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第四章 5人目のB級誕生と事業拡大編

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第十三話 アイスドレイク戦 その1

 アイスドレイクを始めとしたドレイク系の魔物はC級で最強と評されている。


 ステータスも全てが150近くとC級の魔物としては上限一杯まであるし、空を飛べるから対抗手段がなければ一方的にやられてしまうことからも明らかだった。


 それ故に場合によってはB級の弱い魔物よりも厄介とされている。

 それほどの強敵相手に俺も出し惜しみする気はない。


(まずはその翼を折る)


 今は運が良いのか、それともこちらを舐めているのか地面に降りてきてくれているから狙い目だった。


 また奴が上空に飛び上がる前にその手段を断つ。


 初手で爆裂剣でも障壁が破れることは分かっているのでやりようはある。


 俺は接近しながらまた爆裂剣を投擲する。

 するとまたしてもアイスドレイクは翼を展開して守りを固めた。


 ただしその翼の前に氷で作られた盾が新たに出現している。


 どうやら先ほどの攻防で爆裂剣の威力を見極められたようだ。

 障壁も張りなおしているみたいなので、これでは普通の爆裂剣ではダメージが通らないに違いない。


 だが生憎とそれは普通ではない。


(行動がぬるい。やっぱりこっちを舐めてるな)


 その代償は先ほどとは比較にならない爆発によって支払われることとなった。


 展開していた氷の盾も障壁も貫いて、過剰駆動(オーバーロード)によって強化された爆発が翼に対して先ほどとは比べ物にならないダメージと損傷を与えている。


「グオオオオン!?」


 それでも翼そのものを折るほどではない。だがそんなことは百も承知だ。


 だから既に次の投擲は行なっている。しかも今度は一本ではなく五本同時に。


 その脅威をすぐさま察知したアイスドレイクだったが、その巨体が災いして回避し切れない。


 この状況になれば舐めてもいられないのか、若干慌てた様子で口から氷のブレスを吐いて爆裂剣が体に着弾する前に撃ち落としにかかる。


 爆裂剣に対してその対応は正しい。


 いくら強力でも衝撃を受けたら爆発するという特性上、到達する前に撃ち落とされてはその効果を十全に発揮することはできないからだ。


 だからこの場で投じた五本の爆裂剣は残念ながら有効打にならずに空中で爆発するだけとなる。


「だけどそっちに集中し過ぎだな」


 そちらに気を取られている間に俺は奴の懐へと接近を果たしていた。


 そもそも守る際に視界を遮るようなやり方を取る時点で間違っているのだ。

 こちらの攻撃を完璧に防いでみせようとしたのか知らないが、そう思う時点で敵を舐めている。


 たかが人間と侮ったその驕りがどういう結果を生むのか、存分に思い知ればいい。


 ブレスを吐いていたせいで無防備になっていたその顔に向かって横から俺は斬りかかる。


 そしてその右目に対して容赦なく過剰駆動(オーバーロード)を使った爆裂剣を振り下ろした。


 この至近距離でこの爆発を受ければ障壁が有ろうと関係ない。

 強烈な爆発がその右目どころかその周辺を抉り、発生した高温がその肉を焼いていく。


「ギャオオオン!」


 身代わりの外套で爆発そのもののダメージは受けなかった俺だったが、爆発によって発生した衝撃波までは無効化できない。吹き飛ばされる形で俺は宙を浮く。


「ほら、お土産だ」


 それでもそこで追撃を放つ。宙に浮きながらも取り出した爆裂剣十本を暴れ回るアイスドレイクに向かって投擲したのだ。


 だがその行動の結果を確認する前に次の作戦に移る。


 俺はアルケミーボックスからマジックコンテナを取り出すと、宙に浮いた状態のまま使用した。


 マジックコンテナは使用してから一月はその場から動かすことができなくなり、その場で固定される。


 それに地面に設置していなければならないなんて条件はない。


 だから空中で使用した場合、なんと何の支えがなくてもその場で浮いた状態で固定されるのだ。


 だからこうして使い方によっては足場として活用できるのである。


 そうして作り出した足場に着地した俺は、先ほど投じた爆裂剣を躱し切れずにその身に受けているアイスドレイクのある一点に向かって一気に跳躍する。


 狙いは勿論、奴の翼だ。その付け根の辺りに着地した俺は、ありったけの爆裂剣を取り出す。その後にすることなど分かり切っているだろう。


 容赦なく翼の付け根で発生した爆発は強靭なアイスドレイクの肉体だとしても耐え切れるものではなかった。


 吹き飛ばされた俺が地面に衝突している近くに、千切れ跳んだ翼が落下してきていたことからもそれは明らかだ。


(これで空は飛べなくなったな)


 念のため千切れた翼はアルケミーボックスに回収しておく。


 ミノタウロスみたいにくっつけられたら面倒だし。


「さてと、問題はここからだな」


 片翼を奪われて、しかもここまでこちらの思い通りにやられたのだ。

 いい加減にこちらを舐めるのも終わりだろう。


 現に態勢を立て直してこちらを見るアイスドレイクの眼には怒りの色は窺えても、先ほどまであった侮りは消えているように思える。


 しかもこちらを睨みながら尻尾の一振りで宙に浮いていたマジックコンテナを破壊してみせるおまけつき。


 破壊不可能ではないから一定のダメージを与えれば、ああして壊すのは割と簡単なのだ。


 しかもその後に咆哮と同時に吹雪が強まったと思ったら、身に着けていた身代わりの外套が急に破壊される。


(吹雪に細かい雹みたいなのが紛れ込んでるな。あれでダメージを負わされたのか)


 身代わりの外套はたとえ1でもダメージを受ければ、その身代わりの効果を発揮してしまう。

 それを見抜いて継続ダメージが発生するフィールドを作り出したらしい。


 俺が持っている火炎蜥蜴の鱗はD級の魔物の素材なので、いくら錬金アイテム化して強化しても完全にこの吹雪を無効化はできないようだ。


(この猛吹雪の中でも動きが鈍らないだけ儲けものだと思っておこう)


 それにこの雹ではステータスによって強化された肉体そのものは傷つけられてない。

 だからあくまで身代わり効果を発揮できなくなっただけで済んだ形だ。


 と思ったら、吹雪の中で幾つかの雹が音もなく巨大化して巨大な氷柱となっていく。


(強い魔物のくせにこういう手も使えるんだよな)


 その強靭な肉体や人間とは比べ物にならない力に溺れてくれればいいものを。

 本気なったらこんな風な、ある種のせこい手段まで取ってくるのが強い魔物の厄介なところだ。


 本来なら吹雪で見えない上に音もなく飛んでくる氷柱によって気付かぬ内に貫かれることになるだろう。


 だが生憎と見えている俺からすれば背後からだろうと意味はない。


 だから音もなく迫るそれらの氷柱を躱しながらアイスドレイクへと向かっていくが、相手はそれに驚いた様子は見せなかった。


 それどころかそれを待っていたかのように大きく息を吸い込んでいる。


(広範囲のブレス攻撃か、不味いな)


 どうやらここからがこの戦いの本番のようだ。

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[一言] 1個1億の足場(使い捨て)
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