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論語を読む  作者: 三河
雍也
123/196

子華使於齊

・原文

子華使於齊。

冉子爲其母請粟。


子曰

與之釜。


請益。


與之庾。

冉子與之粟五秉。


子曰

赤之適齊也、乗肥馬、衣輕裘。

吾聞之也。

君子周急不繼富。

原思爲之宰。

與之粟九百。

辭。


子曰

毋。

以與爾鄰里郷黨乎。


・書き下し文

子華(しか)(せい)使(つか)いす。

(ぜん)()()(はは)(ため)(ぞく)()う。


()(いわ)

(これ)()(あたえ)よ。


(まさ)んことを()う。


(いわ)

(これ)()(あた)えよ。


(ぜん)()(これ)(ぞく)()(へい)(あた)う。


()(いわ)

(せき)(せい)(ゆく)や、肥馬(ひば)()り、(けい)(きゅう)()る。

(われ)(これ)()く。

(くん)()(きゅう)なるを(すく)うて(とめ)るに()がず。


(げん)()(これ)(さい)()る。

(これ)(ぞく)九百(きゅうひゃく)(あた)う。

()す。


()(いわ)

()かれ。

(もっ)(なんじ)(りん)()(きょう)(とう)(あた)えんか。


・解釈

子華さんが斉の国に使者として赴いた時

冉子さんは国元に残る彼の母親が食べていけるよう手当てして欲しいと先生に頼んだ。


先生は言われた。

『ならば一釜(六斗四升)も与えればよかろう』


冉子さんはもう少し増やしてやってはくれませんかと頼んだ。


先生は言われた。

『ならば一庾(十六斗)でよかろう』


これを聞いた冉子さんは独断で五秉(八百斗)を手当てした。


それを知った先生は言われた。

『赤は斉の国に赴くのに、肥えた馬に乗り、軽くて上等な皮衣を着て行った』

『それだけの支度ができるなら、留守の手当ても出来よう』

『私は聞いたことがある』

『君子は窮している者を救うのであって、金持ちの金を増やすのではない』


原思さんが先生の領地の代官に任じられたとき九百を給与したが、不相応と辞した。


先生は言われた。

『辞退なぞするな』

『多いと思えば、隣近所に分け与えよ』


・私言

冉有さんといえば、あれだね。

主人の奔放を『何とかならんのか』と問われ、『無理です』って言った人だね。

色々と気を回すタイプの苦労人のようだ。


しかし確かに、金持ちの金を増やす政治はやめて欲しいね。


・用語

子華:孔子の弟子、姓は公西、名は赤、字は子華

粟:当時の中国北部・中部では粟が主食だったもよう

一斗=十升(当時の一升=2リットルくらい、ちなみに日本の一升=1.8リットル)

釜:容量の単位、一釜=六斗四升=120リットルくらい

庾:容量の単位、一庾=十六斗=320リットルくらい

秉:容量の単位、一秉=百六十斗=3200リットルくらい


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