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第八十話:黄金の咆哮、再来

隔離期間という「足止め」を余儀なくされていた羽柴秀吉はしばひでよしが、ついに戦線へと復帰した。

 播磨はりまの陣営で浪紫はしからの「氏治負傷」の報を聞いた時、秀吉の怒りは文字通り頂点に達していた。

「……汚ねえ真似をしやがって。浪紫殿、俺はもう、手加減も慈悲も全部捨てたぞ!」

 復帰した秀吉が真っ先に向かったのは、石山の背後、海へと通じる唯一の隠れみなとであった。そこは九条くじょうの指示により、雑賀衆さいかしゅうが密かに物資を運び込んでいた「最後の生命線」だ。


「全艦、突っ込め! 浪紫殿が築いた封鎖網を抜けてくる鼠どもを、一匹残らず海の藻屑にしろ!」

 秀吉は、自身が隔離されていた間に練り上げた「機動封鎖」を展開した。

 これまでは一定の距離を保っていた艦隊を、あえて敵の射程内に突入させ、接舷せつげんしてからの白兵戦で一気に制圧する。

「兄上、影の男が仕掛けた『毒の漂流物』も、浪紫殿の教え通り網ですべて回収しております!」

 秀長の報告に、秀吉は不敵に笑う。

「当たり前だ。一度喰らった不具合を、二度も許す羽柴秀吉じゃねえよ!」

 秀吉の猛攻により、石山の「喉元」は完全に握りつぶされた。物流という血流を止められた巨人は、ついに内側から崩壊の兆しを見せ始める。

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