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[書籍第2巻、4月18日発売!]隻眼錬金剣士のやり直し奇譚-片目を奪われて廃業間際だと思われた奇人が全てを凌駕するまで-【第4回HJ小説大賞 年間最優秀賞受賞!!!】  作者: 黒頭白尾@書籍化作業中
第三章 終わら(せられ)ない借金生活とダンジョン氾濫編

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第九話 解析率とレベルアップ

 折角のダンジョンなのだ。ただのスキル確認だけで帰るのはもったいないというもの。


 その日も一日中魔物退治に明け暮れたが、残念ながらランクが上がることはなかった。


(やっぱりG級ダンジョンだと限界が来てるな)


 いい加減に昇級しなければならない時が来ているようだ。


 それにそれ以外の点でも昇級しておきたい理由も存在している。


 今日訪れたダンジョンに出現する魔物はビッグラットとゴブリンだったので、当然ながらビッグラットの方の解析率は100%にしてある。それ自体は何も問題ない。


 でも単純な数なら会社で揃えてもらった魔物の素材の方が多く解体分析しているものもあるのだ。

 それなのにそっちだといくら解体しても解析率が100%にならない。


(解体そのものは出来るからスキルが発動していない訳ではない。ってことは解析率を上げるためには隠されている別の条件があるのか?)


 候補としては自分で倒した魔物でなければならないか、あるいは倒してから一定時間経過するとダメとかだろうか。


 あるいはゴブリンとホブゴブリンのように上位互換や下位互換が存在する場合は、下から段階的に解析しなければいけない、とかも考えられる。


 こういう風に手に入れたスキルでも一々検証しなければならないのが面倒だという探索者は多い。

 手間が掛かるのでそれも当然だと思う。


 でも俺は面倒だという意見には賛成するが、実はこの面倒さがそれほど嫌いではなかった。

 むしろ可能性を一つ一つ潰して検証していく作業が割と好きな方でもあるくらいだ。


 もっともそのせいで余計な道草を食うことも多かったが。

 ノーネームのメンバーにはそれで何度も怒られたものである。


「なんにせよ会社の金で魔物の素材を搔き集めてもダメってことだな」


 そうでなかったら回復薬売買の収益を使って上級ダンジョンの魔物素材を集めるつもりだったのだが、残念なことに金の力ではどうにもならないようだ。


 でも別に問題ない。

 だったら自分の足で各地のダンジョンに赴けばいいだけの話だし。


 それに役立ちそうなレシピもランク10になった時に手に入っている。


 その名も携帯型帰還ゲートだ。


 帰還ゲートは階層の多いダンジョンに存在することが多い、入れば一瞬でダンジョンの入口まで戻れるゲートのことだ。ボス部屋でボスを倒せば現れるダンジョンコアと一緒に現れることが多い。


 ならばこれはその名の通り恐らくそれの携帯型なのだろう。


(転移石と何が違うのかはよく分からんけどな)


 似たような効果と思われるが違うアイテムらしい。


 といっても転移石は中々ドロップしないのでかなり値が張る上に錬金アイテムではないので錬金でも作れない。


 その貴重なアイテムを帰る時に毎回使っていたら無駄遣いもいいところなので、この似たようなアイテムはきっとこれからの俺の探索者活動の役に立ってくれることだろう。


 もっともレシピがあってもまだ作れないのだが。


(そのためには錬金素材のスキルレベルも上げないとだし、やることは山積みだな)


 これまで様々なレシピを手に入れてきた結果その必要素材などから――どのレベルがどれになるかまでは分からないが――レベルⅥ以降に手に入るだろう錬金素材についても判明している。


 既に判明している錬金肉と錬金魂を除けば残りは三つ。

 その三つとは錬金炎、錬金闇、錬金鉱だ。


 ただ実物はないのでどういうものかの詳細は分からない。


「となるとこの辺りでスキルレベルアップポーションを使うべきか?」


 これまでは貴重な物だからギリギリまで取っておこうかと思っていたが、こうなってくるとそれらに頼った方が効率的かもしれない。


 となると錬金スキルを上げることで錬金剣士のジョブレベルを上げるか。


 はたまた錬金素材作成のスキルを上げて必要となる各種素材をまずは揃えるか。

 そうすれば錬金できるアイテムの種類が増えるから、それで錬金しまくればいいかもしれない。


「とは言え使うのは次にレベルが上がった後だな」


 ランクやレベルアップポーションは次のレベルなどに上がるまでの経験値を与えてくれるアイテムになっているようなので、今使ってしまうのは勿体ないのだ。


 だからレベルが上がった際に使うのが最も効率的となる。


 ちなみにジョブレベルアップポーションは残念なことに俺にとっては無用の長物となっている。


 なにせ錬金スキルのレベルが上がらないと錬金剣士のジョブレベルも上がらないからだ。幾ら経験値が入ってもレベルが上がらないのでは意味がない。


 だからジョブレベルアップポーションは俺以外の愛華にでも使ってもらうことになるだろう。


「……よし、決めた」


 スキルレベルアップポーションを使う。

 

 選んだのは錬金素材スキルだ。


 現状では有しているレシピに対して足りない素材が多過ぎる。

 それで錬金できるアイテムが限られているのはあまりにも勿体ないと判断したのだ。


「となると今日は魔力回復薬(マナポーション)漬けだな」


 セーフルームにでも行ってそこでひたすら錬金素材作成と錬金の無限ループをすればいいだろう。


 MPが尽きそうになっても自分で魔力回復薬(マナポーション)を作って回復すれば理論的には永遠に作り続けられることになるし。


 もっともMPの枯渇と回復をあまりにも繰り返すのは体によくないのか、やり過ぎると気持ち悪くなるが。


 回復薬も過剰摂取すると効き目が悪くなるし。


 それでもここはダンジョンだからステータスも回復薬の効果も半減しないので、地上よりも効率よく行えるのは間違いない。


 だったら後はやるだけだ。


「それにしても相変わらず変な味だよな、これ」


 回復薬全般に言えるのだが美味しくない。激マズってほどではないのだが、表現し辛い苦みやエグみがあるのだ。


 一度くらいなら気にならないが、こう何度も呑むことになると嫌になってくる。


(まてよ、味の良い回復薬なんかも作れたら売れるかもな)


 そんなことを思い付いたが今は心の内に仕舞っておくことにした。

 これ以上、下手に新しいアイデアを出して行動を制限されるのは御免だからだ。


 こちとらダンジョンで活動する探索者が本業なのだし。


 そうして錬金素材作成スキルで素材を作っては錬金で魔力回復薬(マナポーション)を生み出してそれを飲むことを繰り返して、俺は無事に錬金素材レベルをⅣに上げることに成功する。


 更に二本ほどスキルレベルアップポーションをそれに対して使用したので錬金素材レベルはⅥまで上げることに成功し、新たな素材である錬金鉱の作成ができるようになるのだった。

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