前章のあらすじ

前章のあらすじ

グラシエル公爵家の令嬢・エリザベートは、王太子アルフォンスの婚約者でありながら、社交界では「肥えていて醜い悪役令嬢」と蔑まれていた。

王太子の心は、外見は可憐な令嬢ルチアへと傾き、エリザベートは焦燥の中で必死にダイエットに励んでいた。

だが、この世界では「食べなければ痩せる」と信じられており、無理な絶食とストレスの果てに、彼女はかえって太ってしまう――。

そんなある日、彼女の中で前世の記憶がよみがえった。

そして気づく。

――ここは、かつて自分がプレイしていた乙女ゲームの世界。

このままでは、断罪ルートまっしぐら！？

「いいえ、私は変わるわ。前世の知識で、美しくなってみせる！」

決意を新たに、エリザベートは正しい食事療法と運動、そして体をいたわる美容法を実践し始める。

そんな彼女を支えたのは、医師のカミル。

彼は医学の見地から彼女の挑戦を支え、共に肌に優しい天然成分の化粧品を開発していく。

研究と努力を重ねるうちに、二人の間には静かな絆と淡い想いが芽生えていった。

「美しさとは、健康のうえにこそ成り立つものだということを、もっと多くの人々にも知ってもらいたい……」

そして迎えた運命の夜会。

本来なら断罪されるはずの場で、エリザベートは見事な逆転劇を果たす。

ルチアたちを鮮やかに言い負かし、王太子アルフォンスに自ら婚約破棄を宣言。

「もう誰にも、私の価値を決めさせたりはしない――

私は、私のために、美しくなる。」

社交界に新たな伝説が生まれた瞬間だった。

かつて“悪役令嬢”と嘲られた彼女は、今や“美と知の革命令嬢”。

やがてカミルと心を通わせ、二人は夫婦となる。

エリザベートは王都初の美容と健康のサロン《ラ・ベル・レジスタンス》を開設。

前世の知識を活かした食事療法、運動を取り入れた健康美の文化を広め、王都の女性たちに新しい生き方を示していくのだった。

簡単なキャラクター紹介

エリザベート・グラシエル

本作の主人公。転生者。

カミル

エリザベートの夫。医者。

リリィ

カミルの妹。

拒食症になりかけていたところをエリザベートに助けてもらった恩義がある。

アメリア

エリザベートの侍女。