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Time Trip to Another World 〜暁〜  作者: 蒼穹の使者
第二章 転~江戸・会津編~
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第七十九話 会津戦争終結

原田の槍が地を這うように飛び

サキュバの心臓に 刺さった


サキュバ「ははははは!まさか、ここまで私を追い込むとは。四神獣が目覚めたか・・・」


サキュバの身体が徐々に透き通り

フッ、と消えた

ザスッ… 其処に原田の槍だけが残されていた


原田「消えた・・・」

土方「どうなってるんだ」


斎藤が斬り落とした腕は灰になっている

確かにサキュバは存在していた

間違い無く原田の槍は心臓に刺さった、筈だった


沖田「くそっ!」

斎藤「・・・」


辺りを見回すと、その面影は無く

ただ、白虎隊隊士の亡骸だけが横たわっていた


「あれは分身だ」


土方「誰だっ!・・・お前は神田?」


そこに、神田、乾そして真田が立っていた


神田「遅かったか、白虎隊も壊滅か」

乾 「我々はサキュバについて調べていましたが、これまで姿を表した者は全て奴の分身だったのです」

原田「分身だと!?」

乾 「はい、本体は北の大地蝦夷に向かっています。ちょうど幕軍の榎本武揚が四隻の艦隊を率いて蝦夷に向けて経ちました。彼は蝦夷共和国を作り、明治政府に対抗しようとしています」

神田「その乱戦に便乗して奴は動いてくる」

土方「俺たちは分身と戦っていたのかっ!くそっ!」

斎藤「分身であれだけ強いとなると、本物は・・・」

沖田「想像がつかないよね、笑っちゃうよ」


会津で終わらせたかった

これまで沢山の人たちが夢魔となり灰になった

それがとても悲しかった


真田「瑠璃さん・・・」

瑠璃「百合ちゃん、死ななくていい人たちが死んでしまった。もっと早く走れたら、あと少しだったのに死なせてしまった」


百合がそっと瑠璃の背を撫でる

瑠璃の所為ではない、そう伝えたかった


真田「私の両親がサキュバに捕まらなければ、こんな事にはならなかったのに。瑠璃さんごめんなさい」

瑠璃「どうして百合ちゃんが謝るの?百合ちゃんは被害者だよ」


二人は泣いた

瑠璃は白虎隊を救えなかった悲しみで

百合は自分に流れる血が悪魔を手助けしている事に


城下では薩摩率いる新政府軍が会津若松を攻めたて

会津藩、松平容保は降伏し九月下旬、会津戦争は終結した



神田「土方、お前たちはどうするつもりだ」

土方「ふんっ、勿論行くさ!蝦夷に!」


新選組はサキュバを追って、蝦夷を目指すと決めた


瑠璃「土方さん、左之さんも怪我してるじゃないですか」

土方「あ?こんなの怪我のうちに入らねえよ」

原田「ああ、つば付けときゃ治るって」


土方は右腿、原田は脇腹に血痕があった

弾がかすったのかもしれない


瑠璃「駄目です、見せて下さい」


瑠璃は二人の傷を治す、その横顔がとても切かなった


土方「瑠璃・・・」

瑠璃「二人とも、刀を振るうのに夢中になり過ぎですよ?結界ぐらい張って下さい。忘れちゃったんですか?」

原田「・・・悪りい」


もう誰も傷ついて欲しくない

誰も死んでほしくない

戦いを続ける限りはその願いは無理なのだろう


せめて、自分の大切な人たちだけは守り抜きたい

心の中で強く誓った



斎藤「もうすぐ瑠璃の苦手な冬が来るな」

瑠璃「そうですね、蝦夷は京の冬より寒いですよね」

斎藤「ああ」


斎藤はゆっくりと瑠璃の手を取る

見上げれば西の空が紅く燃えていた


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