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[書籍第2巻、4月18日発売!]隻眼錬金剣士のやり直し奇譚-片目を奪われて廃業間際だと思われた奇人が全てを凌駕するまで-【第4回HJ小説大賞 年間最優秀賞受賞!!!】  作者: 黒頭白尾@書籍化作業中
第二章 継続する借金生活と霊薬騒動

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第八話 限られた協力者

日刊ローファンタジーランキング5位に入りました!!

やったー!!!


これからも頑張るので応援よろしくお願い致します!

 色々と根回しの為に時間が欲しいという隆さん達の頼みを聞いた結果、まずは回復薬の通常品三点セット(低位体力回復薬、低位魔力回復薬、低位異常回復薬)を十本ずつの納品となった。


 これだけならダンジョンで運良く手に入れた可能性もなくはないから確証には至らないだろう。


 だが翌週、翌々週にも同じ数だけ通常品を納品し続けるのでいずれは分かる。


 その時になって副本部長一派がどういう行動に移るか楽しみである。


 現在では錬金釜などのおかげで、外崎さんなどの信頼できる人物に低位の回復薬なら任せられるようになった。


 つまり全てを俺一人で行う必要はない。


 もっとも特別品という名の普通よりも品質が高い物はまだ俺しか作れないので、まだまだ全てが片付いた訳ではないが。


(とは言えここ最近はほとんどランク上げ以外のことに掛かりきりになってたからな。そろそろランクも10にしておきたい)


 愛華を鍛えること、回復薬作成に本部長派との秘密裏での打ち合わせ、副部長対策などやらなければならないこと立て込み過ぎて未だにランク8から上げられていない。


 何度かダンジョンに行っても素材回収とかのやることがあって経験値稼ぎは捗らなかったし。


(最悪はランクアップポーションもあるけど、あれはなるべく後の方で使いたいからな)


 中位の回復薬はどれも一年、高位だと三年は効果を保つことができる。だから使用期限ギリギリまで自力でランクやレベルは上げてから使いたいのだ。


 その前に錬金で作成可能になっていればその限りではないけど。


 もっともそれにはステータスもスキルレベルも全然足りていない。


 どうやら効果が高い錬金アイテムを作るのには各種ステータスが要求されるようなのだ。


 しかも錬金真眼に至ってはレベルを上げる条件は満たしているものの、ステータスが足りていないのでレベルアップは保留されているという体たらく。


(錬金真眼はユニークスキルだし俺の今後の活動の生命線でもある。早めに上げないとな)


 そのためにもまずはステータスを、そしてランクを上げる。


 そのためにやって来たのは湘南だ。ここの海辺にも転移型ダンジョンが存在していて今日はそこでレベリングを行う予定である。


 なお愛華はここ最近ずっと低位の回復薬作成に熱中しているのでお休みである。


 まあ作れば作るほど販売した際の売り上げから一部が特別金として支払われるということなので、金が必要な彼女からしたら魅力的な話だし仕方ないだろう。


 心配なのは熱中し過ぎて無理しないかだ。本来は管理しなければならない外崎さんも同じように暴走しそうだし。


(まあ椎平達も暇なときは作成に手を貸してくれてるから大丈夫だろう)


 現在の俺以外で低位回復薬作成を主に行なっているのは元パーティメンバーを除けば外崎さん、愛華、それと講習会に参加していた研究員の三木 明日香だけだ。


 鳳以外の探索者組にも協力させる案もあったが、現状だと情報が洩れる可能性を考慮して保留となっている。


 三木が何故信頼できると判断されたかについてだが、なんとこの人は常務の姪なのだとか。

 当然ながら常務ともなればこの事業についての詳細も全て知っている。


 その身内なら裏切りはしないだろうということで彼女もまた協力者に選出された訳だ。


(これが表に出たらコネによる人事だとか批判されるのかもしれんな)


 だがそういう繋がりが一番分かり易いのも事実。


 だからこそ世の中ではそういうものが蔓延って止まないのだろう。まあ決定したのは社長なので責任はそちらにある。


 こちらに不利益がない限りは俺の知ったことではない。


 簡易錬金モノクルも簡易錬金釜も管理は徹底されているし、それらの存在やその活用方法などを知るのも本当に極一部だけ。


 いずれは発覚するとしても先行者利益を十分に確保してからが望ましい。


(現状だと俺にしか作れない上に回数制限もあるから万が一盗まれてもどうにかなるだろ)


 モノクルも釜も俺がいればどうにかなる。


 つまり肝心なのはそれらをこの世界で唯一作れる俺の身の安全だ。


 それが最優先だと分かっている常務達からは、危険を伴う探索者活動を控えることは出来ないかと言われているが俺はそれを断固拒否している。


 あくまで俺は探索者として成り上りたいのだ。今は予想外なことが起こりまくったせいで他のことにも色々と手を出す羽目になっているが、肝心なことは変わっていない。


(現状での最終目標は日本で唯一のA級になることだな)


 その後は世界のA級を相手にするのか、それともまだ見ぬS級を目指すのかは決まってないが、まあその時になったら新たな目標も見つかっているだろう。


 そんなことを考えながら転移陣の前までやってきた。


 ここは探索者ではない海に遊びに来た一般客も近くにいるので、間違って入り込む人が出ないように簡易的な柵で囲われており、協会から監視の人材も派遣されている。


 ここ以外でも一般人が入りこめそうな場所には協会の職員が派遣されているのだ。だからそういうところに潜ると協会にその情報は筒抜けになると思っておいた方がよい。


(普通はそういった情報を知り得ても悪用してはいけないはずなんだが、あの副本部長がやらない訳ないからな)


「どうも。これからサハギンダンジョンに入らせてもらいます」

「お疲れ様です。それでは探索者証明書を確認させてください」


 G級の証明書を出して監視員に見せる。それを見た職員の表情が少しだけ驚いたように変化した。


 どうやら俺のことを知っているらしい。


 だがこの職員は何も言わずに確認を済ませると通してくれた。


 ただし俺が魔法陣の方に移動するとこっそりと背後で会話するのが聞こえてくる。


「おい、あの人だよ。C級からG級に降格になったって一時期の協会で噂になったの」

「ああ、そう言えばそんな人いましたね。まだ探索者を続けてたんだ」

「何億もの借金を抱えてるらしいし辞めるに辞められないのかもな」

「なんにせよ哀れですね。片目まで失って借金地獄でこんな辺鄙なG級ダンジョンに潜るしかないんですから。かつてC級だった栄光は見る影も無いって奴ですかね」


 そんなバカにした会話は残念ながらステータスによって強化された聴覚によって捕捉が出来てしまうのだ。


 でもどうやら俺の目論見通り一般の間では、俺は終わった奴として見られているのは間違いなさそうで安心した。


(よしよし、今はその方が好都合だ。注目を浴びるのは秘密裏に事を進められるだけ進めた後で十分だからな)


 俺は振り返ることなくそのまま転移陣に進んでダンジョン内に入っていった。

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[良い点] このくっちゃべってる奴等にもざまぁはよ
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