71.指輪
辺境に行く前に、メイ様がどうしてもこれだけは買いたいということで街へ。
「メイ様、何買うの?」
「これだけは王都で買っておきたい。というか早く買いたい」
何だろう。馬車から降りて歩いていく。
もちろん腕を絡める。
「ぐぅ」
「どうしたの?」
「いや、慣れてないだけだ」
腕を組むのが?じゃあ
「じゃあ、手繋ぐ?」
と前世でのいわゆる恋人繋ぎだが、この世界では誰もしてない。
「これは。こっちの方が恥ずかしい」
メイ様真っ赤だ。かわいい。
「じゃあ、腕組むのに変える?」
「いや!これがいい」
そう?まあいいや。
そしてメイ様に連れられて目的地へ。
「宝飾品?」
「そう。婚約指輪!買っておきたい」
「ええ?そんなのいいのに」
私は宝飾品は拘らない。宝石とかそんなに興味ない。高いからね。
「俺が買っておきたいんだ」
「そうなの?」
お店の人に色々見せてもらう。
「メイ様、瞳の色と髪の色どっちがいい?」
「ティアが好きな方でいいぞ」
「エリー様が貸してくれたアクセサリーの宝石きれいだったから、カイヤナイトにしようかな」
「こちらはどうですかな」
「より髪の色と同じ色味の物ありますか?」
何点か出してもらう。
「この宝石で土台はゴールドでお願いします」
シンプルなデザインで小さめの石を付ける。
「かしこまりました」
「あんな小さな石でいいのか?」
「ずっと付けておきたいもの」
にっこり
「っっっ!!!かわいい!!」
ふふ。
「領地へ帰る前に取りに寄ろう」
「メイ様もお揃いで付けない?」
「俺も指輪付けるのか?」
この世界には男性が女性に贈るものであって、カップルでは付けないのが普通だ。
「私の瞳の色。ダメ?」
小首を傾げる。あざといよね。わかってる。
「っっっ!!いい!いいに決まってる!」
「店主、私の瞳の色に限りなく近い石を出してくださいな」
「ブルートルマリンですな。土台はプラチナシルバーにしましょう」
「ありがとうございます。デザインは同じでお願いします」
「かしこまりました」
「私の瞳もブルーだから、ぱっと見でもお揃いに見えていいね」
頬が緩む。
「っ!そうだな」
「ティア、カフェにでも寄って帰るか?」
「うん!」
デートだ楽しいな。
「ティア、楽しそうだな」
「うん。デート楽しいなと思って」
「はあ…かわいすぎる…」
カフェに入る。カフェに入るとやたら視線が気になる。
何で?まあいいか。
ケーキを頼む。メイ様は紅茶だけだ。
「メイ様甘いもの嫌い?」
「いや、嫌いじゃないぞ」
「じゃあ、あーん」
「…ぐぅ。あーん」
「おいしい?」
「ああ」
美味しいものはシェアよね!!
「ティアは容赦がないな」
「容赦?」
「わからないよな。ずっとこれで過ごしてきたんだもんな…」
?
「ティア周り見てみろ」
?
皆顔を赤くしている。何で?
「ティア自覚ないだろうけど、ティアはすごい綺麗で可愛い」
「ありがとう?」
「そんなティアが髪の暗い男に食べさせて。笑ってる」
うん。
「きょとんとしてるが、食べさせるのは特別。愛情の証だぞ」
「それで?」
「食べさせる行為は結構恥ずかしいものだぞ。普通。見てるだけでも皆照れてるんだ」
「そう?」
わからないなあ。いつもこうだしな。
「納得してない顔だが、まあいいか。これから俺たちはこうなんだから」
うん?よくわからないけど、メイ様納得したしいいか。
ふう。今日も楽しかった!!




