45.陛下視点
(ティアが襲われた頃)
私はレイと話をしていた。そこへ、ティアの連れているスノウが飛んできた!そう!飛んできたのだ。
「何だって?急がないと!」
「何?レイどうした?」
「スノウが、ティアが襲われたって言ってる。行ってくる」
とレイは行ってしまった。スノウが言っているとは?
ティアが襲われただと?可愛いから狙われたのか?
騎士が襲った犯人を捕らえてきた。襲った理由はご令嬢のやっかみであった!
「カイルを取られるからだと?そんなことでティアを襲うように指示したのか?許せん」
レイがティアを連れて帰ってきた。
無事だ。よかった。ティアは娘も同然だ。
無事どころかやっつけただと?そんなに強いのか?
「ということで、陛下。エリー様には言っていたのですが、レイのご学友のお役目を返上したくお願い申し上げますわ」
と綺麗なカーテシーをする。
ああ。学友だったからか。だから狙われてるのか。
私のせいだ。大きくなっても変わらずティアに登城させていた。
ティアに会えなくなるのか?どうして!と思っているうちに、レイと共に帰ってしまった。
「キース、すまん。私が学友にしたせいだ」
「いえ。ティアも楽しんでましたし、あの頃のレイス殿下にはティアが必要でしたから」
「あれから武術を教えていたのか?」
「いいえ。先程捕らえたのもティアだと聞いたばかりで、驚いたところです」
「捕らえたのもティアなのか?」
「ティアはこうなることがわかっていたと言いました。だから小さい時に武術を習いたいと言ったのだと。家族が反対するからこっそり学んでいたと」
「襲われるのがわかっていて、学友を続けていたのか?エリーを呼んでくれ」
レイも戻り、エリーと一緒に入ってきた。
「ティアが襲われたのですって?」
「そうだ。無事だがな」
「そういう問題ではありませんわ。ティアは学友をやめると言いましたか?」
「ああ。そのせいで襲われたのだろうからな」
「ああなんてこと!これではティアは傷物になってしまうわ!」
エリーは泣いている。
「どういうことだ?」
「ティアはお茶会でレイを庇いすぎて、悪い噂が回っているのよ。レイをだしにしてカイルを狙っているって」
「なんだと?」
「ティアはデビュタントまで表へ出てこないと言ったわ。療養中だということにしてくれって。なのに襲われてしまった。何も無くても傷物になってしまうわ」
「ティアが襲われたのは初めてではありません」
「何だと?」
「今までティアに内緒にしてくれと言われて黙っていましたが、今回は人数も多かったですし流石に秘密にはできませんでした」
「どうして黙ってたの!」
「ティアは武術ができることも黙ってるんだ。怒られたら、習えなくなる。習えなくなったら、やられる。だからティアは秘密にしたがった」
「私達家族がティアのすることを認めてやらなかったせいだ。私達がティアを危険にさらした。ティアは何も相談してこなかったんです。お茶会のことも、学友をやめることも」
「帰ります。家族で話し合わなければいけません。失礼します」
キースが帰った。
「レイは知っていたのか?」
「学友をやめることは知ってた。ティアは自由に生き生きしてるときが1番輝いてる。貴族社会でいたらティアのいいところが消えてしまう」
「ティアの令嬢としての人生を潰してしまった」
可愛い娘だと思っていた。大事にしたかったのに、取り返しのつかないことになってしまった。
「もしティアの結婚が難しくなったら、どうしたら…」
「ティアはそんなに深刻に考えてないと思うけどな。貴族から離れられた!と思ってそう。まあ僕はこれからも会いに行くけど。兄上と会わなければいいでしょ?ティアが結婚できなかったら、僕も結婚せずにティアと色んな国へ旅行でもするよ」
とレイは笑ったのだった。
できるだけティアを守らなければ!




