第八十一話 旅再開!久しぶりの宿泊
私たちは蝦夷(北海道)に渡るため、
陸奥(青森県)を目指すことになった
洋装に刀を差しては目立ち過ぎるという事になり
一旦、着物に着替えて移動する事にした
瑠璃「あの、結局目立っていませんか?私たち」
原田「そうか?」
私たちは十名、男性陣は言わずとも知れた男前だ
列をなして歩けば役者が来たと町民はざわついている
瑠璃「凄く見られているじゃないですか」
山崎「視線が、半端ないな。役者だと思われている」
どちらにしてもこの面子だもの、諦めるしかないか
土方「今日は宿に泊まる、今まで我慢してもらったからな。風呂もあるから久しぶりにゆっくりしてくれ」
大久保「ああ、皆ご苦労だったね」
藤堂「よっしゃ、風呂、飯、酒!」
永倉「おい、嵌め外すんじゃねえよ」
藤堂「分かってるよ、なあ瑠璃」
沖田「なんで瑠璃に振るの、おかしいでしょ」
島田「相変わらず、賑やかですね」
お宿に泊まれるなんて、嬉しい!
上げ膳据え膳でお風呂付きは寒くなってきた季節には
たまらなく有り難いご褒美です
斎藤「瑠璃、嬉しそうだな」
瑠璃「はい!お風呂久しぶりですもん」
斎藤「そうだな」
宿の女将さんは土方さんや左之さんを二度見した
顔が瞬時に紅くなって、過剰なまでに付き纏う
宿の案内をしてくれているのだけれど
女将「お嬢さんは宜しいですね、こんなお綺麗なお兄さん方と旅をされて。羨ましい限りです」
瑠璃「はは、そうですね」
女将さんの話は止まらない、私達は細かく宿の説明を受けた
土方さんの眉間が気になる、まだ大丈夫みたいだ
斎藤「どうした、先程から土方さんの顔ばかり見ているが」
瑠璃「だって、女将さんが離れないじゃないですか。ご機嫌大丈夫かなぁって思って」
斎藤「大丈夫だろ、土方さんは女性には優しい」
沖田「所謂、女好きってことかな?」
斎藤「総司!そう言う意味ではないっ」
この二人も本当に仲が良い
総司は一さんの事が大好きなんだよね
そして、ようやく部屋に通された
基本的に二、三人一部屋ですが、私だけ一部屋です
申し訳ないけれど、仕方がないということで甘えます
ここは魚料理が有名らしい
魚も久しぶり過ぎて気持ちが妙に高まります
瑠璃「美味しいぃ!これにビールがあったら最高だな」
藤堂「びいるって食いもんか?」
瑠璃「ビールは麦から作ったお酒の一種で、シュワシュワしてるの」
永倉「何だか分かんねえが旨そうなのは分かるぞ」
原田「本当かよ」
そんなことを話していると、頼んでもいないのに
芸者さんが入ってきた 女将さんの御好意らしい
気のせいか皆鼻の下が伸びているような
いつの時代も男の人は酒と女があればご機嫌なんだな
私はお呼びではないようなので
瑠璃「私、先にお風呂いただいてきます。ごゆっくり」
芸者のしなだれ掛かるように寄添う姿
お酌するときの顔の近さ、上目遣い、香袋の匂い
しなやかな指使い、そして妖艶な笑み
完敗・・・
気にするな彼女たちはプロなんだ!仕事なんだ!
・・・でも、イライラする はぁ・・・
勝負をした覚えはないが、負けた気持ちは隠せなかった




