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[書籍第2巻、4月18日発売!]隻眼錬金剣士のやり直し奇譚-片目を奪われて廃業間際だと思われた奇人が全てを凌駕するまで-【第4回HJ小説大賞 年間最優秀賞受賞!!!】  作者: 黒頭白尾@書籍化作業中
第五章 崩壊の序曲と御使い降臨

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第五十二話 確保した回復薬製造係(またの名のを製造奴隷)

隻眼錬金剣士の第2巻が本日発売となっております!

書き下ろしもたっぷり、色々と練り直した部分もありますので、是非とも手に取っていたいただけるとありがたいです!


 派閥の長であるウスリスクと話したことで天空ダンジョンの後始末も完了した。


 これで一先ずは黄金神一派と和平を結べた形であり、しばらくはこのような形で襲撃されることもないだろう。


(ただしそれはあくまで黄金神一派だけ。他の派閥に関しては依然として警戒が必要と)


 ただウスリスクの話では、これからは黄金一派の方でも他の派閥へ警戒と牽制を行なうとのことで、余程の事情がなければ強硬手段を取る可能性はないという見解を得ていた。


 異世界の残党にはそれぞれの派閥が存在していて、各々が自身の目的を叶えるために動いている。


 だがそれでもどの派閥であっても絶対に守るべきとある協定が締結されているのだとか。


 それはどの派閥もこの世界で生きていく手段を模索することを最優先にして、異世界の残党同士での潰し合いは極力しない、というものだとか。


 どの派閥だろうと異世界の残党は疲弊しており、足の引っ張りをしている余裕が全くないのがその理由である。


 それにかつての大戦による滅びも、最終的には三つの陣営が血みどろの争いを止められなかったことが大きい。


 だからこそ異世界の残党たちは同じ過ちを繰り返さないために、協定を結んで派閥間の争いを可能な限り抑制しようとしているらしい。


 もっとも幾ら協定を結んでいても、全ての奴がそれを素直に守るとは限らない。


 中には周りにバレないよう隠れて陰謀を巡らせたり、勝手な判断で暴走したりする奴がいてもおかしくはないのだ。


 そう、それこそ今回の件でアソシアが怒りのまま裏切者と誤解した俺達に懲罰を与えようとしたように。


「それを考えると、労働力として確保したお前達が、また同じような真似をしでかさないか少しばかり心配になるけどな」

「その点に関してはご安心ください。少なくともこの場にいる面々は、私を含めて破った時点で即座に死亡する誓約を結んでおり、分かりやすく言えばあなた様の絶対服従の僕となっています。むしろこの状態ならどんな信頼できる相手よりも情報漏洩をする可能性は低いかと」


 主である俺を裏切る行為、たとえば誰かに何らかの情報を漏らそうとしたら、その瞬間に誓約による絶対に避けえぬ罰が発動。


 中に組み込まれた魂ごとホムンクルスが消滅するようになっているそうだ。それは誰かに強引に記憶を覗き見られるなどでも例外ではないとのこと。


「今回の一件に関わった者は即座に死罪となっておかしくないのです。それを思えば、こうしてどんな形であっても生かされているだけ恵まれているというものでしょう」

「……全くもってその通りです。あなた様の慈悲に感謝いたします」


 そうやってきっぱりと言い切るエルーシャの言葉に対して、その背後に付き従うアソシアを始めとした面々はうなだれた様子で肯定してきていた。


 今の俺がいる場所は関係者以外立ち入り禁止の社コーポレーションの研究室だ。


 そして見ての通り、この場にはエルーシャ以外にも何人かの御使いが招かれている。


 もっとも相変わらず御使い本体は外に出ることは難しいので、全て何らかのホムンクルスに魂を移した状態ではあるようだが。


 必要ないウスリスクの首を断った俺は、別の形で幾つかの賠償を求めたのだ。


 その一つが現状の内の会社で一番の問題となっている、回復薬を製造する人手不足を解消する手段である。


 その方法としてウスリスクから提案されたもの。


 それは今回の件で迷惑をかけた御使い連中を好きなだけ酷使しても良いというものだった。


 ホムンクルス状態なら稼働のためのエネルギーさえ賄えれば、飲み食いも睡眠も必要なく、ただ只管に回復薬を作り続けることも可能だそうなので。


「既に聞いていると思うが、お前達にはこれからウチの会社における回復薬製造奴隷……じゃなくて製造係になってもらう。ホムンクルスでも錬金釜とかの道具があれば問題ないそうだし、存分に活躍してくれ」


 専用の釜などをこれでもかと大量に用意してあるし、これからこいつらが本当に文字通りに休むことなく回復薬を作り続けてくれるのだ。


 増員が必要ならウスリスクが手配してくれるそうだし、これなら回復薬製造の関する人手不足の問題はかなり解消されることだろう。


「いやー最高の人材? を確保していただいた特別顧問には頭が上がりませんよ。いや、ホムンクルスは人ではないから設備とかの方が正しいかな? まあ便利なら何でもいいですね!」


 外崎さんがこれで面倒な作業は押し付けることでもっと研究ができると、割と人でなしな発言をしながら、これから酷使されることが決定している御使いのホムンクルス連中にテキパキと指示を出していく。


 俺からその指示に従うように言われているアソシアたちはそれに一切逆らうことなく、黙々と回復薬を製造し始めた。


 ちなみにただ酷使するだけではアソシアたちも働く意欲が湧かないだろうから、作った本数から一定の割合を好きに使って良いことにしてある。


 まだまだ完全に立ち直っていない黄金神一派では回復薬を必要としている人もいるそうだし、そういった同胞を助けることに繋がるのなら頑張ってくれるだろうという目論見もあって。


「それとこちらもお持ちいたしました。お納めください」

「ああ、助かる。て言っても別に見るだけで良いからすぐに返すけどな」


 そうしてエルーシャから手渡された紙の束に目を通す。


 そしてその紙を一枚見る毎に、俺の中に新たなレシピが刻まれていった。


(これで残されていた黄金神のレシピも手に入ったな)


 大戦の影響で失われたものも多いそうだが、それでも俺が持っていないレシピが幾つもあるのは非常に助かるというもの。


 勿論これもウスリスクから得た賠償の一つである。


 もっとも俺が多くのレシピを手に入れ、力を付けるのはウスリスク達にとっての望むところではあるだろうが。


(……色々と面白そうなアイテムのレシピが手に入ったし、しばらくはこれらを作れるように動きますかね)


 どうせ錬金真眼を強化するためにも、最高の神化の薬を作るためにも、レシピ収集や再現などは行わなければならないのだから。


「それでは私も回復薬製造に移らせていただきます」

「ああ、頼んだ」


 エルーシャが加わったことで更に加速度的に製造される大量の回復薬を見ながら、これなら俺が回復薬製造に関わらなくても問題はなくなりそうだと安堵する。


(ただこの研究室だと手狭な上にセキュリティに不安が残る。早いとこ建設中の研究所とやらに色々と移転した方が良いかもな)


 そんなことを考えながら俺は研究室を後にして、とある人物へと会いに行く。


 こちらを呼び出した相手、それはアマデウスである。

今作の特設ページが公開されています。

素敵なPVなどもありますので見に来ていただけると嬉しいです!

https://firecross.jp/feature/sekigan-renkinkenshi

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― 新着の感想 ―
中位や上位の回復薬も本格的に売り出したらデスマーチで済めばマシでまた更なるスパイや異世界の残党とその協力者が動いてやって来るのは確実で そういったのに備えて戦力増強や会社のセキュリティ強化は必須だな…
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