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Time Trip to Another World 〜暁〜  作者: 蒼穹の使者
第三章 結〜蝦夷編〜
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第八十九話 玄武帝にお仕えします

五稜郭、何故か分からねえが近寄れねえ

ここは旧幕府軍が落とした場所だ、なのに何なんだこの空気は

冬で毎日曇ったように薄暗いが、ここだけは妙にそう感じる


「あの五方の中心にある城みたいなやつ、妙だな」


「ほう、さすが玄武が守護神なだけあるな」


「誰だ!」


原田が振り返ると、そこには見覚えのある二人と懐かしい姿があった


「お前ら、いつ上陸したんだ。気配消しやがって、俺の後ろに立つんじゃねえよ」

「お久しぶりです。原田さん」


「ああ、元気そうで安心したぜ」


神田、乾、百合の三人だ

実は彼らは原田たちより前に函館に上陸していた

旧幕府軍が落とした松前城やこの五稜郭での戦争を見ていたのだ


原田「で、何がさすがなんだ」


神田「あの五稜郭だが、表向きは旧幕府軍が落としたことになっている」

原田「表向きだと?裏があるのか」

乾 「あそこが、奴らの本陣です」

原田「奴らって、悪魔の事か」

百合「はい、五稜郭はサキュバの城になりつつあります」


どうして今まで気づかなかったのか

毎日見ていたつもりだが、怪しいやつの出入りは見たことがねえ

ただ、今日は妙に嫌な感じがしたが・・・


神田「サキュバは近頃大人しい、恐らく新政府軍の上陸に合わせて動く魂胆だろう」

原田「なんでだよ、彼奴あいつ能力ちからなら直ぐにでもやれるだろ」

神田「奴はいま能力の温存を図っている」

乾 「先の会津戦争では分身とはいえ片腕を落とされています。その再生に時間がかかっているのです」

原田「片腕って、斎藤が斬り落としたあれか」

乾 「はい」


心臓を刺した時、身体は既に本体へ移行を始めていたので大事に至らなかった

だが、その右腕は移行前に斎藤が落としていたからだ


原田「だったら、今が好機なんじゃねえのか。あいつをれる」

百合「私たちもそう考えたのですが、破れないのです結界を」


あの五稜郭の地形、五方の形が影響しているのか入り込むことが出来ない

しかし純粋な人間であれば行き来ができるという


原田「面倒だな。とにかく、皆に知らせねえと。お前たちはどうするんだ」


乾 「我らは貴殿にお仕えしたいと考えております」

原田「は?」


まさかそう言う答えが来るとは思っていなかった


神田「仕方がないから、お前のしもべになってやると言っているんだ」

百合「あの、実は私たち三人は先祖の代から玄武帝に仕えてきたんです。玄武帝に私たちの悪の部分を取り除いて生かしていただいたので」


原田「なんだそれ」


この羅刹天、羅刹女、迦楼羅カルラはもとはと言えば悪魔の種族だった

それが玄武帝によって改心させられたと言う

それ以来、玄武が目覚めた時には必ず力になるようにと言い伝えられて来た


何だかよく分からんが、あいつ等が仲間に加わった

土方さんは受け入れてくれるのか

瑠璃は百合が戻って来たって喜ぶんだろうが


取り敢えず、三人を連れて帰ることになった


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