第一話 退院
起きて確認したら700pt超えてました。
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あれから一週間が経過して俺はようやく病院から退院する許可が出た。
「ったく、こんなに長く寝た切り生活を続けてたらあっという間に体が鈍っちまいそうだ」
「何言ってるのよ。退院してもまだあと三週間はダンジョンに潜るのは禁止だからね。回復薬を使えない状態なんて危険過ぎるもの」
「えーGとかE級ダンジョンなら問題なくないか? その辺りなら怪我する心配もないし」
「ダメに決まってるでしょ。ちなみに初心者講習の指導のためとかいうのも理由にならないわよ」
「知ってるよ。社長からも絶対安静を命じられたし」
まあこんなことを言ってるがあと三週間もあっという間に過ぎることだろう。なにせやらなければならない事は山のようにある。
むしろあと三週間でこれらの問題を片付けられるかどうかも怪しいくらいだし。
それにわざわざ退院の迎えにも来てくれた椎平にこれ以上の心配をさせるのも本意ではない。
ここは我慢して期日までは大人しくしておこう。
「それで全員集まれそうなのか?」
「ええ、緊急事態ってことで半ば強引に集めたわ。信頼できる協力者はなるべく多い方がいいもの」
「ならよかった。まああっちにも大きなメリットある話だし一方的に迷惑を掛ける訳じゃない。だからきっと大丈夫だろ」
「本音は?」
「人手と巻き添えは多い方がいい。俺の負担が軽くなる」
「最低ね」
「賛成したお前が言うな」
こいつだって同じようなことを考えていたから強引に招集をかけたのだ。同じ穴の狢という奴である。
「まあ望むと望まないに関わらず一連の事件のせいで俺とお前は一蓮托生の仲になったんだ。それなら変に争っても空気悪くなるだけだしこれからも仲良くしようぜ」
「まあそうね。別に私が望んだことではないし運命の悪戯でそうなってしまったんだから仕方ないわよね。ええ私としては不本意だけどそうするしかないのなら止む無しってところかしら本当に」
そんな減らず口を早口で叩きながらも機嫌は良さそうなのでまあ大丈夫だろう。大抵の場合は冷静なのに時たまこんな風に情緒不安定になって感情が読めなくなる。
まあ前からのことなのでそういう奴なのだろうと思って流している。下手に突いて前にぶち切れられた失敗を繰り返したくないし。
「ああ、例の後輩さんだけど監視をつけさせてもらってるから」
「まあ可哀そうだけど仕方ないな。巻き込まれただけだが色々と知っちまった以上は放置する訳にもいかんし」
「ええ。まあでもしっかりと口止めの指示を守って口裏を合わせたこと以外は誰にも言ってないみたいだから少しは信頼してよさそうよ。支部長や警察の聞き取りにもよく分からないでどうにか誤魔化していたし」
厳密に言えば俺達からの口止めなんて彼女からしたら聞く必要はない。それでもこちらを信頼してくれたのか、あるいは言ったら何をされるかと怖かったのか。
まあなんにしても指示に従ってくれたその誠意にはしっかりと応えなければいけないだろう。
「その分だとあっちの件の情報も十分に集まってるみたいだな」
「朱里と英悟が随分と頑張ってくれたみたいで大分深いところまで掴んでるわ」
「なら負けることはなさそうだな」
あの後も色々と大変だったのだ。まあそれについては全員が集まったところで改めて説明することになるだろう。
「それじゃあ行きましょうか」
「ああ、そうだな」
このままでは俺はダンジョンコアを無断で破壊した罪で探索者資格を剥奪されてしまうかもしれない。それだけは何としても避けなければ。
(ダンジョンで魔物相手に戦っている方が気楽とはね。俺も随分と探索者に染まっちまったようだな)
それぞれの事情や建前、そして欲望などが複雑に絡まり合ったこの現代社会は俺の想像以上に面倒で厄介極まりないものだった。
だがそこに所属している以上は完全な無関係になることも無理な訳で、大変だろうとこうして足掻くしかない。
(まあただ足掻くどころか逆にやり返してやるけどな)
ダンジョンだろうと地上だろうとただで負けるつもりはない。
勝つのは俺だ。
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