87.沙汰
「それで、セイクレッド辺境伯家との話は済んだのか?」
「メイナードとの問題は解決しました」
「ほう。どのように?」
「例えティアナ嬢と出会えなくても、あなたを選ぶことは無い。迷惑だから顔も見せるな。と」
まあ!メイ様ったら辛辣。好いてる人から言われるのは苦痛以外の何物でもないわね。
「ふむ。それでは侯爵と侯爵令嬢には今後の沙汰を言い渡す。その前にティアナ嬢、リリア嬢に対する罰はどうするのが良いと思うか?」
私に尋ねるの?まあ私が被害者だからだよね。
「侯爵令嬢には、今後2年王宮での社交場へ立ち入り禁止。この王宮で教えておられる厳しいマナー講師をつけて徹底的にマナー教育。令嬢教育。侯爵様には今後一切のお嬢様への干渉禁止。結婚相手を見つけるのも無しですわよ。陛下これでどうでしょうか?」
「なっ!そんな!リリアの結婚相手も探せないのですか?2年も王宮で社交ができないのに!これが噂になれば結婚できないではありませんか!」
「侯爵も少し足りんのだな」
お父様が言った。
「侯爵様、不敬罪ってご存知?わたくしたちの婚約への口出しは不敬罪ですわよ?」
「投獄されても文句は言えんぞ」
「話にならん奥方を呼べ」
程なくしてグレイズ侯爵夫人が来た。陛下は夫人も呼んで、裏で聞かせていたようだ。
「この度は娘が大変申し訳ございませんでした!!私共の不徳の致すところでございます。セイクレッド辺境伯様、コールド侯爵様誠に申し訳ございませんでした。陛下、いかなる罰も受ける所存でございます!」
夫人はまともな人なのか。
「夫人、リリア嬢はどうしてこうなってしまったんだ?」
「私がきっちり教えようとしても、娘が反発し夫が甘やかし娘は逃げる一方で。セイクレッド辺境伯様の所へも迷惑だから行かないようにと言っても振り切られてしまって。夫に言っても話を聞き流すだけで…」
夫人は涙ぐんでいる。
夫人一人じゃ難しいだろうな。なるべくしてこうなってしまったのか。
「夫人今回の罪は何だと思う?」
「まず、王家に対して不敬罪でございます。それからセイクレッド辺境伯とコールド侯爵への罪でございます」
夫人はまともだった!
だから侯爵でやっていけてるんだ。
「この分だと侯爵の仕事も夫人が手を回してるのだろう?」
「はい。夫は領地経営が苦手でして。民が困ってはいけませんので、できる限り支えて参りました」
「夫人、これから沙汰を出すが夫人がきっちり2人を管理できるか?」
「使用人も使い精一杯させていただきます!」
「侯爵令嬢には、今後2年王宮での社交場へ立ち入り禁止。この王宮で教えておられる厳しいマナー講師をつけて徹底的にマナー教育。令嬢教育。侯爵には今後一切の令嬢への干渉禁止。結婚相手を見つけるのも禁止だ。侯爵にも領地経営と貴族の勉強を一からしてもらう。もちろん監視も付ける」
「夫人これでどうだろうか?」
「ありがとうございます!きっちり指導してまいります」
「陛下。セイクレッド辺境伯様へとコールド侯爵様への償いはどのように」
「うちには夫人以外関わらないでもらえたらそれでいい」
「うちもだ」
両家の見解は同じだ。
令嬢もこれに懲りて更正してくれたらいいけど、まあ一筋縄じゃいかなそう。
厳しすぎる講師陣だが自業自得だ頑張れ!




