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Time Trip to Another World 〜暁〜  作者: 蒼穹の使者
第一章 起承~京都・大阪編〜
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第七話 潜入捜査?

ある日、私は考えていた。

そろそろ新選組が動き出す時期だと。

 

「池田屋だよ。四国屋じゃなくて池田屋・・・池田屋」

「瑠璃くん。何をさっきからぶつぶつ言っているのですか」

「きゃっ、山崎くん。気配消して近寄らないでください」

「す、すまない」

「あの、つかぬ事をお伺いしますけど」

「なんだ」

「観察組は今、四国屋と池田屋を張っていますよね」

「なっ!それをどこから聞いた!」

 

そう言って、山崎は空いた部屋へ瑠璃を引きずり込んだ。

 

「聞いたのではなくて、知っているんです。歴史として有名な事件ですから」

「そ、そうか・・・」

「でも、それが絶対に正しいかは分からないですけど。でもほぼ間違い はないと思うんです」

「ではどちらで・・・」

「池田屋でした。恐らく山崎くんもそう思っているんでしょ?でも期日 が分からない。それに、四国屋の情報も信憑性があって少し迷ってい ますよね」

「その通りだ」

「残念なことに、私は歴史を専攻していなかったので期日までは覚えて いないんです。すみません」

「いや、君が謝ることではない。こちらの時代の問題ですから。まずは 副長に報告を。君も一緒に来てくれ。」

「えっ、私も!?」

 

土方さんに報告しなけらば事は運ばない。

土方さんの部屋かぁ…少し、気まずい。

 

さすが山崎くんは優秀な監察だ、分かりやすく簡潔に報告をしていく。

土方さんも腕組みしたまま黙って耳を傾け、眉間の皺を濃くしたり薄くしたりと大忙しだ。

 

「そうか、だいたい分かった。で、その期日が問題だななにか調べる手立てはあるか?」

「実は中心核の一人が頻繁に”島原”に出入りしているようです」

「なるほどな。で、どうやって探るか太夫に信用できるやつなんていねえしな」

 

土方は一通り部屋を見渡し、最後に瑠璃の方を見て止まった。

にやりと口角を上げる。それに山崎が気づく。


「副長、もしや」

「あぁ、それしか思いつかねぇな。他に案があるか?」

「・・・いえ」

「山崎、いつからがいいか、そいつの準備を進めてくれ」

「御意」

 

そういうと、忍者のように消えた。山崎君、早っ!

そして、私はどうしたらいいのでしょう。

土方さんの筆を滑らす音だけが聞こえる。

 

「私はこれで失礼します」

「おまえに頼みがある。聞いてくれるか?」

「え、はい。どのような」

「話は聞いていたと思うが、島原に入って正確な期日を探らなければならねえんだ。だが、手荒な真似をしても吐いたりしないだろう。世間を知らねえ舞妓か芸子の前なら酒の勢いで漏らす可能性がある」

「なるほど、そうですね。彼女たちなら接近できますしね。盗み聞きもできそうですもんね」

「じゃあ頼んだぞ」

「へっ?どういう意味でしょう?」

「ばか、お前は本当に鈍感だな。その舞っ、いや芸子をお前に頼みてえんだが」

「(舞妓って言いかけてなんで変えたの?)舞妓じゃなくて芸子に扮して聞き出せばいいんですね!」

「っ、ああ。そういうことだ。段取りは山崎の方から改めて話す」

「はい、承知いたしました」


(舞妓=12~19歳までのピチピチ女子、芸子=20を過ぎたお姉さん)


その後、幹部が招集され。

斯く斯く云々、潜入作戦会議が行われた。

瑠璃にやらせるなんて、そりゃ危ねえだろ!とか言うのを少し期待していましたが、百合ちゃんを入れるよりは絶対にイイ!

とかなんとか言って逆に期待されてしまいました。

仕方がないです。それなりに強いですから、私。

 

「しかし副長、瑠璃だけを潜らせるのは危険だと思いますが」


一さん、ありがとう。そうですよ、そうですよね。

 

「ああ、その辺は俺も同じ考えだ。まず、身支度世話役を山崎。それから斉藤と総司には客を装うってもらう。近くの部屋で原田が待機してくれ。新八と平助は屯所警護だ」


「ちょ、土方さん、なんで俺たちは屯所警護なんだ」

「平助くんいい?お酒の席で箍がはずれないのは僕と一くん。左之さんは臨機応変に対応可能な人。君たち二人はお酒が少しでも入ったら止 まらないでしょ?それに、屯所を幹部全員が抜けたらそれこそ大問題 だよ」

「ちっ、分かったよ」

「これに新選組の明暗が掛かっている。皆気を引きしめてくれ!」

「おう!「はい!」

 

明日の晩から潜入捜査がはじまる。

芸子の真似事なんぞ私にできるのだろうか。

それについては誰も気づいていないようだった。

 

「瑠璃」

「あっ、一さん」

「少し危険な事をさせてしまうが案ずるな俺たちが必ず守る。瑠璃に汚い指は触れさせぬ故」

「ありがとうございます。でも、ちょっと」

「どうした。なにか不安でもあるのか」

「芸子って、何をする人でしょうか」

「・・・は」

 

一さんが固まってしまった。

そうですよね、ここまで来てまさかの展開ですよね。

というわけで、明日からの潜入を急きょ本日午後から芸子修行へ放り込まれる事になった。

さて、一晩で芸子は仕上がるのでしょうか。


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