表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高校時代に戻った俺が同じ道を歩まないためにすべきこと  作者: 夜月紅輝


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

223/321

第223話 縦読み不良漫画で見る展開のやつだ!

 俺が今にもトラウマの因縁の相手にボコられようとした時、一人の男が声をかけた。

 その姿は一言で言えば、ゴリラと熊を足し合わせたような大男だ。


 身長は190センチぐらいはあるだろう。

 加えて、制服越しにもわかる筋肉の厚み。

 なんか目の前にオール〇イトが現れた気分だ。


 っていうか、よく見たら同じ高校かよ。

 あんなゴツい人見たことないぞ? 一年か三年か.......ん?

 よく見たらなんか見覚えあるような......?

 ともかく、そんな男が不良三人に立ち向かった。なんという激熱展開!


「あぁ、誰だテメェ?」


「俺はしがない高校生だ。だが、こういった光景を見逃せない高校生でもあってな。

 男三人が寄ってたかって一人を囲んで......恥ずかしいと思わないのか?

 やるとすればタイマンが道理だろ!」


 おい、しれっと俺が戦う流れに巻き込むな。そうじゃねぇだろ。

 助けられる身の俺が言うのもなんだけど、そこはサッと助けに入ってくれよ。

 

 そんなことを思いつつも、俺は決して言葉に出さず静観した。

 すると、飯田は横やりを入れられたことに腹を立てたのか、首をコキッと鳴らしながら、大男の目の前で近づいた。


「ハッ、テメェ......俺達がテメェの図体ごときでビビると思ってんのか?

 どうせケンカもしたことねぇナリだろ。たまにいるんだよな、そういうデカさで威嚇する奴」


 飯田がそう言うと、彼の後ろから益岡と加々見が近づいた。

 なんというか、一触即発って感じだ。今にも爆発しそう。

 アレ? 俺ってば、いつの間にか不良漫画の世界に転移してたりしないよね?


 そう思ったのも束の間、飯田が思いっきり拳を振り上げた。

 アレ、これ思ったよりもガチじゃね? いや、わかってるなら止めろよ!


「ちょ、ま――」


「調子乗んなや! でくの坊ごときがよ!」


 たぶんその場の勢いで口走って誤用している飯田は、拳を大男の顔面に叩きつけた。

 その攻撃は思いっきり頬に直撃したが、大男は身じろぎ一つしない。

 そして、殴られて首が横に向いたまま、ギロッと飯田を睨んだ。


「それだけか?」


「っ!」


「なら、次は俺の番だな。一発は一発だ」


「は? ま――ぐぅ!?」


 大男はガシッと片手で飯田の口元を掴むと、そのまま持ち上げた。

 う、嘘だろ!? 飯田ってパッと見180センチ近くあるのに、それをつま先立ちにするとか。

 あれって現実で出来る人いるんだ......ちょっと感動してしまった。

 そんな飯田の姿に、益岡と加々見も怯んでる。


「それじゃ、行くぞ」


 そう言って、大男は体を近くの石垣に向ける.......え?

 ま、まさかあのまま頭を壁にぶつけようとしてる? マジ?

 そんなの俺、ブ〇リーがやってるとこでしか見たことないぞ!?


「ふぁ、ふぁめ――」


「ふんっ!」


 俺は目の前に起こる急なスプラッター的な展開に、思わず両目を手で覆った。

 しかし、特に何も音がしなかったので、指の隙間からチラッと覗く。

 どうやら大男は寸止めしていたようだ。


「冗談だ。だが、これで誰にケンカ売ってるかぐらいわかっただろ?」


 大男は飯田を投げ捨てた。

 一方で、飯田は尻もちをつきながら、大男を見上げる。

 うっわ、あの飯田がガチでビビってやがる。


 ざまぁねぇ......って思うとさすがに程度が知れるよな。

 にしても、飯田の口にがっつり跡ついてんじゃん。

 どんだけの力で掴んでたんだ。


「さて、次はどうするんだ? 三人でかかってくるか?

 いいぞ。ただし、その時は手加減はしない。その覚悟で挑むことだな」


「チッ、引くぞ!」


 そう言って、飯田が尻尾巻いて逃げて行った。

 その後ろに、益岡と加々見が続いていく。

 個人的には、残りの二人にも罰を与えて欲しかったが、まぁいい。


 にしても、この展開不良漫画は不良漫画でも、主人公無双系の不良漫画かもしれない。

 俺、そういう漫画をレイソマンガで読んだことある。


「大丈夫か?」


「あ、はい......」


 大男の人は親切にも手を差し出してくれたので、ありがたく引っ張り上げてもらった。

 そして、改めて近くで大男を見る。おー、本当にデケェ。迫力満点。

 う~ん、やっぱりなんか見たことある気がするんだよな......あ!


「ゴリ先輩か!?」


 そういえば、体育祭の耐久種目で最後までやり合った人だ。

 こんなゴッツイ人のそうそう忘れないはずなのに......まぁ、色々濃かったしな。

 ん? って、俺よ! その呼び方って俺の心の中での呼び方だろ!

 完全に見た目から取った呼び名だけど、それを本人に言うのはあまりにも失礼だろ!


「あれ? 俺、自己紹介したっけ?」


 やっちまった! と思っていれば、先輩が首を傾げた。ん? どういう反応?


「俺は五里(つよし)だ。五里先輩でも、剛先輩でも、なんなら呼び捨てでも構わないぞ!」


 合ってるんかい。後、普通に恐れ多い。


「お前とは体育祭でしのぎを削り合った仲だし、そう考えると覚えてて当然か」


 いや、普通に忘れてました。ごめんなさい。

 けどまぁ、なんか好印象っぽいしこのまま知ってる体で行かせてもらおう。

 すると、先輩は今にも豆粒ほどの小ささで逃げる負け犬を見ながら、俺に話しかけた。


「にしても、災難だったな。

 最近、学校外でうろつく不良がいるとは聞いていたが、まさかその連中に襲われるなんて」


「五里先輩がいてくれて助かりました。正直、あのままだったらどうなっていたことやら」


 二度目で仮にも順調にやり直せてるところで、またあの連中にぶち壊されるのは勘弁だ。

 ま、その場合また隼人が助けてくれるような......ってそんな甘い考えはやめろ!


 人に頼る前に、まずは自衛だろ。

 目の前から危険が迫ってるなら、避けるのが当たり前だ。

 ふぅー、危ない危ない。少し思考が平和ボケしていたようだ。


「このお礼は必ずしますよ。命の恩人と言っても過言ではないですから」


「ハハッ、それには及ばない。いつも主がお世話に――ごほん、なんでもない。

 ともかく、俺は施しを受けるために助けたわけじゃないんだ。お礼はいらない」


「そ、そうですか......」


 しかし、それはそれでなんというかむず痒いな。

 助けてもらって何もしないと言うのは。

 すると、そんな俺の様子を見透かされたのか、先輩は質問してきた。


「ん~、それじゃ、さっき何か聞かれてたようだが、何を聞いてたんだ?」


 うっ、なんという答えずらい質問を......。

 お礼のお返しとばかりに聞いてるから、余計に断りづらい。

 ただまぁ、そりゃあんな光景を見てたら気になるか。

 さて、どう返答したものか。


「実は、あの三人......昔っていうか、高校に入る前に目を付けられて。

 それから少しの間いじめられてたんですよ。

 でまぁ、色々あって高校から消えてくれたのは良かったものの、さっきは運悪く捕まって。

 どうやら俺を逆恨みしているようで、探し回ってたみたいなんです」


 俺は隼人の情報を伏せつつ、先輩に説明した。

 正直、こういう話は他人にあまり言いふらすものではないだろう。

 それに、今のアイツは変わった。少しでも悪く言うのは避けたい。


「本当にそれだけか......?」


「へ?」


「あ、いや、なんでもない。気にしないでくれ」


「あ、はい......」


 そう返事しつつも気になりますやん。まぁ、聞けやしないけど。

 隼人って先輩とも交流関係あるのか?......あるか、隼人だし。

 とにもかくにも、先輩のおかげで無事に帰れそうだし、後で隼人にレイソで注意喚起しとこ。


「先輩、今日はありがとうございました。おかげで元気に帰れそうです。

 とはいえ、ああいう手合いはメンツで生きてるような連中なので、報復とかに気を付けてくださいね」


「そうだな。忠告感謝する。じゃあな」


「はい、失礼します」


 そして、先輩と別れてから、俺は早速隼人にレイソで連絡した。

 しかし、いつもなら数時間後には必ず来る通知が、その日以降は一度も無かった。

読んでくださりありがとうございます(*‘∀‘)


良かったらブックマーク、評価お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ