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第二十八話:虎を待つ、鉄の檻(前編)

武田信玄、進発。その報せは関東を震撼させた。

 二万を超える武田の精鋭に対し、浪紫はしは、実質的な支配下に置いた北条家から二万の兵を引き出し、自軍八千と合わせて武蔵むさしの国境へと展開させた。

 評定ひょうじょうの場では、氏治うじはるが不安げに浪紫に問いかける。

「浪紫よ、北条の精鋭を合わせても、信玄公の采配の前には無力ではないか? 相手はあの、信玄公なのだぞ」

「氏治様、戦とは数と勇猛さだけで決まるものではありません。武田が風なら、我らはその風を閉じ込めるおりになればよいのです」

 浪紫の傍らには、異様な形状の鉄の塊が置かれていた。それは、複数の筒を円筒状に束ねた、この時代の常識にはない「連射式の大筒(ガトリング砲の原型)」の試作品であった。

「……信玄。アナログの極致に、最新の論理ロジックで挑ませてもらう」

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