51.のんびり
レイの学友をやめてから、時間が有り余っている私は久しぶりにのんびりした時間を過ごしている。
私がレイの学友の役目を終えたのは瞬く間に社交界へ広がったらしい。王太子殿下か第二王子の婚約者候補が身を引いた。チャンスだ!!とほかの貴族は思ってるだろうね~。カイル兄さま大変そう。
あれからお母様は泣き崩れていたし、しばらく痛ましそうな顔をしていたけどレイが言ってくれた「ティアが結婚しないなら、僕も結婚しない。一緒に旅に出ようよ!絶対楽しいよ!!」というのをお母様に言ってみた。
「お母様、もし私が結婚しなかったらレイが一生一緒にいてくれるんだって」
「まあ。レイス様が?レイス様は結婚しない予定なの?」
「私が結婚したら結婚してもいいし、しなかったらしないんだって。で私と一緒にいてくれるんだって。お母様安心した?」
「レイス様に悪い気がするけれど、レイス様が良くてティアもそれでいいのならいいわよね」
と少し安心したようだった。親は先に死ぬもんね。
そんな私にちらほらと手紙が届くようになった。話したことない令嬢が多い。まああんまり社交してなかったしね。
読んでみると、どの手紙も暗い髪色をしているご令嬢で私の噂や学友をやめたことを聞いて手紙をくれたようだ。
私とレイが一緒にいることでご令嬢達は希望を持てたのだとか。悪く言われてもレイを庇っていた姿に自分を重ねていて、救われた気持ちになった。ありがとう。
ということみたいだ。
暗い髪色差別に関しては、本当にくっだらないしね。日本なんて黒目黒髪ばかりだぞ。だから当たり前のことしか言ってないのに、救われた気持ちになるって今までそんなに悪く言われてきたの?かわいそうに。どの髪色も綺麗なのに。家族からも悪く言われる人もいるの?いや!遺伝だから。どこかにその髪色の人がいるんだよ!
それにね、悪く言う人ばかりじゃないと思うんだよ。だって私差別してる人ほとんど見てないよ?
はっ!!騎士団の人たちとお見合いすればいいのでは?合コン的な?
下位貴族のご令嬢はうちの私兵団とお見合いすればいいじゃない!!
騎士団の人は貴族だけど、差別しないしいい人の家族はきっといい人だろうし反対されないと思うのよ!
うちの団員は出会いがないと言っていたし、ちょうどいいじゃない!!
やだ!私天才では?
夜
「お父様、私に今たくさん手紙が届いてるんだけどどれも髪色差別をされてるご令嬢なの。でね、お相手もいないし辛かったけど私がレイを庇ってる姿に救われたんだって。それで私思ったんだけど、騎士団の人たちとお見合いすればいいんじゃないかな?合同の。あと下位貴族のご令嬢はうちの私兵団と。騎士団の人も団員も差別しないでしょう?ご令嬢だって髪色が暗いだけだもの。どう思う?」
「それはいいな!どうして今まで誰も気づかなかったんだ!騎士団でも相手がいないやつはたくさんいるしな」
「じゃあ、ご令嬢に手紙の返事出してみるからお父様騎士団で聞いてみてくれない?」
「わかった。そうしよう!」
「お兄様たちのお相手も見つかるかもしれないね」
「そうだな。あいつらはティアが一番大事だから中々難しいだろうが、会わないことには始まらんしな」
と勝手にお見合い大作戦が始まった。
どうやら暗い髪色のご令嬢たちはたまに皆で集まってお茶会を開いているらしい。
そこで、そのご令嬢たちをまとめていそうな公爵家のご令嬢に手紙を出して意見をもらうことにした。
すると公爵令嬢はうちへやってきてくれた。
「この度はお招きいただきありがとうございます。グラウンド公爵家が長女イザベラと申しますわ」
「お初にお目にかかります。コールド侯爵家が長女ティアナと申します」
イザベラ嬢は深い紫の髪色と薄い紫の瞳の艶やかな美女である。こんな美女が髪色ごときで!!!!としか思えない美女だ。とても16歳には見えない。
「ティアナ様、気軽にベラとでもお呼びになって?」
「ベラ様、私のこともティアとお呼びください」
「ティア様。本当に天使のようですわね。可愛くてこれから美しくなりそうな雰囲気ですわ」
言い過ぎでは?この世界皆美しいんだよ?
「ベラ様言い過ぎですわ。お手紙の件考えていただけまして?」
「ええ。あれからほかのご令嬢とも連絡を取りまして、満場一致でしたわ。よろしくお願いいたします」
「よかったですわ。私父と兄が騎士団に所属しているものですから、よく行っておりまして人柄など皆問題ありませんしお相手がいないのが不思議でしたの。それで今回たくさん手紙をいただいて思いついたのですわ」
「ティア様どうしてそこまで考えてくださるのですか?ティア様には関係のない話でしょう?」
「だって、皆様本当に綺麗な髪色でしょう?それなのに差別される意味が全くわかりませんの。お顔立ちだって皆お美しいですし。髪色が明るくても中身が美しくない方もたくさんいらっしゃいますのに」
最後は冗談めかして言った。
「ティア様が思っていたよりもお元気そうでよかったですわ。皆心配しておりましたの」
「私、貴族社会に疲れてしまって。ちょっとゆっくりしたいのですわ」
にっこり
「それなのにわたくし達の手紙でこんなことしていただいて。本当に感謝いたしますわ」
「こちらの方で、人選させていただきます。ティア様の手は煩わせませんわ」
「助かります。家が武官よりも文官がという方もいらっしゃるでしょうから、そこはお任せいたします」
「それではさっそく帰って人選を考えますわ。本日はありがとうございました」
とベラ様は綺麗なカーテシーで帰っていった。
ティア至って元気です!




