如有博施於民
・原文
子貢曰
如有博施於民、而能濟衆、何如。
可謂仁乎。
子曰
何事於仁。
必也聖乎。
堯舜其猶病諸。
夫仁者己欲立而立人、己欲達而達人。
能近取譬。
可謂仁之方也已。
・書き下し文
子貢曰く
如し博く民に施して、能く衆を済うもの有らば、何如。
仁と謂う可きか。
子曰く
何ぞ仁を事とせん。
必ずや聖か。
堯舜も其れ猶諸を病めり。
夫仁者は己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達す。
能く近く譬えを取る。
仁の方と謂う可きのみ。
・解釈
子貢さんは言われた。
『仮に、分け隔てなく多くの人に恵みを与え、民衆を救済する者が居ましたら、それは仁者と言えるでしょうか?』
先師は言われた。
『そんなことが出来たら仁者どころではない、もはや聖者と言えよう』
『あの堯帝や舜帝でさえ、それを為さんと苦悩されたのだ』
『仁者とは自分が身を立てようと思えば人の身も立たせんとする、自分が何かを成そうと思えば人にも成させんとする』
『他人事を我が事の如く思いやり、考え、為す』
『それが仁を為す方法である』
・私言
『仁はそんな大仰なものではなく、もっと身近で始められるんだよ』ってことだろう
・用語
堯:中国の伝説上の名君、自分の政が間違っていないか気になって、お忍びで庶民の様子を見に行ったらしい。
舜:中国の伝説上の名君、家族(継母・連子・父親)に殺されそうになりながらも父親を大事にしたらしい。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




