63.プロポーズ?
ん?聞き間違いかな?気のせい?
固まっているとお父様が先に我に返った!
「メイナード殿、今のは…」
「いや、良い条件だと思いまして。私はこの髪だし、辺境地になんて来てくれる令嬢いないし、ティアナ嬢は社交界に出たくないんだろう?うちは、社交は免除されているし、王都に出てくるのだって稀だ。レイス殿下とだって恋人ではない」
なるほど。確かに良い条件かも!
お顔もタイプだし。
顎に手を当てて考えてると。
「ティ、ティア?」
お父様が動揺している。
「ティアちょっといいかもって思ってるね?」
にっこり
「父もいるぞ」
レオおじ様!!!
「ティアが揺れてる!」
「ティア、そんな条件で決めてはいかん!」
ふぅ。ちょっと冷静になってこよう。この顔見てると絆されそう。
「少し考えますわ。とりあえずお花摘みに行ってまいります」
トイレからの帰りもうすぐ会場というところで現れるのがご令嬢だ。
「ティアナ様、また髪の暗い殿方を誑かしたのですね?」
よく見てるなー。私のこと好きなの?
「恐ろしいですわ」
「それがあなたたちに関係ありまして?」
「いえ。殿方がお好きなんだなと思いまして。会場中の殿方を虜にしてどうしたいのです?」
「虜にした覚えがないのに。虜になっていたのですか?まあ私そんなに美しいんですの?ありがとう存じます」
と。腹立つ女である。
「まああ!!腹立たしい女ね!あなた女性全員の敵よ?」
「まあ」
「殿方ばかりお相手して、女性といるところ見たことありませんわ」
「殿方ばかりと言いましても、私が話しているのはレイだけでしてよ?女性全員敵なのでしょう?お話しするお相手がおりませんわ」
阿呆なの?
「殿下と話しているじゃない!!」
「まあ!羨ましくて?ですがあなた方は殿下方のお相手にふさわしくありませんわね」
にっこり
「なっ!!!」
「わたくし、美しいでしょう?頭もあなたたちより良くてよ?それにこんなに一人を複数人で取り囲んで言いたい放題。お育ちが悪いのではなくて?」
顎に手をあて首をコテンと傾げる。
「私の方が可愛いじゃない!」
「ええ。頭の中もかわいらしくてよ?あなた方伯爵令嬢以下でしょう。わたくし侯爵令嬢ですのよ?そんなこともわかりませんのに、殿下方のお相手になろうと?冗談ですの?」
「うるさい!!!」
手に持っているワインをかけてきた。
するりと避ける。
「まああああ!!!手癖も悪いわ。ちょっと、騎士様!この方々ワインを投げつけてきましたの!連れて行ってくださる?」
ふう。頭がお花畑だったわね。
「ちょっとティアナ様、お話よろしくて?」
また?
「わたくし、侯爵令嬢ですの。先ほどのようにはいきませんわよ」
見てたの?
「あなた。傷物なのにまだ殿下といらっしゃるの?」
「ええ。関係ございまして?」
「ふさわしくありませんわ。王太子殿下とも親しそうにして!」
「それはあなたの価値観でしょう?殿下が好きで私といるのですわ。親しいのですから仕方ありませんわよね」
「第二王子殿下はあの髪ですから、あなたにお似合いかもしれませんが王太子殿下にはふさわしくありません」
ああ。その噂まだあったんだ。
「王族に対して不敬ですわよ。婚約者になろうなんて思っておりませんわ」
ああ。このタイプは話が通じないやつだ。話が堂々巡りになる人。
どうしようかなと思っていると
「ティアナは私と結婚するので、殿下のお相手にはなりませんよ」
あら。メイナード様だ。さりげなく腰まで抱かれている。
「遅いから迎えに来たよ」
「まあ。ありがとう」
にっこり
「ではお迎えがきたので、ごきげんよう」
書いていてちょっと、楽しくなっていました。




