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現代にダンジョンができたら潜りますか?〜私は今の仕事にしています〜  作者: 黄緑のしゃもじ
第6章「自分が強くなったという自負」

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52話-4「パーティの全メンバー」



 残り10分の休憩で僕は周りのメンバーの様子を見ていた。


 この中で最も索敵を得意とする『弓』を使う小百合さんがスキル『感知』を使用しながら少し離れて周りを見渡している事を覗いては、それぞれが休憩兼ミーティングをしている。

 兼次さんと大樹さんが話し、辻本夫妻が剣の確認をする。そして桐島君が河合さんに声をかけていた。


 45階層の時点で桐島君の興味が河合さんに向いている事はわかっていたけど、あからさますぎるな。

 まあ、河合さんはかわいいし、社内でも人気があるし、声をかけたくなる気もわかる。


 何を話しているのか気になるので、少し聞き耳を立ててみる。まあ、すぐ隣で話しているから聞きたくなくても聞こえるんだけど。


「河合さんはどうしてダンジョンに潜ったんですか?」


「私? そうだね、普通にダンジョンってファンタジーな物が突如現れたから興味を持っただけなんだよね。ここに居て隠すことないから言うけど、元々そういうの好きだったから」


「そうねんですね! 俺もです! 漫画とかアニメが好きだったら一度は行きたいって思いますよね!」


「そうそう。じゃあ、桐島君も同じ理由でダンジョンに来たの?」


「一応そうですね。色々あって、今はこのパーティに加入させてもらえましたけど。河合さんが居て俺むっちゃ良かったって思ってます!」


「そうなんだー」


 あからさまだなー。河合さんはしっかり受け流してるけど。 


「あ、一つ聞いていい?」


「はい! なんでも聞いてください!」


「もし答えるのが嫌ならいいけど、桐島君はどうしてこのパーティに入ったの?」


「えっ。あー、そうですね……。俺の前のパーティって全員同級生で組んでたんですけど、40階層を前に俺以外全滅したんです。それで、みんなはダンジョンに戻って来れないですし。俺一人残ったわけで。……実は後先考えずに大学を中退して、ダンジョンで一攫千金狙ってたんですよ。だから、俺一人でも辞めるに辞めれなくて、悩んでた時に彰さんに拾ってもらったんです」


 ダンジョンに夢を描くってのはわかる。俺も似たようなもんだし。でも、大学は辞めなくてもよかったんじゃないかな。大学って自由だし。


「そうなんだ。みんなダンジョンでって、残念だね」


「まあ、それもダンジョンでは仕方ない事なんで。半年以上していたらいなくなる人は多いって聞くんで、大丈夫です」


「そうだね。私も半年だけど、死ななくても辞める人も出て来るもんね。ちなみに私はこのパーティに入ったのは36階層からだよ」


「ほんとですか! 俺も彰さんに声をかけて貰ったのが39階層なんです! 似てますね!」


「だね。似てるね」


 少しずつ話が盛り上がってきた。

 そんなところで兼次さんが手を叩いた。


「じゃあ、もうそろそろ時間や。お前ら出発するぞ」


「はい」


 全員が立ち上がる。


 兼次さん、彰さん、美優さん、桐島君が準備した武器を持ち前に立つ。


「河合さん、見ててくださいね」


「うん。頑張ってね」


 そして攻略が再開する。

 少し進むと桐島君の感知にモンスターが引っかかったようで。


「兼次さん前から数体来ます!」


 桐島君の感知は小百合さんのスキル『感知』と違って魔法の『サークナ』を広げて捜索する。

 ちなみに『サークナ』で感知するコツは、モンスターの種類など関係なしにモンスターがいるかどうかだけを感知する魔力を薄く広げる事だ。そうしないと魔力はあっという間に枯渇する。

 これもそう考えると魔力の操作・魔法の操作に入るのだろう。


「わかった。よし、お前ら行くで!」


 そして、兼次さん達の戦闘が始まった。


 向かってくるモンスターはホブゴブリン2体とハイコボルト1体。そして木と木の間を飛ぶようにブラッドニュクスが5体。


 それを兼次さんが『挑発』で全てのモンスターのヘイトを受ける。

 そして兼次さんの声と同時に詠唱していた桐島君の支援魔法が3人に振り注ぐ。


「『ファーストアップ』!」


 その魔法は小百合さんと同じ魔法だ。しかし連続して兼次さんだけに別の魔法も加わる。


「『ハイガード』!」


 名前からするに防御力を上げる支援魔法だろう。少し兼次さんの動きが変わる。

 全てのモンスターが兼次さんに攻撃しようと動きを見せた時、左右から彰さんと美優さんが攻め始めた。


「リア・スラッシュ!」


 彰さんが大きい大剣を横薙ぎに振り切る。それはハイコボルトとホブゴブリンに命中し、二体同時に光の粒へと変えた。


 その逆では、美優さんが短剣を構えながらもう一体のホブゴブリンに接近していた。


「ショートスタッブ!」


 その攻撃はホブゴブリンの心臓を一撃で貫き、光の粒に変えた。


 ワンアクションで3体が消滅する。残るは飛んでいるブラッドニュクス5体。しかしそいつらも兼次さんを攻撃しようと低空飛行で迫っていた。

 そうなれば後は辻本夫妻が一気に倒しにかかる。


 スラッシュとショートスタッブで一気に4体が消滅した。


 残るは1体。しかしその1体が逃げるように上空に飛び上がる。


「美優!」


「うん! 加速!」


 彰さんの声に答える様に美優さんが『加速』した。その先は木。

 ここのエリアは森ではなくり木の数は減っているが、所々に木は生えている。

 その一本の木に向かって地面を蹴り飛び上る。

 そして、美優さんがその木を蹴り再度飛び上り、また別の木を蹴り再度飛び上る。リズムよく「タン、タン、タンッ!」と2本の木を使って飛び上った美優さんは最後にブラッドニュクスに向かって飛んだ。


「逃がさないよ! スラッシュ!」


 短剣で斬りつける。そして空中で一回転して、もう一度短剣を振り上げた。


「ショートスタッブ!」


 ブラッドニュクスの急所に短剣での一撃が命中する。そして、そのままの勢いでブラッドニュクスを地面に落とした。

 そのダメージでブラッドニュクスは光の粒となって消える。


 美優さんはといえば、「スタッ!」と言う音がしそうなぐらい華麗に着地した。


「よし! 完璧!」


「ナイス、美優!」


 立ち上がった美優さんは近づいて来ていた彰さんとハイタッチをする。


 素晴らしい連携だった。


「凄い、息ぴったしだね」


「凄いな。それに、大剣に短剣。剣の種類であれだけ特性が違うのか。どっちもかっこいいな」


「その前の兼次さんが8体全部に『挑発』をかけて逃がさなかったのも凄いぞ。完璧だな」


「佑くんの補助魔法も中々よ。それに空中のモンスター相手に美優ちゃんがあの動きをして倒したのは驚きね」


「大体飛んでるのは小百合が倒すからな」


「私がいない時はあんな感じで対応してたのね」


 するとドロップアイテムを拾ってきた兼次さん達が戻って来た。


「どやった? 俺らも中々やろ?」


「はい。凄かったです!」


「まあ、俺らもお前らには負けてないからな。あれでも序の口だからな」


「そうだよ。私達まだまだ本気出してないもん。でも小百ちゃん。あれは驚いたでしょ?」


「ええ、驚いたわ。練習してたの?」


「してたよー」


「河合さん! 俺の支援魔法どうでしたか?」


「うん。良かったよ。私支援魔法は使った事ないしまた教えて」


「はい! どの魔導書か教えますね!」


 はっきり言うと僕のイメージとしての連携がこれだ。支援魔法でバフをかけて、モンスターの攻撃から盾で守り、その隙を攻撃する。僕達も最初はそうしようとしていたけど、魔法がかなり有効だとわかれば魔法に頼りっきりになる。その方が効率がいいけど、魔力がなくなり魔法が使えなくなった場合どう動くかも織り込んでシミュレーションしたほうがいいかもしれない。

 でも、元々大樹さんも小百合さんもみんなと同じパーティだったから魔法がない場合の連携も得意としているだろう。そう思うと心配ないだろうけど、一応後で話しておこう。


「じゃあ、このまま進むで! 残り半分は俺らが戦闘するから、俊達は47階層からの戦闘に向けてしっかり見ときな」


「了解です!」


 そして、46階層の攻略が進む。


 出てくるモンスターは変わらずここまでと同じモンスターだ。飛んでいる『ブラッドニュクス』は、はっきりいって何度もこの階層を攻略している兼次さん達からしたら危なげなく倒せる。

 つまり安定した攻略だ。




 そして、そのまま46階層は難なく攻略を終えた。44階層までと違って出口付近にボスみたいなのが居たわけでもなく、特に危ないモンスターと出会うことなく進むことができた。


 僕達は46階層の出口に入り、一息入れる。


「お疲れさん。ここで先にミーティングしよか。ギルドに戻ったら換金して解散にしよって思ってるけど」 


「それでいいですよ。そこまで疲れてないし」


「そうだな。俺も大丈夫です」


 辻本夫妻がそう言い、他のメンバーも頷く。


 そして円を描く様に座る。


「じゃあ、まずは戦闘結果からやな。俺からやけど、はっきり言って大樹達のパーティは何も言うことなかった。大樹と小百合は元々一緒やったからってのもあるけど、真由と俊もこのまま俺らと合流しても即連携とれると思ったわ。と言うか、魔法が入るだけでかなり戦闘が楽になるやろな」


 兼次さんの言葉に、僕と河合さんがお礼を言う。


「まあ、魔法をどう使うかは事前に話し合ったら大丈夫やろうし、そこは平日に大樹と小百合と相談して、来週の土曜日の初めに打ち合わせやな」


「「わかりました」」


「よし。じゃあ、こっちのメンバーに対しては何かあるか?」


 その言葉に大樹さんが一番に反応する。


「特にないな。佑が小百合よりも安定して支援魔法をかけれるからその分やりやすそうだな、ぐらいかな。彰と美優は今まで通りで良いし」


「そうね。私も弓使ってたら支援魔法は遅れるしね。あとは、強いて言えば佑くんの回復魔法が見れなかったのが残念ね」


「そうですね。俺まだ回復魔法使ってませんね」


「まあ、あれぐらいならもう怪我しなくなったからな。ちなみに誰か擦り傷ぐらいしてないか?」


「あっ、私してるよ」


 手を上げたのは美優さんだ。右手の手の甲を見せる。本当に擦り傷だ。元々出ていなかったのだろうか、すでに血も止まっているし、ただ少し赤くなっているだけだ。


「木でちょっと切った擦り傷だから放っておいたけど、あれなら直してみる?」


「そうだな。佑、頼めるか?」


「はい。大丈夫です」


 そして、桐島君が杖を構える。


「『ヒール』」


 黄緑色の光が美優さんの右手を覆う。

 そしてその光はすぐに擦り傷を回復させた。


「おおっ」


 その光景に声が漏れる。

 そう言えば僕も『虐殺のオーガ』を倒した後、ギルドの上でシルクさん達に直してもらったな。それ以来ポーションで事足りていたから、回復魔法は見ていなかったけど、久しぶりに見るときれいだな。


「はい。これで大丈夫です」


「ありがと。佑くん」


 美優さんがお礼を言った後、河合さんが桐島君に質問をした。


「ちなみに桐島君はどれぐらいの傷なら治せるの?」


「そうですね。俺が治せるのは切り裂かれた傷までですね。千切れた腕とかはまだくっつけられないですけど、肉が切られて骨が見えているぐらいなら治せます。ちなみに内臓が出てしまうぐらいの傷は治しきれないです」


 過去に経験があった様な答えだな。


「あと回復役が何言ってんだって思うかもしれないんですけど、回復魔法って通常の攻撃魔法に比べて魔力を多く消費するんですよ。ただの切り傷ぐらいならすぐに回復させろって思うかもですけど、もしもの時の大きい怪我の為に魔力を残しておきたいので、自分で対応できる程度ならポーションでお願いしたいです」


「そうなんだね。わかった。そうするね」


 河合さんの合意に僕も頷く。


 回復魔法の欠点はそこか。魔力が多く必要だからもしもの為に残しておくことは大切だ。


「じゃあ、支援魔法もあまりしない方がいいんじゃ? 魔力温存のために」


「あー、そうかもしれませんけど、支援魔法は思ってるより魔力使わないんです。攻撃魔法の半分ぐらいの魔力量なんで、ポーション飲めば回復する程度です。それに支援魔法は使わないと俺のパーティでの働きがなくなりますから」


「そうなんだ。わかった、ありがとう」


「まあ、通常の階層ならそれで行くんやけど、ボス戦では仲間のダメージを見てポーションがんがん飲んで佑に回復させる予定やけどな」


 ボス戦はその方がいいだろう。回復はパーティの要になるし、50階層に関しては金を惜しまない方がいい。


「真由と俊は何かあるか?」


「私も特には。回復魔法も見れましたし、連携に関しては実際に組んでみて試していきましょう」


「そうやな。じゃあ、俊は?」


「僕もないですね。いい連携でした。だから、いっぱい教えてほしい戦い方はありましたね。僕が使っていない武器なんで興味があります」


「そうやな。じゃあ、今日はまだ時間も早いし後で訓練してもええな」


 それもありだな。教えて貰えるなら根掘り葉掘り聞こう。


「他になんかあるか?」


「ないです」


 兼次さんの言葉にみんな首を横に振る。


「じゃ、これでミーティングは終わりやな」


 そして兼次さんが手を叩く。


「よし、お前ら最後に! 来週もこの調子で一気に攻略しよか!」


「「はい!」」


 そして、初めての兼次さんパーティ全員でのダンジョン攻略が終了した。






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