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Time Trip to Another World 〜暁〜  作者: 蒼穹の使者
第三章 結〜蝦夷編〜
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第八十六話 やっぱり酔いますね

港に着き、乗せてもらう漁船主に謝礼金を渡す

商売を沖でするだけあって、そこそこ大きな船だった

でも、大阪から江戸に戻った時の戦艦とは違う

冬の波が高い、しかも北の海を渡る 揺れる事この上なかった


原田「瑠璃、何か喋れよ。黙ってると船酔いしてしまうぞ」

瑠璃「そうですね」


はぁ、もう時すでに遅しです

どうして皆はそう平気でいられるのですか?と聞きたい

人間と神の血が流れた者同士だというのに、何の差で私だけ・・・

聞くのも面倒臭いくらいだった


土方と斎藤は船の先端で、行く先を眺めている

原田と沖田は時折笑いながら話をしている

山崎は何か書物を読んでいた


瑠璃「うっ、ちょっと山崎くん止めてよ。なんで書物なんか読んでいるの。見ただけで吐きそ」

山崎「ん?もしかして船酔いか?」

瑠璃「・・・」


喋ると吐きそうだ、無言で遠くを見てごまかしてた

でも、遠くを見たところで景色は変わらない

波が上に行ったり下に行ったり・・・

いや私たちが上にいったり下に・・・

やめよう。目を瞑って寝てしまえばいい

目を瞑ってみた。


瑠璃「はっ、はぁ、はぁ・・・駄目だ」


目を瞑ると余計に上下する感覚が襲ってくる

誰が何と否定しようとも船酔いなのは間違いなかった


山崎「何か食べるか?」

瑠璃「食べる!?無理でしょ」

山崎「食べた方がいいと書いてある」

瑠璃「・・・むり」


何の本を読んでいたかと思えば、医学に関する本でしたか

山崎くんの勤勉さには頭が下がります


山崎「自分の気で何とか出来ないのですか?」

瑠璃「あっ・・・なるほど。そういう手がありましたね」


意識を集中させるため目を閉じた・・・うっ、気持ち悪い

目を閉じると駄目なので、手を合わせ気だけ集中・・・おぇ

集中が出来ないことに気が付きました


瑠璃「山崎くん」

山崎「はい」

瑠璃「駄目みたいです」


はぁ、と深くため息をついた山崎は瑠璃の背を擦った

何となくそうしてもらうと、少しだけ吐き気が和らぐ気がした


原田「瑠璃、お前まさか」

沖田「ははっ、おめでとう」

山崎「お二人とも、悪い冗談はやめてください!船酔いですよ」


まったくこの二人はろくな事を言わないんだから

でもまだ反論するほどの気力は戻っていない


斎藤「どうした、酔ったのか」


うん、と頷くのが精一杯だった 

俺が代わろうと言い、今度は一さんが背を擦ってくれた


土方「おい、船乗り換えるぞ!」


え、このタイミングで立つのですか!

乗り換えるのですか!

気合いでなんとかなるか? 深く深呼吸をした

船主にお礼を言い、新たに蝦夷の船に乗り換えた


斎藤「顔が蒼いな、いや白くなってきたが。吐くか?」

瑠璃「いえ、大丈夫です」

土方「瑠璃、吐いた方が楽になる。吐け」

沖田「そうだよ、朝の事は気にしなくていいから吐いたら?」

原田「おお、全部出しちまえ」

山崎「そうですよ、気にせずに。さぁ」


みんなで吐け、吐けって背を撫でてくれるけど・・・

私、吐けない人なんです!

吐けと言う圧力に屈することなく、蝦夷、そう函館に着いた


土方「どんんだけ意地っ張りなんだ、吐けばいいものを」

瑠璃「だから、私、吐きたくても吐けない性質たちなんですよっ」


陸だ、陸に上がれる 覚束ない足取りで函館に上陸した


瑠璃「あれっ、地面が揺れてるっ」


これは、まさかの陸酔おかよい ・・・もう、嫌だ

見兼ねた一さんが私を背負い、そのまま宿を探すことになった

何度目だろうか、一さんの背中は同じ揺れでも心地がいい


斎藤「瑠璃大丈夫か?もうすぐ着く」

瑠璃「・・・」

斎藤「瑠璃?」

沖田「一くん、寝てるみたい」


やっと船酔い、おか酔いから脱することができそうです

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