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高校時代に戻った俺が同じ道を歩まないためにすべきこと  作者: 夜月紅輝


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第199話 俺と空太は思った「いる意味なくね?」と

「何が接点って......別に無くても生まれることはあるだろ?」


 俺がそう言うも、隼人が神妙な表情で空太と柊潤の恋人関係を疑っている。

 どうやら奴にはその関係が怪訝に思えるらしく、本人の目の前で確かめようというのだ。

 まぁ、それ自体は別にしてもいいだろうが、あまりにも動機が弱い。


「一目惚れって言葉があるぐらいだ。そういうのは理屈じゃないだろ?」


「そうだ。空太なんかに何を血迷ったのかは知らないが、告白したとなればそれしかないんじゃないか?」


「大地、貴様の俺に対する評価は大いに理解したぞ。

 お、俺だって普通にモテるわ。今回が初めて告白されただけで」


「お前が中学の頃に拗らせたまま告白したのは知ってるけどな」


「うぐっ!」


 幼馴染からのクリティカル攻撃に空太はノックダウンした。

 どうやら相当の黒歴史だったようだ。

 そして、俺もたったあの一文だけでどれだけの黒歴史かは想像できる。

 

 なぜなら、俺も若干患っていたから。

 うん、痛い。なぜだろう......涙が溢れそうになる。

 空太が沈黙したところで、隼人は話を進めた。


「別にその線も捨てちゃいないが、どういう経緯でそうなったか知りたいとは思わないか?」


「「そりゃあ、まぁ......」」


「なら、やることは一つだろ。直接聞いてみようじゃないか」


「誰が?」


「お前が」


 俺が聞けば隼人に即答された。

 え......俺? そこは言い出しっぺじゃないのかよ。


「なんで俺なんだよ。ぶっちゃけ知りたいのは隼人だろ?」


「そうだな、俺も知りたい。だが、先ほど聞いた時にお前達も同じ意見だった。

 だったら、この中で一番警戒されず平和裏に終わらせられるのは拓海、お前だけだ」


「その理由は?」


「まず俺は未だ周囲との軋轢がある。ま、勝手にビビってるだけだがな。

 そう考えると俺という存在は本音を聞き出すには不適格だ」


 隼人は自分の立場をそう分析すると、次は大地を指さした。


「そして大地だが、聞く時間も考えると放課後、そうなるとコイツは部活で忙しい。

 加えて、仮に予定を合わせられても、ジェラシーで思考が上手く回らない可能性がある。

 よって、この中で唯一の適任はお前になる」


 なるほど、言いたいことは理解した。そして、その理由にも概ね納得だ。

 だが、お前にはもう一つ手段が残されてるはずだ。


「なら、お前は愛名波さんを通して聞けばいいだろ? 連絡先も知ってるはずだ」


「そうだな。確かに知っている」


「だったら――」


「だが、その情報を得てお前は素直に信じるか?」


「.......!」


 こ、コイツ、文化祭の件で拭えていない不信感を逆手に取ってきやがった!

 正直、ここで隼人に動かれると、また文化祭の時のように何か派手なことをされるかもしれない。

 その不安が残り続けてる以上、俺が動くしかないのか。


「ハァ.......わかった。ま、あくまで空太が了承すればな」


―――放課後


 本来ならとっくに誰もいなくなってる茜色に染まった教室にて、四人の顔ぶれがあった。

 俺の対面に座るのは当然空太と柊さんである。そして、隣には玲子さんだ。


 今回、玲子さんには俺の助っ人として来てもらった。

 にしても、空太が話に応じるとはな.......。


「ねぇ、その......私は本当にこの場にいてもいいの?」


「あぁ、あらかじめ言ってあるから大丈夫。それに玲子さんが一番適任だと思ったから」


「......」


 ゲンキングと東大寺さんは現状不用意な接触は避けたい。

 他人の恋愛とはいえ、それが彼女達の心にどのように影響するかわからないから。


 そして、永久先輩は単純に学年の違いで面識がないから。

 さすがに他学年の先輩を連れてきても柊さんは困惑するだろうし。

 故に、玲子さんなら俺の心も幾分か安心できる。


「それじゃ、早速本題に入らせてもらうけど、柊さんから空太に告白したってのは本当?」


「うん、ホントだよ~。なんかね無意味にカッコつけてる所が逆に可愛くってね~」


「無意味に......!? 柊さんは俺のことそういう風に見てたのか!?」


「前々から気になってはいたんだよ~。で、私の友達のゆうちゃんがついにアタックするっていうから、その勢いを借りて私も行動してみたってわけ~」


 友達が行くなら行く......まぁわからなくない行動論理だ。

 言い方悪いけど、女子ってなんか連れションよく行く感じだし。


 とはいえ、些か動機に弱い気がするが、案外そんなものだったりするのだろうか?

 その手に関して経験が無いからどうにも判断ができない。

 すると、隣で顎に人差し指を当てて何かを考えていた玲子さんが質問した。


「ちなみに、それはいつ頃からかしら?」


「う~んと、大体二学期が始まったぐらいかな~。

 ほら、夏休みデビューじゃないけど、しばらく会わなくなると久々に見た時に、一皮剝けたみたいに見えるじゃん~? その時になんか感じて、それでって感じ~」


「そう、ふと思い出したのだけど......柊さんのモテっぷりの噂は私も耳にしたことがあるわ。

 それを踏まえて質問させてもらうのだけど、あなたは少なからず二学期以降も告白を受けていた。

 そして、あなたはその告白を受けた。あなたは告白には必ず受けるようね」


「特に断る理由が無いからね~」


「けれど、先ほどもうすでに日立君のことが気になっているという発言をした。

 それを考えると、断らなかったのは本当に断る理由がなかったから?」


「それが私にとってまだ”恋愛”の気になるじゃなかったからだよ~。

 だけど、それがきっかけで、より意識してる感じを実感した感じかな~」


 玲子さんと柊さんの間で高度な会話が繰り広げられてるのがわかる。

 玲子さんは時系列の整合性を確認し、矛盾点を突くかのような質問をした。


 対して、柊さんはのらりくらりと躱すような返答をしている。

 フワフワとした雰囲気でのその的確な返しは、さぞ玲子さんにはやりづらい相手だろう。


 そういう俺と空太はというと、顔を見合わせては「これ、俺達いる?」というアイコンタクトを何回か交わしていた。

 もはや存在すら邪魔でしかないだろう。こっからどうやって介入せいと?


「まぁ、急にこういう関係になったら友達としては驚くかもね~。

 でも、こういう経験は初めてかな~。ふふ、おもしろ~い」


「そうね、私もこういう経験は初めてだわ。疑ってごめんなさい」


「いいよ~。でもやっぱ、高嶺の花と呼ばれてる久川さんもこういう話は気になるんだね~」


「........気にならないと言えば嘘になるわね。でも、そういう手の話はまだ私には早いわ」


「そうかな~。気になってる人がいるなら手伝うよ~?」


「いいえ、結構よ。もしそうなった時に変に介入されて拗れたら嫌だもの。

 それよりもあなたはあなたの幸せのために動きなさい。まずはそこからだと思うわ」


「わ~、人生の先輩みたい~」


 みたいって言うかそうなんだけどね。精神年齢に限って言えば。

 しかし、玲子さんが話題を掘り下げてくれたけど、これといって収穫はなし。

 つまり、隼人が訝しんでいるようなことは何もないというのが結果だ。


「あー、なら、この辺でお開きにしようか。

 柊さん、時間を空けてくれてありがとう」


「全然このぐらい大丈夫だよ~。この際だから仲良くしようね~」


 そして、俺達はそれぞれ荷物を持って教室を出る。

 最初に空太が、その次に玲子さんと出て、俺はドアまで移動したところで、マイペースに帰り支度している柊さんの方を振り返った。


 すると、俺の視線に気づいた彼女がそっと手招きしてくる。どうしたのだろうか?


「何か頼み事?」


「ううん、これを見て欲しくて~」


 柊さんのいる席まで近づくと、彼女が指さすノートを見る。何の変哲もないノートだ。

 見せられているのは表紙だが、これといって特におかしなところはない。

 その時、柊さんは俺の耳にそっと耳打ちした。


「ねぇ、金城君にやり返してみたくない?」

読んでくださりありがとうございます(*‘∀‘)


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