92.エリック視点
俺はお嬢の護衛になってもう13年になる。
もともと天使のように可愛かったお嬢はもう16歳。女神のように綺麗なレディになった。
お嬢は色々あって社交場へ出るのをやめ、領地に籠った。籠ってからは武術をより磨いていた。バレたから解禁だとやりたい放題だ。お嬢は領地ではのびのび楽しく過ごした。
16になりデビュタントがあるからと王都へ帰ってきた。俺は平民だから夜会までは護衛できない。
嫌々デビュタントへ向かったお嬢は、帰るなり
「エリック私結婚するわ!」
と言った。
は?
嫌々出かけたのに?
「お嬢、結婚するとは?お相手が見つかったので?」
「ええ。婚約したの」
えええええええ!!!!
あまりのスピードに驚きを隠せない。
「お相手はどんな方なのです?」
「エリックもよく知っている、レオおじ様のご子息よ」
えええええええ!!!!
あのお嬢が子供の時から大好きなセイクレッド辺境伯!のご子息。
「お顔がね、そっくりなの」
「ああ」
皆は気付いてなかったかもしれないが、俺は気付いてた。
お嬢はセイクレッド辺境伯の顔が好きなんだと。ほかの大人と懐き方が違うのだ。しかも顔ばかり見ている。
なるほど。まずは顔が好みだったのか。
「それでね、辺境だから社交免除でしょ?」
「ええ」
まさかそんな理由?
「それにね、レイとの仲を見ても何とも思わない人なの」
ええ!!!あれを?平気で見られる人間がいるのか?もはや恋人のようなんだぞ!
「あとねご令嬢からも守ってくれたわ」
それはポイント高い!
「だからね、婚約したの!」
「お嬢よかったですね。俺もほっとしましたよ」
もうすぐ俺の役目も終わりか。寂しくなるな。辺境までは遠い。
「それでね、エリック。エリックって恋人とかいる?」
「いや。いませんけど」
恋人作ってる暇ないし、欲しいとも思ってなかったからな。
「嫌じゃなければ、辺境へ付いてきてくれない?」
「は?」
「あのね、エリックに付いてきてほしいの。ずっと小さい時から一緒にいてくれたエリックのことは信頼してるし、大好き。だから一緒に来てほしい」
こんなこと言ってくれて断れる人間がどこにいる。
俺だって小さいころから見てるんだから妹のように娘のように思ってるよ。
「どこまでも付いていきます。お嬢」
久しぶりのエリック




