第七十四話 資金の出処と刻限について(ちょっと休憩)
少し疑問に思うことがあるので思いきって聞いてみます!
瑠璃「左之さん」
原田「おう、瑠璃どうした」
瑠璃「あの、私たちはずっと旅をしている状態ですよね」
原田「まあ、そうだな。それがどうした、辛いのか?」
瑠璃「いえ、そうではなくて。お金はどうしてるのかなって。稼ぎがないのに、宿代とか諸々はどうしてるのかなぁと」
原田「ああ確かにな。それぞれ京に居た時の給金の貯えは多少はあるが、そういや最近は一銭も出してねえな」
瑠璃「ですよね。まさか無賃宿泊とか食い逃げとかしてないですよね」
原田「けど、土方さんと山崎がよく勘定してるぜ。土方さんが知ってるんじゃねえのか?」
瑠璃「なるほど、気になるので聞いてみます」
という訳で私は土方さんに聞いてみることにした
山崎くんは口が固いのできっと教えてくれないと思ったから
瑠璃「土方さん、今いいですか」
土方「あ?どうかしたのか」
瑠璃「変な質問してもいいですか」
土方「なんだ」
わっ!一瞬にして眉間に皺がよっている
瑠璃「そんなに構えないでください。あの私たちの活動資金ってどうしているんですか?」
土方「なんだそんな事気にしてたのか。お前が心配する事じゃねえよ」
瑠璃「気になりますよ、変なお金じゃないかとか無銭飲食してるんじゃないかとか」
土方「阿呆、んなわけあるかっ!」
瑠璃「だって・・・」
土方「ったく、あいつが定期的に送ってくるんだよ」
瑠璃「あいつ?」
土方「ちっ、俺たちの莫迦親父だよ」
瑠璃「え・・・」
そういう事ですか、じゃあ気兼ねしなくていいんだ
結構、都合の良い話しだけれどお金は必要だものね
瑠璃「じゃあ、もう一ついいですか」
土方「まだあるのか」
瑠璃「皆さん時間をどうやって把握してるんですか」
土方「時間?」
瑠璃「はい、えっと。刻限の事です。私いまいち時の流れが掴めなくて・・・一刻って何分ですか」
土方「何分・・・」
沖田「土方さん、あれ見せてあげたらどうです?瑠璃なら読めるんじゃないですか?」
土方「総司おまえ、いつからそこに居る」
瑠璃「あれって何ですか?」
土方「これだよ」
ジャラっと音がしたかと思ったらなんと
瑠璃「懐中時計だ!」
土方「知ってるのか」
沖田「ほら、ね」
瑠璃「知ってるも何も、私が育った時代では時計は欠かせないものでしたよ!でも、こんなアンティークな物ではなかったですけどね」
土方「アン、アンテ?」
瑠璃「文字がローマ数字だぁ、かっこいい!これネジ式ですよね?時計マニアが見たらヨダレたらしますよ」
土方「・・・すまん、言ってる事の半分も分からねえ」
沖田「ぶっ、ふはは。瑠璃、未来の言葉じゃ分からないよ。見て土方さん、目が点なんだけどっ。ははっ」
瑠璃「すみません、興奮してしまって。えっと、この針が何処に行ったら一刻なんですか?今は朝の九時見たいですけど」
土方「・・・」
沖田「・・・」
瑠璃「え、まさか時計が読めないとか・・・あはは。まさか、ね?」
その後、二人は黙りで土方さんが無言でその時計を差し出してきた
どうも私に譲ってくださるらしい
瑠璃「いいんですか?私が持っていても」
土方「いいから黙って持っていけ」
後味は悪いけど有り難くいただく事にした
瑠璃「一さん、今から一刻が過ぎたら教えてください」
斎藤「構わんが、何かあるのか?」
瑠璃「いえ、ただ一刻の感覚が知りたいので」
斎藤「そうか」
そして遂に私は知ることが出来た
一刻は約二時間だということを!




