夫子爲衞君乎
・原文
冉有曰
夫子爲衞君乎。
子貢曰
諾。
吾將問之。
入曰
伯夷叔齊何人也。
曰
古之賢人也。
曰
怨乎。
曰
求仁而得仁。
又何怨。
出曰
夫子不爲也。
・書き下し
冉有曰く
夫子は衛の君を為んか。
子貢曰く
諾。
吾将に之を問わんとす。
入りて曰く
伯夷・叔斉は何人ぞや。
曰く
古の賢人なり。
曰く
怨みたるか。
曰く
仁を求て仁を得たり。
又何をか怨みん。
出でて曰く
夫子は為けざるなり。
・解釈
冉有さんが言われた
『先師は衛の君主を援けられるのだろうか』
子貢さんが言われた
『よし、私がお尋ねしてみよう』
子貢さんが部屋に入られて言われた
『伯夷・叔斉とはいかなる人物でしょうか?』
先師が言われた
『古代の賢人である』
子貢さん
『お二人は自らの行いを後悔されたのでしょうか?』
先師
『人らしくあらんとし、人らしくあったのだ』
『何を悔やむことがあっただろうか』
子貢さんが部屋に入られて言われた
『先師はお援けにはなるまいよ』
・私言
背景を知らないとチンプンカンプンなので説明すると
(知ってもよくわからんけど)
衛国に霊公という君主が居た。
霊公の夫人である南子は悪女ながら霊公の寵愛を受けていた。
霊公の子供の荘公は南子が気に入らず殺そうとしたが、失敗して隣国に亡命してしまう。
暫くの後、霊公が亡くなり後継に孫の出公(荘公の子)が君主に就くことになる。
ところが亡命していた荘公が衛に戻り君主になろうとして、出公(自分の子)と戦いになる。←いまココ
つまり
『親子の戦いで子の味方をすべきか?』
という問いに
『味方すべきではない』
と結論付けている。
儒教における長幼の優越の問題なんだろうかな?
『親に対し、子は歯向かうべからず』と
・用語
伯夷・叔斉:周の初期の賢人兄弟。周の武王が殷の紂王を討った事を不義としてハンバーストライキを起こして餓死、清廉潔白の代表とされる
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