~ぱち屋真夏のこわーいお話➃~
結局、どんな手口だったのか。
こちらもパチンココーナーでの話。
羽根物コーナーが異様な殺気に包まれていた。
ビリビリムードがシマ内から伝わってくる。
担当バイトの子も渋い顔をしている。
羽根物常連親父ーズも不満顔で、首を傾げている。
見知らぬ4、5人のお客さんが羽根物コーナーに陣取り次々と当たりをあてている。
まさか、うちのパチ屋がこんなに気前よくフィーバーさせるなんて・・・。
などと思ったら、上がバタバタしだす。
上司のインカムからは、私も加勢して密着マンマークを告げられる。
「出方がおかしいから、怪しい動き見て」
(すわっ!ゴトか)
私は表情を引き締め、そのお客さんの背後に立つ。
彼は涼しい顔をして打ち続ける。
「怪しいとこは」
「分かりません」
私はじっと観察するも、怪しい動きは発見できなかった。
「分かった」
続いて、副主任、主任によるマンマークが発令される。
慌ただしい動きのホール。
やがて、その集団との話し合い。
そして、ポリスメンの登場。
二度と来ないということでの和解。
彼らが去って行った後も、その熱はしばらく冷めなかった。
あの空気感は、バイトをやっていて、はじめての経験だったなあ。
分らんかったなあ。




