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第三章 終わら(せられ)ない借金生活とダンジョン氾濫編

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第四話 見習い卒業

 そろそろ十分だろう。俺はそう判断した。


「よし、今日で卒業だな」

「はい?」

「だから今日で見習いは卒業。これからは愛華もランクも積極的に上げてスキルもどんどん覚えていくぞ」


 これまで愛華には探索者の基礎となる心得や考え方などを中心に教えてきた。

 それがなければステータスに溺れるだけだからと。


 だがそれもここまで。今の愛華ならそうなることもないはずだ。


 今だって前は苦戦していたゴブリンファイターをメイスでボコボコにしているし。

 ランク2のステータスでこれは素晴らしい成長だと言える。


 逞しくなったものだ。


「いきなり過ぎて話が呑みこめないんですけど」

「それは予想以上に呑み込みが良かったから予定を前倒ししたせいもあるな。本当はそれなりのお祝いをするつもりだったんだが」


 弟子が一人前になったのだから師匠としては贈り物の一つくらいは用意するつもりだったのだ。実際には愛華の成長が早くてたいしたものは用意できなかったが。


(本当はそれまでにスキルオーブの量産に成功して役立つスキルを与えてやりたかったんだがなあ)


 できなかったものは仕方がない。

 それなら代わりのものあげるとしよう。


「とりあえず獲得ランク経験値倍増ポーションを一本やるから、次はこれで効率的にランク上げをするとしよう」

「でもそれって現状だと五本しかない奴ですよね。先輩が使わなくていいんですか?」

「有った方が効率的ではあるだろうが無ければ無いで構わないさ。その分だけダンジョンに長く潜ればいいだけだし」


 むしろそれを言い訳にしてダンジョンに長いこと居座ってやろうかとすら考えているのは秘密だ。


 自業自得ではあるが、新しい事業を考えたせいでまたダンジョンに潜れる時間が減ってしまったし。


「分かりました。私は丸一日ぶっ続けで魔物と戦うなんて頭のおかしいことは出来そうもないので貰っておきます」

「おい、さりげなくこっちをディスるな」

「えー何のことか分からないですー」


 こいつ、付き合いが長くなるにつれてこちらをからかうことが増えてきていやしないだろうか。

 欠片も不快ではないし、そのぐらいの方が楽しいぐらいなので別にいいけど。


 とはいえ管理するのは怖いとのことなので実物は俺が預かっておくことにする。


 そんなこんなでまずは俺が恒例のゴブリンキング周回を行なっていたら遂にその時がきた。


「よし、ようやくランク10になったか」


八代 夜一

ランク10

ステータス

HP  114

MP  106

STR 102

VIT 97

INT 99

MID 115

AGI 100

DEX 101

LUC 92

スキル 錬金レベルⅢ 錬金素材作成レベルⅢ  錬金真眼レベルⅡ 霊薬作成レベルⅡ アルケミーボックス 錬金術の秘奥(マスターアルケミー) 剣技覚醒 水銃レベルⅠ

ジョブ 錬金剣士レベルⅢ


 これでかつてのステータスを完全に超えた訳だ。

 ちなみに残念ながら回復薬を作りまくったことで上昇した霊薬生成レベルⅡでは特に新たな効果は増えなかった。


「俺もこれで見習いは卒業だな。あー長かった」


 時間が掛かった理由が別のことで忙し過ぎてだなんて予想外だったが、こうして辿り着いたのだからよしとしよう。


「そう言えば私もランク10を目標に設定されてますけど、それは第二次職に転職できるからですか?」

「一番大きな理由はそれだけど他にも理由は色々とあるぞ」


 そう、探索者としてランク10になることは第二次職だけでなく他にも様々な面で違いが生まれることになるのだ。


 これまでの愛華には下手にそのことを意識させないようにあえて教えていなかったが、ここからはガンガンランクを上げていく予定だからもう話してもいいだろう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 歯に絹着せない間柄になってて良き って思ったらなんか否定的意見が…
[気になる点] 売ったら数億とかになりそうなアイテムを簡単にもらうとこがなんか嫌だ。しかも感謝より相手をディスるとかあり得ないわ。
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