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ぱち屋バイトよもやま話  作者: 山本遊佑
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羽根物コーナーはひと癖あるぞ

羽根物コーナー。


 CR(プリペイドカードを使用したパチンコ機)のデジパチコーナーが、ある程度出来るようになると、次は羽根物コーナーを担当することになる。

 当時はデジパチ全盛で羽根物が少しずつ廃れていく頃、だけどこの店は珍しく、一シマが羽根物であった。


 羽根物は基本、鳴きと呼ばれるポケットに玉が入ると、中央上部の羽根が開く。その開いたところに玉を通し、役物とよばれる障害物をクリアし、V穴に入賞したら、大当たりが開始される。パチンコ本来の玉の動きを楽しんで遊ぶ機種である。投資額も比較的少なく、大勝ちは出来ないが長時間遊べる仕様となっている。


 そんな羽根物の人気機種「玉ちゃんファイト」と「ファインプレー」が向かい合わせに設置されていた。

 当時もかなり古い機種で、よくハンドルのバネが効かず、玉が飛ばなかったり、釘渋のせいで、玉がよく盤面にひっかかったりしていた。

 なので、発射台の清掃はかかせない、ほぼ毎日やっていたような。

 釘折れなどもあり、そのさい台は遊戯停止となる。

 海千山千のお客さんが多いのも、羽根物コーナーの特徴である。

 そのやりにくさといったら、デジパチの比ではない。

 特に、たまに羽根物が閉じるとき、玉がひっかかった時・・・あーどうだっかなあ、かなり記憶は曖昧だが、大当たりの保証をしていたような。

「兄ちゃん、15ラウンドでな」

「はあ」

「お前~3ラウンドやないけ~!」

「はあ」

 ※3種類の大当たり3、7、15とあり、数字の大きいラウンドの方が当然多くの出玉が確保される。

 また、パンク(ラウンドを更新する為にV穴に入れて継続させる)は、ハンドルの調子がおかしく玉が飛ばなかったからだというイチャモンをいれるお客さん(当人にとっては死活問題だろうが)もいて、なにかと大変なのがこのシマなのである。

 あと台叩き、羽根物はこの行為が顕著に見られる。海なんかでオカルトで叩くのはまだ可愛い方である。

 台を叩くことにより、玉の動きや役物の動きを変え、V入賞を意図的に狙えるのが羽根物であった。ある意味、ゴト(不正手段を用いて出玉を獲得する)行為。

 なので、うちは基本、羽根物での台叩きは、1、2回目注意、3回目は退場としていた・・・これを言うのが億劫で・・・なんせ同じ方が多かった(笑)。

 やっぱお金が絡むので、必死だよね。


 担当時はちょっぴり気を引き締めます。

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