25.王妃視点
わたくしはエリザベス。この国の王太子であったヴィクトルと結婚して現在、王妃になった。
私には可愛い息子が2人いる。
王太子である第一王子カイルは金髪碧眼のヴィクトルと同じ色を持って生まれた。
初めての子でそれはそれは可愛く、男の子が生まれてきたことで私自身もほっとしたわ。
4年後、もう1人息子レイスを産んだ。男子2人ということで、国の重鎮達には喜ばれたわ。でも私は女の子も欲しかったとこっそり思っている。
そのレイスは、暗めの赤茶色の髪に碧眼。私の生家の髪色を持って生まれた。私の髪はルビーよりは少し暗めの赤。この国では暗い色は差別の対象になる。レイスは私の髪よりもまだ暗い赤。
私とヴィクトルの色を持って生まれたレイス。4年も離れたからこれまた可愛い息子よ。
そんなレイスは兄と違って少々内気な子に育っている。
兄カイルは、学友をつけて勉強や剣術をともに習わせているからか明るい性格をしている。
レイスは、あまり我儘を言わない子供で3歳なのにおとなしい。私はもっと我儘を言ってほしいと少し寂しく思っている。
ある日急にヴィクトルに呼び出されたわ。行ってみると、コールド侯爵とセイクレッド辺境伯がいたの。
何用か聞いたら。まあそれはそれは可愛い女の子が出てきたの。それも騎士服を着て。
コールド侯爵に抱っこされたティアナは侯爵にそっくりで芸術品だったわ。
聞けばティアナは3歳で、レイスと同じ。なのに、子供ながらにしっかり考えて行動している。甘え方もすごく上手。おじさん達をメロメロにしているわ。
女の子なのに男の子の服を着て、武芸を学び、賢く、よく甘える。この子3歳でこれなら末恐ろしいわね。小悪魔よ。私だって魅了されているもの。かわいいのよ。
こんなかわいい子、リアーナが羨ましいわ。
そんなティアナとリアーナを呼んでお茶会をすることにしたの。レイスも連れて。
ティアナと仲良くなってお友達になってくれたらいいわね。
レイスは3歳ながらもちゃんと紳士的にティアナを庭園へとエスコートしている。えらいわ!
「ねぇリア、ティアは不思議な子ね」
「そうなの。あの子面白いでしょ?赤ちゃんの時から不思議なの。でも可愛いでしょ?」
「赤ちゃんの時から?」
「そう。まるで私たちの会話がわかるかのように動くのよ。赤ちゃんなのによ?」
そこへ
「えりーさまーーーー」
とティアがレイスを連れて走ってきた。
ガーネットを見せるの?
ああ。レイス。髪色を今まで気にしていたの?誰?可愛い息子にそんなことを言ったのは!
許さないわよ。
良い子ね。ティアは。ガーネットも綺麗よね。今まで息子の苦悩に気づいてあげられなかった。
まだ3歳なのに。差別なんて無い国にしなければいけないわ。
ティアは何も気にしない。むしろ綺麗だと言ってあげられる心の持ち主。
皆が魅了されるのも当たり前ね!
「えりーさま、だっこして?」
可愛いわ!ずっと膝の上に乗せておきたいくらいよ。
と思っていたら
「ははうえ、ぼくも」
可愛い息子がおねだりしてきたわ!!今まで抱っこをねだったことなんてあったかしら?
レイスはリアの膝に抱かれて嬉しそうにしている。可愛い。
ヴィクトルがやってきて、ティアが抱っこをねだるとレイスも抱っこをねだった。
ティア。本当に甘え上手ね。レイスもティアと一緒にいたら甘えることができるようになるわ。
あら。ヴィクトルったらティアにあーんしてもらってるわ。嬉しそうね。
あら!レイスまで!!
すごくうれしそうね!あんな可愛い顔久しぶりに見たわ。ティアに出会えてよかったわ。
ティアありがとう。
でも、ティアとレイスの遊びに振り回される未来が待っているとはこの時は想像もしていなかったの。
王妃様の中でのティアの株爆上がりー!




