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高校時代に戻った俺が同じ道を歩まないためにすべきこと  作者: 夜月紅輝


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332/333

第332話 だいぶキレの良い射撃してたよ

 その言葉はあまりにも致命的な一言のように感じた。

 言うなれば、俺と大久保君はステゴロで殴り合っていたような状態だ。


 まぁ、こちらがあまりにもボコボコにやってる気もするが、それは一旦置いておくとして。

 そんな状況の最中、大久保君はあろうことか美玻璃ちゃんに助けを求めた。


 その結果、彼女が返したのが拳での一発ではなく――銃での一撃だ。

 スッと返した彼女の言葉は、もはやそれぐらいの威力があるように感じた。

 あまりにも綺麗に入ったカウンターに対し、大久保君も絶句しちゃってるし。


「あの、もうこの際だから言わせてもらいますけど、人の恋愛事情に首を突っ込むのはどうかと思います。

 付き合う上での問題は当事者同士の問題であって.....それに、勝手に気持ちを決められるのも困ります」


 背中側から俺の裾を握り、そこから勇気を振り絞って言葉にする美玻璃ちゃん。

 その声は多少震えていたが、それでもしっかりと相手に伝わる声量をしていた。

 そして、「それに」と言葉を続けると、


「私......別に、あなたと話したいと思っていませんから」


「.......」


 えっぐい光景を見てしまった。最初に浮かんだのはそんな感想だ。

 無手の相手に銃口を突きつけ、何の躊躇いもなく引き金を何発も引いていく。

 もはや先程の一発だけでも致命傷だったのに。

 そして最後に至っては、銃というよりもはやロケットランチャーに近かった。


 俺の幻視の中では、大久保君は既に爆散している感じだ。

 実際それは間違ってないのか、そんな一言を言われた大久保君は見事に固まっていた。

 言われた言葉が理解できないようで、目が点になり、口は半開き。


 正論パンチ、いや、正論銃撃からの想い人からのお気持ち表明ロケットランチャー。

 もし仮に俺が言われたとしたら、その場に崩れ落ちてしばらく動けなく自信がある。

 少なくとも、それだけの威力があり、そして何も間違っていないというのがミソだ。


「......言葉も出ねぇ」


 俺との舌戦の中、大久保は早口で俺の人格否定をしていた。

 さながら「お前は美玻璃ちゃんと釣り合っていない」と遠回しに言うように。

 加えて、彼は美玻璃ちゃんの気持ちを代弁するかのような発言もしていたな。


 その時点では大久保君は、俺に対して優位に立っていたと思っていたのだろう。

 そりゃまぁ言い返してなかったし、一方的に意見を主張出来たら気持ちいいだろうな。


 だけど、そんな俺に口撃を意識するあまり、彼は失念していた――美玻璃ちゃんに対する好感度を。

 もっとも、もともと好感度は低かったが、それが氷点下以下に下がったというか。

 いや、氷点下から絶対零度領域まで下がったとすら言えるかもしれない。


 ともかく、そんな感じで美玻璃ちゃんからのヘイトを高めすぎていたのだ。

 そりゃそんなことも言われる。そもそも付き合ってもいないお前が何様だってな。

 容赦のない言葉であったが、非常にスカッとしたので気分は良い。


「は、ははは........」


「.......?」


「あははははは!」


「「――っ!?」」


 突然肩を震わせたかと思うと、直後には大きな声で話し始めた。

 その声は結構大きく周囲から妙な視線を集めていく。

 考えてみれば、服屋でどのくらい話し込んでんだって話だよな。


 服選びしてるなら未だしも、全くもって関係ない話だし。

 すんません、たぶんあとちょっとしたら帰りますんで。

 っと、それはそれとして、問題は目の前よな――どうした? ついに壊れたか?


「いや~、僕は嬉しいよ!

 まさか久川さんがここまで僕に心を開いてくれるなんて!」


「え.......え?」


「だって、そうでしょう? 今までの君はずっと僕の顔を伺うばりだった。

 だけど、今はこんな風にしっかりと僕に意見できるようになったんだから。

 人形になるような相手のことを僕は気に入ったりしないからね」


 気が狂ったような上機嫌でもって、大久保は左手で顔を覆いながらしゃべる。

 言っている内容、声色、笑い声......聞こえるそれらは全てプラスの感情のように感じるだろう。

 しかし、そんな中でも俺は確かに見た――彼の中にある確かな怒りを。


 左手で顔を覆いながらも、指の隙間から見える目が全然笑っていなかった。

 獣のような野性味すら感じるそれは、もはや「絶対に逃さない」と言っているようにも感じられて。

 ......これは下手すれば最終兵器案件かもしれん。


「確かに、彼氏彼女のデート中を邪魔すのは無粋だったね。

 僕だってされて嫌なことを君に強要していたわけだから。

 そういうわけで、僕はここら辺でお暇させてもらうとするよ」


 そんなことを考えていると、大久保は俺達に背を向け、顔だけ振り返ってそんなことを言った。

 それから数歩歩くと、一度立ち止まって、


「そうそう。そういえば、彼氏の方は......えーっと、誰でしたっけ?」


「早川だけど」


「早川先輩ね、僕は人の名前を覚えるのは苦手だけどあなたのことは覚えたよ。

 それじゃ、早川先輩――束の間の夢でも味わっているといいですよ」


 そんな捨て台詞を吐き、大久保はその場から立ち去っていた。

 彼の姿が完全に消えるまで見送ると、俺はようやく大きくため息を吐く。


 同時に、俺の背中にもたれかかるようにして体重を預ける美玻璃ちゃんのため息も聞こえた。

 しかし、すぐに自分がしていることに気付くと、彼女は体を離し、


「すみません、寄りかかってしまって」


「全然大丈夫だよ。それよりもそっちもお疲れ。

 トラウマ相手に対してよく頑張ったと思うよ。

 勇気を出して反論するなんて凄いじゃないか」


「それは......なんというか、その......単純に早川先輩が貶されてるのに腹が立って」


 そんなことを言うと、自分が思わぬことを口走っていたと自覚したようで、美玻璃ちゃんがすぐさま口を押えた。


 しかし、既に俺はしっかりと聞いてしまっている。

 それこそ、あまりにも意外な言葉だったので脳内フォルダに保存してしまった。

 そんな俺の反応から全てを察したのか、彼女は腕を組んでふんぞり返ると――、


「さ、さっきのはあくまでお姉ちゃんが大切にしている人が悪く言われてるのが気に入らないだけであって、決して先輩のために言い返したわけじゃありませんから! 変な勘違いとか迷惑です!」


「おぉ~~~」


「なんですか、その妙に嬉しそうな顔と拍手は!?」


 いや、今や令和の時代にここまで綺麗なツンデレを見れたのが嬉しくて。

 やはりなんだかんだ言ってツンデレっていいね。見てて気持ちがいい。

 そんな俺に対し、睨みつけるような目をしながらも、話題は先程の大久保に戻るようで、


「にしても、これは無事に解決出来たということで良いのでしょうか。

 なんというかその.....これで終わった気がしないんですが。特に最後の言葉とか」


「あー、ね」


「『あー、ね』って明らかに先輩を目の仇にするような言葉でしたよ!?

 さすがの私でも先輩が傷つく姿は見たくないというか、私のせいで迷惑をかけることに申し訳が立たないといいますか......」


「う~ん、それに関しては大丈夫かな」


「何か当てがあるんですか?」


「あるよ。といっても、本当は使いたくなかったんだけどね。

 でも、さすがの俺も自分の身の方が安全だし、アイツ的にも俺が無傷の方が良いと思うから」


「......?」


 何を言ってるかさっぱり――といった顔をする美玻璃ちゃんをよそに、俺はスマホを操作する。

 素早くレイソから通話をかけると、声の主に対して俺は情けなくお願いした。


「ごめん、力を貸してもらっていいか?」

読んでくださりありがとうございます(*^_^*)


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