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転生したけど好みは変わらん!  作者: あやとり
53/96

53.キース(父)視点

 「最近騎士達が楽しそうではないか?士気も上がっておるみたいではないか。どうしたんだ?」

「騎士たちも恋人や婚約者ができて、やる気が上がっているんだ」

「恋人や婚約者…そんなたくさんできたのか?」

「そうだ」

「何で。キースわざと黙っておるだろう」


「うちで大規模な合同お見合いを開催したんだ」

「は?侯爵家でか?何で」

「ティアが考えた。髪色が暗いご令嬢たちから、ご機嫌伺いの手紙が届いていたらしい。それを読むと皆、結婚相手もおらず困っていたらしい。それで、うちの騎士たちは偏見がないだろう?そこに目を付けたんだ。双方、喜んで参加してな、相手ができたやつも多いんだ」

「何で教えてくれなかったんだ。それに文官もいるじゃないか」

「ティアが、文官は夜会に出てるだろう?夜会に出て声もかけられないくせに甘えるな!と言っていたぞ。騎士は警護があるから出会いが無いだろ?」

「ティア厳しいな。それで何で私に言わなかった。城でやればいいじゃないか」

「そんなことしたら、夜会と変わらないし、招かれなかった人から文句が出る。と。うちでプライベートでやる分には文句言えないだろう?」

「なるほどな。ティアは本当に面白いことを考えるな」

「心が痛むよ。自分の結婚を考えずに人の縁組してるんだから」

ティアは天使か女神なのだろうな。人の幸せばかりを考えている。自分の結婚がどうなるかもわからないのに。


「ティアは騎士団の中に好みの者はいないのか?」

「いないみたいだったな。楽しそうに見てるだけだったしな。セドに息子薦められても断ってたぞ」

「昔から見てるのに全く好みがわからんな」

「親でもわからんのだから、わかってたまるか」

「レイならわかるんだろうか」


ヴィクトルがレイス殿下を呼んだ。

「レイ、ティアの男の好みって何か聞いてるか?」

「なに?縁組しようとしてるの?ほっといてあげてよ!」

レイス殿下は怒っている。

「違う!好みが知りたいだけだ」

「知らないよ。聞いたこともない。だけど、侯爵とセイクレッド辺境伯にだけは他の大人と態度が違うよね?侯爵は親だからかもしれないけど」

「それは父親みたいだからだろう?もっと同世代でおらんのか?」

「いないでしょ。僕が一番近くにいるんだから。ティアのことはそっとしておいてあげて!」

「だが結婚が…」

「結婚がすべてとは限らないでしょう?幸せじゃない人もいるじゃない。僕がいるんだから大丈夫」


とレイス殿下が言っている。

でもできればティアには幸せな結婚をしてほしいし、レイス殿下だって結婚して温かな家庭を作ってほしいとも思う。

優しいティアが運命の人に出会えるのを祈るしかない。


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