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リニューアルオープン後、朝一の光景
リニューアル後。
起死回生を狙ったリニューアルオープンも不発と終わり、数日でいつものホールの姿へと戻った。
朝の並びも開店前にやって来る熱心なお客さんも減っており、今日は3人という有様。
整理券を持つのが恥ずかしいぐらいだ。
「やっぱ駄目やね、この店」
「はあ」
そう言われるのは、悔しいが周りの競合店に対し、出玉をだして勝っているかといえば、そんなことはないので、まあなるべくしての現状なんだろう。
中規模店の悲哀ってものか・・・。
私は、腕時計を見る。まだオープンまで10分ある。
ドアの前に立ち、並ぶお客さんとの気まずい沈黙。
「ねぇ」
と、話しかけるお客さん。
「はい?」
「設定教えてよ」
「私、バイトなんで」
「知っとろうもん」
「いいえ」
「はあ・・・・・・はいはい」
お客さんは諦め顔で、溜息混じりに、ふるふると首を振る。
インカムから連絡が入る。
「はい。オープンです」
「了解」
私は笑顔をつくる。
「お待たせしました。中へどうぞ。開店でございます」
朝の一幕。




