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第八話 ゴブリンダンジョン攻略 その2 中ボス戦

本日も9時と17時に更新します。


日刊ローファンタジーランキングで7位まできました!

 このダンジョンの中ボスはホブゴブリン、ゴブリンの強化版みたいな奴で大抵はF級ダンジョンに出てくる魔物だ。


 初心者はたかがゴブリンの強化版と侮ることなかれ。チビでバランスの悪かった体型は改められて成人男性並みの大きさとそれなりの知性まで手に入れたホブゴブリンは、初心者相手には相当な難敵となり得る。


 少なくとも今の愛華が戦えばボコボコにされて大した抵抗も出来ずに殺されることだろう。通常のG級探索者にとっては一つの難関に値すると言っても過言ではない相手だ。


 普通のG級探索者ではしっかりとランクを上げて装備も整えてから挑むべき油断ならない相手だろう。


 その相手に対して俺はスタスタと無造作に近寄っていき、


「ギアアア!」


 吠えながら突っ込んでくるそいつの首に剣を奔らせると、俺の脇を通過していった胴体とそこについていたはずの首が分かたれた。


 この結果は当たり前だ。既に俺のステータスはG級ではあり得ない数値となっている。そんな相手に突っ込んでいけばカウンターの餌食になるのも当然の帰結だろう。


「随分とあっさり終わっちゃいましたね」

「まあこれでも元C級だしな。こんなの相手に苦戦するほど弱くはないさ」


 中ボスはボスと同じように魔石以外の死体が消えてしまう上にリポップするのは時間経過を待つしかないので、さっさとホブゴブリンの魔石をアルケミーボックスに収納して解体を選択する。こんなのは序の口なので先を急ぎたい。


 G級ダンジョンにしては経験値的にそれなりに美味しい相手だが、ここでのんびり再出現を待っているのは時間の無駄でしかないから。


 今日の俺の狙いはボス部屋なのでこんなところでチンタラしていられないのだ。


「ここから上の階層にはただのグリーンゴブリン以外の亜種が出てくる。遠距離から魔法を放ってくるゴブリンマジシャンとか近接打撃が得意なゴブリンファイターとかだな。愛華にもそいつらの相手をしてもらうからそのつもりでいてくれ。そんで今日中にボス部屋に辿り着くぞ」


 なお辿り着くのが最終目標ではない。


「私、まだランク1なんですけど大丈夫なんですか?」

「かなり苦戦するし怪我もするだろうけど本当に危ない時は俺がすぐに助けるさ。勿論愛華が怪我するのが嫌だっていうのなら強要はしない。ただ一人前になって稼げる探索者になりたいのなら、これは絶対に避けてはいけない場面だ」

「……分かりました。先輩が一対一でフォローしてくれる機会なんてそうないでしょうし頑張ります」

「いい覚悟だ。大丈夫、その苦労が報われるようにたっぷりと稼げるように鍛えてやるから」


 金の為だろうがこのやる気があるのはこちらとしては指導のしがいがあるというものだろう。少なくともやる気がないよりは百倍マシだ。


 その前にちょうど中ボスがリポップするまでは安全だから休憩を挟むか聞いたが、本人がまだ大丈夫だと言うのでこのまま休憩はなしで先に進む。


「それじゃあ後半戦を始めるとしますか」


 26階層へと続く階段を俺達は登っていった。

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