第十話 低位錬金武器とマジックコンテナと錬金術師の外套
錬金鉱が作れることになったことで低位錬金武器が作れるようになった。
低位錬金武器の素材は錬成鉱、錬金鉱、錬金土、錬成砂で作れる。
錬金素材作成のレベルが一気に上がったことで錬金土と紙と鉱が作れるようになっているから量産も問題ない。
それで試しに錬金剣を作ってみたのだが、
「よっわ!」
思わずそうボヤくくらいに雑魚だった。
錬金真眼で鑑定した結果、上昇するステータスは剣でSTRが1だけ。
これならG級ダンジョンでドロップするような最下級の武器の方がマシである。
(品質が23あるけどステータス補正には関係しないのか? それとももっと上になれば特殊な能力が発現するとかか?)
今のところ浄化の剣のように特定の相手に強い訳でもないので本当にゴミ武器である。
錬金真眼でも上昇するステータスしか分からないし。
しかもだ。試しにゴブリン相手に使ってみたらなんと一振りだけで刃こぼれを起こす始末。
そして二体目を倒したところで完全に壊れて使い物にならなくなった。
耐久力までこれではどうあっても使い物にならない。
「てかなんで素材の錬金鉱とかの方が硬いんだよ。錬金したのに脆弱になってるじゃねえか」
ステータス補正はないが鉱石である錬金鉱の方が硬質なのは本当に終わっているとしか言いようがない。
唯一の救いは武器と判定されるものならどれでも同じ素材で作れたことだろうか。
槍や斧、弓矢に杖など多種多様な武器は作れた。また杖の方はINTが1だけ上昇するなど武器に応じたステータス補正があることも確認できている。
「で、どうしろと?」
その疑問に対する答えは返ってこない。
どんな武器だろうと雑魚武器なのには変わりがないのでは本当にどうしようもないではないか。
(いくらなんでもこんな弱いだけなことはないはずだから何か特性があったり、特殊な活用方法があるとは思うんだけどな……)
そう思って色々と試行錯誤はしてみた。
魔力(MP)を流し込んでみたり、スキルを使ってみたり、更なる改造ができないか錬金スキルをその武器に使ってみたり、あるいは複数本を一本にまとめる形で錬金できないか試したり、魔石や魔物の死体などで強化できないかなどだ。
だがどれも失敗に終わった。
「……まあいいや」
今のところ有り余るステータスのおかげで武器が弱くても特に問題はない。
長く装備すると効果を発揮するかもしれないから今は装備するだけにして放置しよう。
錬金真眼をレベルⅣまで上げても分からなかった時にでもまたどうするか考えることにして。
そちらはランクを二つも上げればいいだけだし。
それに今は他にも作れる物があるのだから。
あと作れるようになったのはマジックコンテナと錬金術師の外套である。
マジックコンテナの方は錬金鉱、錬成紙、錬金土、錬成土、錬成草で品質が21のものが作れた。
そして実物を見たことでようやくその効果が判明する。
「おお、こっちは使えそうだな」
名前からして設置型アイテムバッグみたいなものかと思っていたのだが、それは間違いではなかったもののそれだけではなかった。
まず重量は品質×100キログラムになっているので、目の前のものは約2トンまでの物なら収納できる代物となっている。
ただしこれは設置しなければ使用できず設置してから一月はその場から動かすことができなくなるようだ。
その期間を過ぎれば再度動かすことも可能なようだからこのデメリットはそれほど問題になることはないだろう。
また流石に俺のアルケミーボックスとは違って収納できるサイズは入口を通るものだけのようだがそれも構わない。
そのデメリットよりも最後のメリットだけで十分お釣りがくるのだから。
このマジックコンテナに収納したダンジョンアイテムは、なんとその時間が経過するのが半分となるようだ。
要するに回復薬などが外よりも倍以上も長く効果を保てるのである。
それだけではない。
魔物肉であれば腐るのも遅くなるし、薬草などもその効能を有している期間が倍になるのだ。
見た目としてはかなり大きめの収納ボックスでこれ以上は小さくできないようだが、収納できる量を考えたらこの程度の大きさなど問題にならない。
ダンジョン以外のことでも非常に役に立ちそうなアイテムである。
そして最後の錬金術師の外套だが、
「ってこれもかよ!」
残念なことにVITが1だけ上昇する他には何も効果がないただの外套だった。
しかも魔物の攻撃を受けるとすぐ破れるという低位錬金武器に通じる脆弱性を兼ね備えていた上で。
(ったく、錬金アイテムも全てが使い物になる訳じゃないってことか)
この考えが間違っていてもしかしたらこの先で使い道が見つかるのかもしれないが、現状でこれらはただただゴミでしかない。
「はあ……まあいいや、防御にも今は困ってないしな。とりあえず装備しておこう」
これまた錬金武器と同じような理由でダンジョンではこれを身に着けることにして、とりあえずその状態で魔物と戦ってみた。
残念ながらゴブリンやビッグラットを百体以上倒してもランクが上がることはなく、またゴミ装備に新たな能力が発現することもなかった。
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