93.結婚式
いよいよ結婚式当日になった。私は前日から美容祭りである。ピッカピカに磨き上げられている。
化粧を施し、髪を結いあげる。
襟足におくれ毛を少し出して巻いてもらい、それ以外はバラの花のように結い上げてもらう。
ドレスを着て、お母様にティアラとベールを付けてもらう。ティアラは侯爵家が代々受け継いでいるものらしい。
生花のブーケを持って出来上がりだ。
鏡を見ると絶世の美女が出来上がっている。すごい。
スノウにも同じ生地で作った濃紺のブルートルマリンの宝石を付けたリボンを首に着けている。可愛い。
「綺麗よ。ティア」
お母様は涙ぐんでいる。
「ありがとうお母様」
そして、お母様に連れられ支度部屋を出ると
「「「ティア!!!」」」
と兄達が泣きながら寄ってきた。
「ティア綺麗だぞ」
「ありがとうアイス兄さま」
「ティアこんなに急いで結婚しなくても」
「ライ兄さまもはやくお嫁さんを見つけてくださいな」
「ティアまたすぐにでも遊びに来るんだぞ」
「はい。アレク兄さま」
実はアレク兄さまは、ベル様と婚約したのである。
ベル様なら私も賛成。ベル様のところに婿入りする予定だ。
「ティア綺麗だ。自慢の娘だよ」
「ありがとうお父様。私もお父様の娘で幸せですわ」
お父様にエスコートされながら教会の入口へ向かう。
いよいよだ。
私はこの世界で結婚できるとは思っていなかった。
でも、いい人に巡り合えて、愛することができた。
愛する人と結婚式を挙げる。
考えたことも無かった。
お父様とバージンロードを歩きながらこの世界に生まれてきた時からのことを思い出している。
両親に愛され、レイと出会い、スノウにも出会い、たくさんのことを経験した。
嫌なこともたくさんあったし、うれしいこともたくさんあった。
今思い返せば結構波乱万丈だった?
生まれてすぐから平凡に生きたいと思いながら大きくなったのにな。
でも、メイ様に出会えたからまあ良しかな。
これからは平凡な未来がまってるかな?
と考えながら、メイ様のもとへ。
お父様号泣である。
「メイナード君、娘をティアナをよろしく」
「はい。必ず2人で幸せになります」
メイ様めちゃくちゃ素敵だ。
ベール越しだから見えにくいけどかっこいい。
「ティア綺麗だ」
「メイ様もとっても素敵よ」
滞りなく式は進んでいく。
ベールを上げる。
誓いのキスだ。
「っ!」
メイ様が固まっている。
「メイ様?」
「はっ!あまりの美しさに見惚れた!」
「ふふ」
会場からも笑いが聞こえる。
誓いのキスを交わす。
式が終わり、ブーケトスだ。
取ったのは、ベル様だ!
よかった。次はベル様の番ね。
会場中を見渡すと、うちの家族は皆泣いているし、王家も皆泣いている。セイクレッド家のご両親は喜びの顔だ。
精霊様たちは、キラキラや花吹雪の演出だ。
素敵。
私、ティアナ=コールドはこの日、ティアナ=セイクレッドになった。
お式が終わり、セイクレッドの屋敷に帰ると待ち受けるのは初夜だ。
侍女さんに磨き上げられ、作っていた夜着を着る。ウエディングドレスを作るときにこっそり作っておいたのだ。
前世で言うところのベビードールだ。真っ白の。ドロワーズでは色気がないので前世の下着も作った。
ガウンを羽織って部屋へ向かう。
メイ様はすでに部屋で待っていた。
ガウンを脱ぐと、メイ様は固まり。
その後はもう大変だった。ご想像にお任せするが武人はすごいのである。体力が有り余っているのだ。
だからそう。割とすぐに身ごもったのだった。




