第四十二話 ホムンクルス(ゴーレム)と受肉
この度、第4回HJ小説大賞を受賞しました!
そう、つまりは夢だった書籍化です!!!
その記念に突発ですが更新します!
更にここで祝わなければいつやるんだってことで、明日から10日間は毎日12時に更新する予定です。
よければ感想などいただけると嬉しいでーす!
準備は調った。
「やるぞ」
場所は火炎地獄ダンジョンのボス部屋だ。
ダンジョンなら人目がないだろうし、ここまでくる探索者は滅多にいないという判断からそうなった。
なおこの部屋の前では輝久が待機して、万が一他の探索者が来た時には止めてくれる手はずになっている。
そしてこの場にはノーネームの八人と陽明と教授が揃っていた。
機密を確保した上で最高戦力を可能な限り揃えた形だ。
一応、アマデウスを受肉させる前に普通のホムンクルスを作ってはいる。
作り方に嘘はなかったし、作成者である俺に絶対服従なのも本当だった。それどころか俺がその気になれば、任意のタイミングで作ったホムンクルスを自由に破棄できるようである。
なお破棄されたホムンクルスは即座に自壊して欠片も残さず消滅してしまうみたいだ。
その情報に加えて、これだけ準備も調えたので問題は起こらないはず。
そう信じて俺は、言われていた通りにアマデウスの御霊石を原型ホムンクルスに錬金する。
するとアルケミーボックス内で錬金は完了して、これまでの錬金と同じように一瞬でホムンクルスが完成した。
ただし名称が、ゴーレムコアとホムンクルスのみの組み合わせの時は原型ホムンクルス(ゴーレム)だったのに対して、アマデウスの御霊石を加えたものは原型ホムンクルス(アマデウス)となっている。
このことから分かる通り、ホムンクルスは錬金アイテム扱いらしくアルケミーボックス内に収納しておけるようなのだ。
「よし、出すぞ」
完成した原型ホムンクルス(アマデウス)をアルケミーボックスから取り出す。すると目の前に奴が現れた。
「姿は変わらないんだな」
アマデウスの外見はこれまでと何ら変わらないように見えた。
ゴーレムコアを使って作り出したホムンクルスは人型の人形のようなもので、魔物のゴーレムと酷似した外見をしていたのだが。
もっともあっちの場合はその姿は品質や熟練度次第で、ある程度の変更が可能になるようである。
「ホムンクルスはあくまで器、要するに魂の入れ物だからね。ゴーレムコア程度のものならともかく、私の魂たる御霊石を入れた個体はどうやっても私という存在の外見を模るだろう」
もっとも原型では模倣できるのは外見くらいだろうとアマデウスが言う。
実際にステータス鑑定で今のアマデウスを確認したら、その能力値は全て25となっていた。
この数値は通常のホムンクルス(ゴーレム)と同じ数値である。
このステータスなら仮に暴れられても抑えるのは簡単なので一先ずは安心だ。
もっとも今のこいつの様子からその心配すらそもそも要らなかったみたいだが。
「さてと、それじゃあ色々と話してもらうぞ。聞きたいことは山ほどあるからな」
「構わないよ。私の方も話しておきたいこと、伝えなければならないことが山ほどあるからね。けれどその前にやるべきことがある」
そう告げたアマデウスは俺の前で仰々しく膝をつく。
そして胸の前で腕を交差して、右手を左肩に、左手を右肩にあたりに持っていった。
その姿はまるで、忠誠を誓う騎士のように見えた。
「改めて我が主に感謝を。そして私、アマデウスはここに誓おう。主の敵となる存在を、我が全身全霊を掛けて尽く排除すると」
「それは良いけど、勝手なことはするなよ?」
忠誠心が高いのは構わないが、それで暴走でもされてはこちらも困るのだ。
「おや、それは残念。だが主がそう命令するなら私は従うよ」
「なら命令する。俺以外にもちゃんと目を向けろ。意味は分かるな?」
その言葉が指し示す通り、こいつは受肉してから一度も俺以外の人間に目を向けていてすらいないのだ。
その存在などまるでこの場にいないかの如く。あるいは興味など欠片もないと示しているか。
この分だと俺以外の奴が話しかけても返事すらしない可能性もあったので、そうならなうように命じておく。
一々俺を経由して会話することになったら面倒だからな。
「……了解した。気は進まないが、主がそう言うのなら仕方あるまい」
気は進まなくても主と認めた俺の命令なら従うようだ。
そこでようやくアマデウスが俺以外にも注意を向ける。
「おや? 君の後輩はここには連れてきていないのかい?」
「愛華のことか? あいつはD級ダンジョンには入れないからな。今は会社で回復薬制作に精を出してることだろうよ」
それと言わなかったが、受肉したアマデウスが暴走した時などを考えたのである。
今の愛華の実力では足手まといにしかならないだろうし。
「君以外の錬金術を扱う者として話しておきたいことがあったんだが、まあ急ぎではないからまた今度でいいか。それよりももっと重要なことは幾らでもあるからね」
「重要なこと?」
「ああ、君達。もっと言えば探索者という存在には重要であろうダンジョンについてのことだよ」
その後に続けたアマデウスの言葉は想像以上の爆弾発言だった。
「このままいけば、この世界はダンジョンに呑み込まれて消滅することになる可能性がある」
崩壊の序曲、どうやらそれが俺達の気付かぬところで進行していたようだった。
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