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[書籍第2巻、4月18日発売!]隻眼錬金剣士のやり直し奇譚-片目を奪われて廃業間際だと思われた奇人が全てを凌駕するまで-【第4回HJ小説大賞 年間最優秀賞受賞!!!】  作者: 黒頭白尾@書籍化作業中
第五章 崩壊の序曲と御使い降臨

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第五十三話 継承した黄金神のレシピとその仕組み

隻眼錬金剣士の第2巻が好評発売中です!

ボリュームもたっぷりな(てかギリギリまで詰め込んだ)内容となっています。

手に取って楽しんでくれたら嬉しいです!

 アマデウスから話しておきたいことがあると言われた俺は、またしても魂の回廊と呼ばれる例の場所へとやってきていた。


「お待ちしておりました、我が主」

「前置きは良い。それよりもわざわざこの場に呼び出した用件は何だ?」


 どうでも良い話なら頭の中に語り掛ければ良いはず。


 そうせずに外界を気にせず話せるこの場所に呼び出したということは、それだけの内容の話があるということに他ならなかった。


 だからこそ俺は両手を交差させて膝をつく、異世界特有の敬意の示し方をしてくるアマデウスにそれが必要ないと示すと、アマデウスはその仰々しい態度をあっさりと崩す。


「我が主は権威を示すよりも実利優先か。やはり私たちは気が合うようだね」


 そうやって進められるがまま現れた椅子に座ると、テーブルを挟んで俺とアマデウスは向かい合った。


「まずは無事に労働力の確保が完了したことを祝うとしよう。これで我が主とその仲間が回復薬製造以外のことに色々と手を伸ばせるようになってなによりだ」


 アマデウスの言う通り、回復薬製造を確保した労働力に任せられるようになれば、俺達の手が空くのは間違いなかった。


 そしてその空いた時間を利用して、これまで手が出せなかったことも可能となるだろう。


 それこそ今までは手が回らなかった虫除けのお香などについての研究を進めても良いし、愛華の両親に任せる例の喫茶店の話を本格的に始動させるとかもありだろう。


 回復薬製造から解放されてもやるべきこと、そしてやりたいことは山ほど存在しており、それどころかこれからもどんどん増えていくのだから。


「と言うか、かつてのお前の仲間や部下がこれから奴隷同然に酷使されるかもしれないってのに、その点は欠片も気にしないんだな」

「何を気にする必要があると言うんだ。むしろあの程度の力しかない未熟者共が我が主の役に立てるのだから過剰な栄誉を与えてやっているというものだし、むしろ感謝してほしいくらいだね」


 それに不満や文句を持つなど言語道断であり、そんな思い上がった愚か者は身の程を弁えさせてから始末するべきとまでアマデウスは言ってのけた。


(本当にこいつは俺を仕えるべき主として認めているんだな)


 それこそ同族とか同派閥だった奴らでも、今はまるで関係ないと言い切るくらいに。


「そもそも奴らにとっても、これは利益がある話だからね。君が回収した黄金神のレシピを量産できるようになることは、黄金真一派にとって大きな意味を持つのは間違いないのだから」


 錬金術という創造の力を用いて、異世界で高い地位を確保していた黄金神一派。


 その歴代の黄金神の果たすべき役割の一つに、新たなレシピを創造するというものがあったのだとアマデウスは語る。


「前にも言ったように我らの始祖である初代黄金神は、原初の時代の英雄から力を受け継いだ訳だが、その当時はレシピが豊富ではなかった」


 錬金術は無から有を作り出せる力ではあったが、それでも無差別に何でもかんでも好き勝手に創造できるというものではない。


「己の魔力だけで創造可能になるのはあくまで最終段階。始めは素材を集めて解析などを進めなければならないのだからね」

「原初の時代の英雄や初代黄金神がどれだけ優秀だったとしても、その時代で確保できる素材の限界もあっただろうからな」


 その当時の彼らは魔物の存在しない場所でしか生きていけなかったはず。


 となれば勢力圏は非常に狭かったことだろう。そんな活動できる範囲が狭い中では、確保できる素材も限られていたはずだ。


 今の俺で例えるなら、行けるダンジョンが限られているようなものだ。


 それこそかつてのゴブリンダンジョンだけしかまともに行ける場所がなかったのなら、集められる素材も非常に少なくならざるを得ないという感じで。


 そんな中でも死者蘇生の神薬などの今でも伝説級と称されるアイテムを作れたというのは本当に驚くべきことだろう。


 あるいは扱える素材が限られていたからこそ、その数少ないものを究極的に極めるような形になったのかもしれない。


「とは言え魔物という危機に対抗するためにも、そのままで良いはずもない。それを分かっていたからこそ歴代黄金神が創造できるアイテムを増やそうとしたのも自然の流れというものだろう?」


 だからこそ歴代の黄金神は新たなレシピを創造することが重要な使命となる。


 その使命そのものは黄金神だけでなく一派全体でも共通の課題だったが、生半可な力量では新たなアイテム、そしてレシピの創造などは困難だった。


 ましてや黄金神が認めるほどのレシピとなれば、一部の限られた天才が死力を振り絞ることでしか実現不可能だったくらいに。


「異世界でも新しい発明や発見するのは簡単じゃなかったってことか」

「確かにその点はこちらの世界に似ているかもしれないね」


 地球の歴史でも、一部の天才の閃きや開発がそれまでの技術や常識を塗り替えることがあった。


 それこそ大昔の人々は、飛行機なんてもので誰もが簡単に空を飛んで移動できる時代がやってくるなど想像すらしなかったように。


「つまり黄金神のレシピとは、歴代の黄金神とその一派が連綿と受け継いでいくに足ると判断した、替えの効かない宝に他ならない訳だ」


 それと同時にそれをどれだけ増やせるかが黄金神一派の今後を左右するとも考えられていたとのこと。


 それだけ大切だったからこそ、盗まれたかもしれないとなった時に激怒した者が現れたのだろう。


「力を失って疲弊した今の黄金神一派の連中では、仮に残された黄金神のレシピがあっても作り出せないものばかりだ」

「だけど錬金真眼を継承した俺なら、その限りではないと」


 それが黄金一派の利点。


 要するに奴らは俺を利用することで、自分達では再現不可能となってしまった、失われたそれらの品々を復活させるつもりなのである。


 そのことに文句を言うつもりはない。


 俺だって自分のために黄金神一派の連中を酷使するのだし、利用するのなら利用されるのも覚悟の上だから。


 それに逆に言えば、今回手に入った黄金真のレシピのアイテムはそれだけ強力で色々な使い道が可能なものということでもある。


 それらを上手く活用すれば、俺が更なる高みへと辿り着けるのが間違いないくらいの。


「そう考えると黄金神のレシピが大戦のせいで半分以上も失われてしまったのは痛いな」


 叶うならそれらも手に入れたかったものだ。思わずそう呟いた俺に対して、


「安心してくれ給え、我が主よ。実はつい最近になって、その方法が存在するという確証を得られたのでね」


 アマデウスは何てことのないようにそんな爆弾発言を投下してくる。


「確かに一派で保管されていた黄金神のレシピの多くは失われてしまった。それは変えようのない事実であり、それらを取り戻すことはどんな手段を用いても不可能。だけどただ一人だけ、その黄金神のレシピを別の方法で保管、正確には継承している人物が存在する」


 それが誰か、アマデウスが何か言う前に気が付いた。


 それだけ重要な宝を全て継承することが許されている人物。


 そんなのは一人しかいないというもの。


 そう、トルテインという名の信頼していた側近に殺された当代の黄金神だ。

今作の特設ページであったり、ラノベニュースオンラインでインタビューなどの関連する情報が公開されています。

中にはちょっとしたキャラの裏話などもありますので、興味のある方は是非見にきてください!


特設ページ

https://firecross.jp/feature/sekigan-renkinkenshi


インタビュー

https://ln-news.com/articles/122173

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