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現代にダンジョンができたら潜りますか?〜私は今の仕事にしています〜  作者: 黄緑のしゃもじ
第7章「先に進むために」

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62話-2「新しいパーティ」



「シャロシャロはごめんねー」


「……いいですよ。アンズさんってわからないことだらけなので、こういう事もあるかと思ってましたから」


 そしてシャロンさんが席を立った。


「では、早速ですけど手続きしますね。担当変更は私達だけで大丈夫ですので。行くよシルク!」


「はーい」


 シャロンさんの言葉にシルクさんが嬉しそうに返事をする。シルクさんがシャロンさんに対して笑顔なのは初めて見たな。

 そしてシルクさんとシャロンさんが部屋から出て行った。

 すると杏子さんが手を叩いた。


「じゃあ、早速だけどこれからの方針を決めよっか。ついでにこの部屋でしていこー」


「わかりました」


「あ、それと二人とも敬語じゃなくていいよ。わたし敬語使われる立場じゃないからねー」


「えっ、いやいや。杏子さんは私の師匠ですよ。師匠に敬語じゃないって……」


「もう同じパーティだからね。敬語じゃない方がわたしがいいの。いいでしょ?」


 杏子さんが河合さんに上目遣いでそう言った。すると河合さんは「負けました」と言いながらうなずいた。


「わかった。じゃあ、敬語はなしでね。杏子さんよろしくね!」


「よろしく、まゆまゆ!」


 うん。女性同士の友情だな。


「じゃあ、しゅんしゅんも敬語は無しでいい?」


「できる限り善処します。敬語が癖づいてる感じなんで。頑張ってみるよ」


「あははっ。なんか変だけど、それでいいよ」


 杏子さんが笑った。


「さっそくだけど今二人の到達階層は51階層でよかったよね?」


「うん。52階層で『暴虐の鬼王』にやられたから」


「そうだったねー。じゃあ、まずは52階層の攻略からだね。わたしの到達階層が59階層。本当は60階層も攻略できる実力だけど、『暴虐の鬼王』を倒す為にずっと攻略してなかったからね。まずは二人ともわたしの所まで駆け上がってほしいんだけど、いいかな?」


「うん!」


「はい。いきます」


 杏子さんに返事をする。


「今日はもう時間も無いから……まゆまゆは土日しかダメなんだよね?」


「ごめんね。まだ会社を辞める予定はないから、今まで通り土日だけでお願いできるかな?」


「いいよいいよ。わたしも別に平日に毎日来れるわけじゃないから。でもしゅんしゅんがどうかな?」


 と杏子さんが僕を見た。


「いいですよ。僕が嫌がってたのは先に進む気がない気持ちなわけで、二人とも先に進む気あるでしょ? だったら土日だけでも十分に大丈夫」


「だったらよさそうだね。でも平日はどうするの?」


「平日は休むか、到達階層までで稼ごうと思う。仕事はダンジョンだけになるから、バリバリ働かないとだからね」


「そっか。仕事だもんね」


 河合さんが頷く。そう、僕の今の仕事はダンジョンなのだ。


「じゃあ、これからは休日にダンジョン攻略。主にまゆまゆのスピードに合わせる感じだね。しゅんしゅんとわたしは平日は合う時に一緒に潜ろっか」


「そうですね。でも合う時って、杏子さん毎日ダンジョンに来てるわけじゃないんですね?」


「そうだよー。さっきも言ったけど、流石に毎日は来れないからね。休日は来るけどね」


「一応予定は大体決まってるんだよね?」


「うん。水曜日以外は来る予定だけど、難しい時はメッセージ送るから。それでいい?」


「大丈夫です。じゃあ、今日の終わりにでも連絡先交換しましょう」


「そうだねー」


「あれ、二人ともまだ交換してなかったんだ」


「うん。1日一緒に行動してなかったから、必要な時は河合さん経由で十分だったし」


「なるほどね」


 杏子さんには魔法のアドバイスをお願いした事はあったけど、その時は河合さんも一緒に聞いてたし。

 あ、そう言えば来週の平日はまったく来れなかったな。


「じゃあ、その予定は再来週からでお願いします。来週の平日は会社に行って最後の事をしないといけないので」


「あっ、そうだったね。奥山君の最後の出勤だったね」


 今の仕事はダンジョンと言っても、まだ会社は辞めていない。来週の金曜日で会社は終わりだが、予定としては本部長賞受賞式で東京に行くことと、1ヵ月も会社に行ってなかったので最後の整理のために月、火、金は出社予定だ。これで本当の最後になる。


「そうなんだ。わかった。平日の行動は再来週からだね」


「ありがとうございます」


 僕はお礼を言う。すると杏子さんがツッコミを入れた。


「って、しゅんしゅんまだまだ敬語だねー」


「そう……だね。ずっと敬語だったからため口に直すの中々難しいな」


「まあね。営業マンってそんなもんだしね」


「そうそう」


「まあいっか。おいおい敬語はなしにしてくれたらいいよ」


 杏子さんは「ふふっ」と笑っていた。


「じゃあ、明日はどうする? 52階層攻略するって言っても53階層まで攻略しないといけないから1日では無理だよね?」


「そだね。別の階層でモンスター狩りしてもいいけど」


「じゃあ、僕の51階層攻略に来てくださいよ。河合さんは最終階層が51階層だけど、僕は1階層から攻略しなおしたから今は50階層なんだよな。数時間はかかるから新しいパーティとしてどう連携するか話しながらいい感じにならないかな?」


「そっか、しゅんしゅんは今50階層か。じゃあ、明日はそうしよっか。まゆまゆもそれでいい?」


「うん。それでいいよ」


「じゃあ、決定で。一応時間は朝からでいいよね?」


「私達はいつも9時ぐらいから始めてるからそれぐらいにする?」


「僕はそれでいいけど」


「じゃあ、9時からで。ギルド集合でいいかな?」


「いいよー」


 明日の予定が決まっていく。

 でも何と言うかこの感じ、兼次さんパーティとは違ってゆるーい感じだな。それでも先に進む気力はこっちの方があるという。少数で気が知れてるからこそできる空気ってやつか。


「じゃあ、今日はこれぐらいにしよっか」


 そして杏子さんが席を立った。それに続き僕達も席を立ち、部屋から出て行く。

 杏子さんと河合さんが話ながら歩いているのを見ると、河合さんが兼次さんパーティよりも生き生きしているのがわかる。それだけでもあのパーティを抜けたのは良かったのかもしれない。


「ねえ、今からご飯行かない? まだ昼過ぎだし大丈夫だよね?」


「いいねー! わたし良いお店知ってるよ。お酒は飲めないけど、ご飯もお酒も美味しんだって」


「じゃあそこに行こう! って杏子さんお酒飲めないんだ。見た目通りだね」


「あははっ。よく言われる」


「でも、昼間からお酒ってなんか背徳感があっていいよね。ね、奥山君」


「だね。昼から飲むってのはしたことないけどな」


「じゃあ、大人達2人でお酒を飲んでね。わたしはジュースでも飲んでるから」


「大人って、杏子さんも大人でしょ?」


「お酒が飲める人が大人だよ。わたしはお酒が飲めないから大人じゃないよー」


「なにその基準」


 杏子さんの意味不明な理論に河合さんが笑う。

 それにしても杏子さんを含めたこのメンバーでご飯に行くのは初めてだから、いい感じのコミュニケーションが取れたらいいな。


 そして、ギルドから出ようとカウンターの前を話しながら通ると、「シュンさーん」と少し項垂れた声が聞こえた。


「マユさんもー。何楽しそうな話してるんですかー」


「シルクちゃんお疲れー。さっきぶりだけど手続きできたの?」


「できましたけど、他にしないといけないことがあるので……って、何の話をしてたんですか?」


「え? 今からご飯に行こうかなーって話だよ」


「えー、いいなー。私も行きたいのに。シャロンが休ませてくれないんですよー」


「シルク、何か文句言った?」


 シルクさんが愚痴を言おうとしたらいつの間にか隣に来ていたシャロンさんがシルクさんを睨む。


「シャロンは私にアンズさんを取られたんでご機嫌斜めなんですよ。いつもとは逆です逆」


 シルクさんが嬉しそうに笑っている。


「別に取られたとは思ってないけど? アンズさんがやっとパーティ組めた方が私にとっては良い事だから」


「えっ、シャロシャロそんなこと思ってくれてたんだ」


 シャロンさんの言葉に杏子さんがわざとらしく嬉しそうに言う。


「そうですよ。なので、いつでも担当変更はできるので、気軽に声をかけてくださいね」


「ちょっとシャロンっ! それはないよ、それはっ!」


「あんたがしっかりサポートできなかったら私が掻っ攫ってくからね。この3人はギルドマスターも目にかけてるんだから」


「わかってるよ! 私も全力でサポートするから」


 そう二人で盛り上がっているので、すでに興味を失っていた杏子さんが歩きだした。


「しゅんしゅん、まゆまゆいこー」


「あ、うん」


「シルクさん、シャロンさんすみません僕達行きますね。お疲れ様でした」


「お疲れ様です。楽しんで来てくださいねー」


「お疲れ様でした」


 そして僕達はギルドから出て行った。







 翌日、約束通り9時にギルドに集合する。


「じゃあ、行こっか」


 もちろん先頭は僕で51階層に向かうためゲートまで歩いて行く。後ろでは昨日の事を楽しそうに話す2人がいた。

 ゲートを通り、少し懐かしい洞窟のエリアに到着する。


「さて、今日の連携はどうするかだけど、何かある?」


「そうですね。通常なら剣を使う僕が前衛で、魔導士の二人は後ろから牽制とダメージソースを担ってくれたらいいと思うけど。いわゆる回避タンク的な動きを僕がしたらいいかなって」


「私もそんな感じかな? 逆に杏子さんは何かあるの?」


「そだねー。わたしはみんな自由にすればいいかなって思うんだよね」


「自由に?」


 河合さんが疑問符を浮かべる。


「そっ。自由に。だって、誰かが役割をしてどう動くかを決めれるほど、まだ連携が取れるとは思わないんだよね。しゅんしゅんも器用な方でしょ? まゆまゆも十分周りを見れるだろうし、わたしもサポートは全然できる。それにしゅんしゅんもモンスター倒したいでしょ? 誰かがダメージソースを担うんじゃなくて、みんながサポートし合う感じがわたし達には合ってるんじゃないかなーって」


「……逆にそれってかなり難しいんじゃ?」


「うん。難しいと思う。でもそれぐらいできないと先には進めないって思った方がいい。誰が欠けてもすぐに動けるようにする。それがこれから先に進むために必要な事だと思うから」


「なるほど、それは一理ありですね。わかったそうしよう」


「私もそれで。常にみんなを意識しながら動く。イメージは全員が司令塔。そしてアタッカーでサポーター。最終はそれぞれが同じイメージを持てるようにする。って感じかな?」


「そうそう。さすがまゆまゆ。わたしが言いたいことはそれだよ」


「みんなが同じイメージを持つって、それができたら最強だな」


「だね」


 これで3人の意見が統一された。


「じゃあ、さっさと51階層を攻略しよう。一番の難関は出口付近だけど、それまで相手も連携して来るからいい訓練になるね」


 そして僕達は51階層を進み始めた。






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