表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/107

第三十三話:房総の火、鉄の雷(いかずち)

上洛への露払つゆはらいとして、浪紫はしが最初に狙いを定めたのは、房総ぼうそう里見さとみであった。

 かつて併合を受け入れながら、織田の誘いに乗って背後を突こうとしたその不忠。浪紫に慈悲の心はなかった。

「里見の規模は、佐竹に比べれば小さい。ですが、安房あわの峻険な地形をたのみにしております。……正面から攻めるのは、時間の無駄というもの」

 浪紫は、源鉄斎げんてつさいに命じて完成させた「新兵器」の数々を船に積み込ませた。里見が誇る「水軍」を逆手に取り、海からその本拠を叩く算段である。

(……地形の利など、座標を固定された標的ターゲットに過ぎない。まずは里見に、火力のアップデートを体験してもらう)

 里見の拠点、久留里くるり城を包囲した小田軍。城門を固める里見軍に対し、浪紫はこれまでのような大筒ではなく、複数の筒を並べた「多連装噴進筒(ロケット砲の原型)」を披露した。

「放て」

 浪紫の冷徹な号令と共に、火を噴く鉄筒が次々と放たれた。それは、一本一本が炸裂弾を積んだ「空飛ぶ槍」であった。

 ドォォォォン!! と凄まじい爆発が城壁を粉砕し、里見の兵たちは見たこともない「空から降る連撃」に、戦う術を失い逃げ惑う。

「……何なのだ、この火は! 仏罰か、あるいは……!」

 里見の将兵が絶望に沈む中、浪紫はさらに追い打ちをかけるように、大凧おおだこから新種の煙幕弾を投下。城内は瞬く間に視界を奪われ、混乱は極致に達した。

 わずか一日。

 かつて名門と謳われた里見氏は、その新兵器の圧倒的な破壊力の前に、戦わずして膝を屈することとなった。

「氏治様、里見は片付きました。……次は、北の佐竹と結城です」

 浪紫は、降伏の誓詞せいしを淡々と処理しながら、すでに視線を常陸北端へと向けていた。そこには、里見の敗北を震えて見守る、さらなる「標的」たちが待っていた。

(……さて、次は情報の書き換えだ。佐竹と結城、互いに信じられなくなるまで、徹底的に疑心暗鬼を植え付けてやる)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ