表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高校時代に戻った俺が同じ道を歩まないためにすべきこと  作者: 夜月紅輝


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

295/321

第295話 他者から見える側面

 スーパーでザッと既製品を見渡した後、俺達はショッピングモールへ向かっていた。

 その道中、勇姫先生が聞きたいと思っていた質問に答えることになり、


「まず、最初は誰から来て、どんな風にチョコを貰い、あんたが思う彼女達の態度を教えなさい」


「それ聞いて何がわかるんだ?」


「少なからず、彼女達の人となりがわかるわ。

 そりゃ、同じクラスだったんだから、嫌でも目立つあの三人もとい唯一の年上も含めた四人のことはわかっているつもりだけど、それでもあんたにしか見せない態度ってのがある気がするから」


「なるほど、自分の情報だけじゃ正しいアドバイスは送れないってことね」


「そもそも正しいかどうかも怪しいけどね」


 そう言って、勇姫先生は苦笑いを浮かべた。

 まぁ、俺も無理を言ってるのはわかってるつもりだし、正確なものを求めてるわけじゃないけど。


 とはいえ、女性視点でしかわからない情報というのもあるわけで。

 そんなことを思いながらも口に出さず、とりあえずあの時の状況を思い出しながら語った。


「――なるほど、一番手があの夏休みデビューした東大寺さんで、次が誰にでも分け隔てない元気さん、次に唯一の二年生の白樺さんで、最後があの美形の久川さんね」


「勇姫先生クラスでも玲子さんのことは美形って思うんだな」


「当たり前よ、あれが天然ものってことに最初こそ嫉妬すら覚えたわ。

 もっとも、隼人君と相性が悪いってのと、あっちは美人系で私は可愛い系って住み分けしたことで溜飲を下げた感じだけどね」


 そう言葉にしながらも、勇姫先生の口調はどこか自分を言い聞かせるようにも聞こえた。

 とはいえ、まさか嫉妬までしてるとは思わなんだ。

 そう考えると、久川さんってやっぱり別格なんだな。


「にしても、バレンタインのことを話したけど、それで何がわかるんだ?」


「私が知らない彼女達の本当の性格というべきか。

 簡単に言えば、肉食か草食かみたいな感じね。あくまで主観だけど」


 肉食か、草食か......ふむ、なるほど。

 バレンタインのお返し選びで何が重要なのか全然わからんが、性格分析には必要なのか。

 まぁ、その二つの言い方をしてるが、要は積極的か奥手かの話だしな。


「で、それから何がわかったんだ?」


「そうね、大雑把に言うと、自分のことながら女は侮れないということね。

 もしくは、人は見かけによらないというべきかしら」


「ごめん、何一つ情報が伝わってこない。え、つまり、どういうこと?」


「まず、あんたの意見を聞かせなさい」


 聞き返しても勇姫先生から欲しい解は貰えず、それどころか逆に聞き返された。

 なので、仕方なく答えることにした俺は、腕を組み、思案すると、


「そうだな.....直観的な印象だと、肉食系ってのは先輩と玲子さんかな。

 んで、逆に草食系ってなると、琴波さんやゲンキングとか?」


 当然ながら、その選定は見た目の印象に限らずというべき理由がある。

 いや、もっと言えば、特に見た目は関係ないかもしれない。


 まず、肉食系に挙げた二人だが、やはり評価基準は積極性というべきか。

 その二人に関しては特に行動力が大きいように見られる。


 玲子さんにはハグを求められた時もあったし、先輩からは先日もデートに誘われたし。

 それに、二人はまるで縄張り争いするようにいがみ合うこともあるしで。

 そういうのってやっぱり肉食同士じゃないと起こらないのかなって。


 対して、草食系と思われる二人は案外そういって遊びに誘われることは少ない。

 琴波さんからはほぼ無いし、ゲンキングからはあってもほぼ遊びで終わる。

 ゲーセンデートと言えばそれまでだけど、オンラインだってほんと遊んで終わるだけだし。


 まぁ、時折二人が違った表情を見せる時もあるけど、それは人間、その時々の状況によってどうにでも変わるわけで。

 と、言ったところを伝えたところ――、


「......ハァー」


 割と大きなため息を吐かれて、勇姫先生に飽きれた表情を浮かべられた。

 まるで見当違いな意見を聞かされてうんざりしたような、ガッカリしたような。

 それだけ一緒にいて一体何を見てきたのとでも言わんばかりの仕草だ。


「......ま、男だからって言うと主語が大きすぎるから、あんたに限ってはそう見えるわよね。

 良い顔をしてるというか、もしくはあんた側の補正認識に問題があるというのか」


「え、なんかすみません......」


「別に謝らなくてもいいわよ。責めて言ったわけじゃないし。

 まぁ、あんたの認識の甘さってのは気になる所だけど、それ以上に相手が悪かったというべきか、相手の隠し方が上手いってだけの話だから」


「それで、その、勇姫先生の意見としては結局......?」


「私はあんたと真逆の意見よ」


 真逆って言うと、肉食系が琴波さんとゲンキングで、草食系が先輩と玲子さんってことか。

 .....え、待って、それってマジ?


「あの二人......琴波さんとゲンキングが先輩と玲子さんよりも肉食系!?」


「あくまで私の客観的に話を聞いたうえでの意見よ。

 そうね、言えるとすれば、二人はロールキャベツ系女子ってことよ」


「ロールキャベツ系女子?」


「聞いたことない? 見かけは草食系に見えて、中身は肉食系の女子のことを指すの。

 二人が完全にそうなのかはわからないけど、少なからず思う所はあるんじゃない?」


 そう言われると、全く思わなくもないというべきか。

 東大寺さんはたまに妙な所でインパクトを繰り出すし、それこそ前回のお泊りの件だって何もなかったから良かったが、あれって今がハーレム関係じゃなかったら怪しかったのでは?


 それを考えると、勉強会の時のゲンキングの様子もおかしかった。

 まるで小悪魔に体を乗っ取られたように、インモラルな行動を繰り返してたし。

 仮に、あれが二人っきりでなかったとしたら、薄い本が厚くなる展開になっていたのでは?


「妙に思い当たるところがあって否定できない」


「あんたも苦労してそうね。それで理性を維持してるんだから、ある意味理性の怪物だけど」


「それは褒めてるの?」


「私から見たら誉め言葉よ。人によっては萎えチ〇野郎って思うかもしれないけど」


「先生、もう少し言葉を抑えてください」


 勇姫先生クラスの美少女から飛び出していい言葉ではないと思います、はい。

 とはいえ、その言葉の意味もわからなくはないけど。


 それこそ、ここが異世界じゃなかったらこうも悩む必要はなかったかもしれない。

 ともあれ――、


「二人は確かに理解できましたけど、先輩と玲子さんが草食系ってのは?」


「さすがにあんたの方がわかってて欲しいけどね。

 確かに、あの二人は端から見ても十分にあんたを振り回したり、自分の影響力を利用して上手いこと立ち回ってると思うわよ?」


 そこまで言い切った後、すぐに勇姫先生は「でも」と言葉を続け、


「それってあくまで表だけで、いざ何かやろうとしたら日寄ったりしてない? もしくは、勝手に自爆したりとか」


 そう言われると、それも思い当たる節があるような。

 玲子さんのハグ事件はやられたけど、思った以上にあっさりで拍子抜けしたし。


 先輩も人をいじってる時は楽しそうだけど、時々自爆してる時もあるし。

 あれ? 総評すると、思っていたよりあの二人よりも大人しい?


「なんだか思い当たる節があるような顔してるわね。

 まぁいいわ、大体わかったから。それじゃ、さっさと終わらせるわよ」

読んでくださりありがとうございます。


良かったらブックマーク、評価お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ