

(これはいれないな)

 と、数日後、副店長に退職届をだす。

「そう」

 あっさりと受理された。

 それはそうだろう、パチ屋バイトはそんなものだ。

 出入りの激しい業界。

 突然消える人もいるし、私はまっとうな辞め方をしている方だ。

 でも、なんか心残りがある。

 なんだろう。それは当時分からなかった。

 今思えば、この仕事、好きだったんだろうな。



 パチ屋バイト最終日


 今日でバイトが終わりと思うと、感慨深い。

 わずか1年ほどだけど、この仕事やってみて良かったという思いは常にあった。

 バレてやめるってのが、なんだかなと感じるがなんとも・・・。

 朝礼で私が今日限りということを告げられる。

 一言を求められて、パチ屋のだらりとした雰囲気にそぐわず私は思わず涙ぐむ。

「およそ1年ほどお世話になりました。次の仕事に行っても頑張ります。最後に(これが余計だった、汗)マイクアナウンスだけは自信を持って一生懸命やりました。みなさんマイクも頑張って」

 しーん(笑)。

「ま、そういう訳だ」

 と、主任。

(どういう、訳だ)

 私は最後のマイクを握りしめ、熱の入ったアナウンスをとばす。

 今日も閑古鳥鳴くホールにオッサンの声が響いた。


 

 兵どもが・・・。


 数年後、久しぶりにバイトをしていたパチ屋の通りを車で走る。

 店は撤去、奥まったところにダ〇ナムが建ちはじめていた。

 同僚からお店が潰れたことを聞いた。

 前年には、近隣のパチ屋デル〇ンも閉まっていた。

 移り変わりの激しいパチンコ業界。

(続けていても・・・)

 ふと、寂しい気持ちが過ぎる。

 だけど、いつか色褪せる思い出の中で、異色な出来事、この出会いに感謝。




 やっぱり、この回で完結でしょうね。

 77回、なんとかやってきましたっ!


 皆様、私の拙い文を読んでいただき、ひたすら感謝でございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] イキイキとして働いていたのに世間体等を考えて辞める決心をする。 何とも言えない話だが、それも1つの人生。 [一言] パチ屋ではありませんが、 私も合法ではありますがアングラ的な仕事に誘われ…
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