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第十話 得られたアイテムとレシピ

ここ数日、色々なランキングに載ったり総合評価が2500ptを超えたりと本当に有難い限りです。


応援してくださっている方々には誠に感謝申し上げます。

「……無念」

「何が無念よ。私が呼びに行かなかったらあのまま会社に行くのをすっぽかしてたでしょうに」


 それは否定できないので黙ってそっぽ向いて知らんぷりしておく。


 調子に乗ってあれから時間も忘れて狩りを続けていたら、遂には椎平がその場にやってきて止められたのだ。


 まあそうしてくれなかったら予定通りに出社していなかったので助かったのは間違いない。


 その分、再設定した目標には届かなかったけど。


 まあ流石にゴブリンキングだと経験値が足りなくなってきていたから丁度良いタイミングだったかもしれない。


 次に狙う最高効率はF級ダンジョンなのだが、そこに潜るためにはF級探索者にならなければない。


(けどこれだけ早く昇級すると怪しまれるだろうからな。仕方ないが今は大人しくしておこう)


 その間は素材集めのために他のG級ダンジョン巡りを行うつもりだ。


 表向きは愛華の指導という理由で。同じG級で共に行動するのも、指導のために色々なダンジョンを巡るのも別におかしなことではない。つまり体のいい目暗ましになる訳だ。


 利用する形になるがあちらにも得がある話なので問題はないと思う。まあ事情を説明した上で断られたら仕方ないくらいに思っておけばいいだろう。


「まあなんにせよ助かったわ」

「はいはい。そんなことより進捗はどうなの?」

「ん」


 ステータスカードを投げて渡す。


 それを見て椎平は絶句していた。


八代 夜一

ランク8

ステータス

HP  94

MP  86

STR 82

VIT 77

INT 79

MID 95

AGI 80

DEX 81

LUC 72

スキル 錬金レベルⅡ 錬金素材作成レベルⅡ  錬金真眼レベルⅡ(固有) 霊薬作成レベルⅠ アルケミーボックス 錬金術の秘奥(マスターアルケミー) 剣技覚醒

ジョブ 錬金剣士レベルⅡ(固有)


 このランクでほぼ全盛期に近いステータスなのだからその驚きも分かる。と言うか一部に至っては既に超えているし。


「ああ、それと錬金真眼はレベルⅡになったことで自動再生機能が追加されたぞ。これで万が一、右目を何者かに潰されたとしても俺が生きてさえいれば右目だけは元に戻る」


 ちなみにこれも本来なら発動するのにそれなりのMPを必要とするはずだったが例の如く錬金術の秘奥(マスターアルケミー)のおかげで1になっている。


 なお破壊ではなく摘出した場合でも取り出した宝石のような眼球は消滅して俺の右目に戻ってくるようだ。


「それも十分に異常だけどランク8でこのステータスなのは圧巻ね。たった数日でここまであげたことも同じくらいにおかしいけど」

「照れるな。そんなに褒めるなよ」

「褒めてないわよ。それでレシピとやらも上がったランクと同じ数だけ手に入ったんでしょう。どんな物があったの?」

「ああ、それな。今の俺だと作れない物ばっかりだったぞ」


 そう言いながらも手に入れたレシピを書き出して渡す。


 低位錬金武器、性転換ポーション、低位STRアップポーション、マジックコンテナ、錬金術師の外套、緑小鬼(グリーンゴブリン)の仮面、破邪の竪琴。この中で唯一作れるのは緑小鬼(グリーンゴブリン)の仮面だけだ。


 錬金アイテムはあまり流通していないのかそれ以外のレシピはあの時のドロップアイテムだけだ。具体的に挙げると以下の通りになる。


中高位の体力回復薬と魔力回復薬と異常回復薬。

霊薬の素。

中高位のHP、MP……LUCアップポーション。

ランクアップポーションとスキルレベルアップポーションとジョブレベルアップポーション。

獲得ランク経験値倍増ポーション、獲得スキル経験値倍増ポーション、獲得ジョブ経験値倍増ポーション、アイテムドロップ確定ポーション

リセットポーション。

空白の錬金レシピ表

空のスキルオーブ

空のジョブオーブ

赤と青と黄と緑と白と黒と無色の錬金結晶。

原型(アーキタイプ)ホムンクルス。


 これらが全て五個ずつ。ここにレシピが手に入らなかったアマデウスの御霊石を加えたらあの場で手に入れた物全てになる。


 今のところ中位体力回復薬とリセットポーションを一つずつだけ使っており、それ以外は手付かずの状態だった。


 どれも現状では再入手することが出来ない物ばかりだし錬金結晶やホムンクルスなど中には御霊石同様にどうやって使用するのか不明な物もあるからだ。


 錬金真眼を使ってもスキルレベルが足りていないのか詳細不明としか出てこないし。


(まあ詳細も使用方法も分からなくてもレシピそのものは手に入ってるからな。いずれ錬金レベルを上げて材料を集めたら作れるようになるだろう)


 求められるのに竜の血や心臓、世界樹の枝などの貴重な物やそれを通り越して聞いたことも無い素材もあるが、まあそれはB級以降のダンジョンで手に入ると思われるので、そこに入れるように今は地道に頑張るしかない。


「ちなみに唯一作れた緑小鬼(グリーンゴブリン)の仮面がこれな」

「なにこれ? 見た目は屋台で売ってるお面みたいに安っぽいわね」

「それは俺がそういう風になるように調整したからな。錬金で作る際にある程度までならそういう幅を持たせられるみたいだし」


 その気になればもっと本格的にゴブリンの頭部を模した仮面を作ることもできる。


 と言うかそっちの方が本来のゴブリンの仮面なのだろうが、それだと使い辛そうだったから可能な限りデフォルメしてみようとしてみた結果が目の前のお面である。


「変えられる幅にも限界がある上にあまりに本来の形からかけ離れると効果の減少や無効化、あるいは耐久性の減少とか何らかのデメリットが発生するみたいだから好き勝手出来るとまでは言わない。けどそれでも効果が変わらずにこのくらいのお面に変化させられるのは助かるだろ」

「まあ少なくともこれならコスプレの類だと見られてもダンジョンアイテムだと思われることはまずないでしょうね。それで肝心の効果は?」

「これを装備している間はグリーンゴブリンの言語が理解できるようになるのと相手が同族だと勘違いしてくれる。まあそれも万能じゃなくてこっちから攻撃を仕掛けたりすれば反撃されるけどな」


 言語についても流暢な会話ができるほどではなく発する単語が分かる程度だった。


 まあこれはゴブリンという種族の知能的な問題の可能性もあるから、別の仮面が手に入った際に検証してみる必要があるだろう。


 それに同族と見られても無条件に友好的になることと同義ではない。試しにグリーンゴブリンキング相手にこれを使ってみたら配下のゴブリンにしようとでも思ったのか従うように命令してきたし。


「それでも使い道が色々と考えられるアイテムじゃない」

「まあな。他の種類の仮面もきっとあるだろうし、やっぱり素材集めは必要不可欠だな」


 極めれば自分が作り出す錬金素材で全てを賄えるようになるはずだが初めの内は材料が必要となる。使えるレシピが手に入ったのに素材がなくて作れないという事態はなるべく避けたいので、そうならないための準備はしておかなければ。


「とりあえず今後しばらくは予定通りG級ダンジョン巡りをして素材回収に精を出すつもりだ。その過程でスキルレベルが上がれば各種回復薬などの霊薬作成にも取り掛かりたい」


 低位体力回復薬(ローライフポーション)なら錬金素材作成レベルⅢになれば量産が可能になるのでまずはそれを目指すとしよう。そうなれば例え20億円だろうがその倍だろうが借金返済など容易になる。


 そこまでに気を付けなければならないのは、これらの情報を副本部長を始めとしたこちらの邪魔となる相手に知られることだ。


 そうなった際にまた適当な理由をでっちあげて資格剥奪とか言い出して妨害を受けたら溜まったものではない。


 そうならないために二重スパイの勘九郎が暗躍してくれているが、念には念を入れてもう一つの誤認情報を流す人物をこちらでも用意してある。


 正確にはこちらが用意したのではなく私怨からそういうことをしそうな奴がいたので、試しにそいつに幾つかの情報を流してみたのだ。


 その結果そいつはあっさりと金で買収されてこちらを裏切ったので、逆にそれを利用することにした形である。


(残念だよ、鳳。この一ヶ月近くは反省したのか大人しくしていたのにな)


 ジャイアントラット戦での出来事もあって鳳はしばらく会社を休んでいた。


 まあ恐怖を与えた俺が言うのもなんだがあれだけ色々とやらかしたのだし会社に居辛いだろう。だからそのまま会社を辞めるかと思われていたのだが、そんな奴に副本部長がこっそりと接触していたのだ。


 そして俺に対して恨みを持っていた奴は少なくない金が支払われるというその甘い誘惑に乗ってしまった。


 悲しいことにこちらにそういったやり取りは全て把握されていることなど知りもせず。


 会社としてもここまでやらかしてくれれば解雇するのは容易だ。

 証拠も揃っているのでその気になればいつでもクビにできる。だが今はまだその時ではない。


 奴と勘九郎という二人から情報を得ることで副本部長はこちらの動きを完全に掴んでいる気になっているからだ。その二人を通じて得られるのはこちらが選別した上で知られても困らない情報か騙すための罠に過ぎないと言うのに。


 実に滑稽な話だ。


 こちらとしてはむしろ裏切ってくれた鳳には感謝したいくらいである。あいつのおかげで俺がランク1になってしまったことなどの勘九郎の情報が嘘ではないという証明も簡単にできたようだし。


 バカは自分が騙している側だと思っているからこそ本当は騙されている側だなんて思いもしない。


 だから今も鳳は副本部長に回復薬が錬成素材から作成できるという本当の情報と素材さえあれば誰でも作れるという偽の情報を流してしまっている。


 残念ながら素材があってレシピが頭の中になければ作れないので、この情報を鵜呑みにすると素材を無駄に消費するだけでしかない。


 騙している側だと思って騙されているとは欠片も思っていないあちらがそのことに気付けるのはいつになるのだろうか。


(帝命製薬も無駄な事業に金を使って会社が傾かないといいな)


 こちらが量産する前にその体制を整えられれば一攫千金も夢ではない、なんてことを考えたら痛い目を見ることになるだろう。


 まあそうなっても勝手にあちらが情報を盗み出してそれで誤解をした結果自滅するだけなので、俺には何ら関係のない話だが。


(そんなことよりも次はどのダンジョンに行こうかな)


 やはり今の内に日本でしか現れない魔物がいるダンジョンには行っておきたい。


 万が一、こちらの予想していない事態が巻き起こって今度こそ資格剥奪を強行されたとしても問題がないように。


 これだけの情報と探索者としての将来性を持っている今の俺を欲する諸外国は幾らでも存在しているのは確定的。日本で探索者として活動できなくなったらそちらを頼ればいいだけだ。


 実際にそうなった前例もあるのだし。


 日本のダンジョン協会の大失敗として一部では有名な話として知られている。


 日本唯一のA級探索者となったある男性がアメリカ国籍を取って日本を捨ててアメリカ人になってしまうという日本とすれば大損害の事件が。


 それもそうなってしまった原因を作ったのはダンジョン協会や政府側だというのだから救えない話である。


 だからこそ今の日本にはB級探索者しかいないのだ。


(しかもそいつは今でもアメリカで探索者として大活躍中ときた。逃した魚は大き過ぎたけど後悔先に立たずってか)


 俺が第二の魚になるかはこれからの協会や日本政府の対応次第だ。


 まあこちらとしては別に日本を捨てたい訳ではないので可能ならそうならないといいと思う。けど不利益を押し付けられてまで固執するつもりはないのも事実なので一体どうなるだろうか。


(もしそうなった時は俺もアメリカに行こうかな。前例があれば話を通しやすいかもしれないし)


 そんなことを考えながら椎平と今後の予定を合わせた後に出社する俺だった。

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― 新着の感想 ―
[一言] ゴブリンを使役できそうなアイデムだな、話した上に従わせる。 鳳に性転換ポーションを使う世界線はあります?
[良い点] 鳳ェ……命の恩人に……
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