第六十二話 動き始めた悪魔の手
土方らは新政府軍の進軍を前に連日話合いに暮れた
二月中旬、新政府軍が江戸に入る
下旬までに木戸と薩摩藩、旧幕府軍から勝海舟が会合を持つ
ここでの問題は妙に大人しい夢魔部隊だ
大阪では夢魔部隊に異国の軍人も混じっていた
イギリスからの薬、やはり阿片だった
これと夢魔が絡んでいるかは不明だ
そして会津にいるらしい西郷隆盛
何度か書状を送っているが、返事はない
土方「俺たちは八名だ、いくら得体の知れない力を持っていようとも夢魔を大量に放り込まれたら厳しいもんがある」
原田「彰義隊が江戸の治安維持に動いているらしい。最近じゃ隊士の数が千を超えたらしい」
永倉「まさか新政府軍とやり合う気じゃないだろうな。土方さん、会津の方はどうなんだ」
土方「まだ、返事はない」
斎藤「やはり西郷隆盛は会津に」
土方「返事がねえってことは、そう言う事だろう」
沖田「優先順位をつけないと、初めから二手に分けたんじゃどっちも潰されかねないからね」
藤堂「そうだよな、やっぱ新政府軍の進軍だよな」
土方「今のところそうなるな。もし、会津の重要度が増した時には斎藤、総司、新八に先に行ってもう。いいな!」
三人「はい」
土方「瑠璃、何か意見はないか」
瑠璃「いえ、戦の事は分からないので皆に従います」
そこへ遅れて山崎が戻ってきた
山崎「木戸孝允殿からです」
山崎は木戸からの文を渡す
土方「なんだと!くそっ、池田屋事件の罪を俺たち新選組に被せてきやがった」
原田「池田屋事件!?何だって今頃その話が出るんだ」
土方「池田屋での会合をしていたものは倒幕派ではなかったとう内容で、元新選組に全国手配が掛かったと書いてある」
全員「何だって!!」
ここに来て、まさか池田屋事件がぶり返されるとは
幕府の命で動いた新選組が新政府軍から罪に問われているのだ
土方「ちっ、流れが変われば正義も悪もあっという間にひっくり返っちまう」
永倉「顔が割れちまってるからな、動き難いな」
斎藤「恐らくそれが目的だろう」
沖田「要は僕たちの邪魔をしたいだけって事でしょ」
原田「てことは、薩摩や長州の企みと言うより裏でアイツが動いているって事だろう」
藤堂「サキュバ、か」
瑠璃「卑怯だよ」
ここに来て、池田屋事件の罪を被せられるとは
確かに、あの時点までは歴史に沿っていた
それが思わぬ形で修正されるとは
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「全国に例の件、御触れを出しました」
「そうですか、ご苦労様でした」
「これで新選組が捕まるのでしょうか」
「いえ、こんな事で彼らが捕まるとは思いませんがね、ただあの人物さえ捕らえることが出来れば」
「近藤勇ですか」
「ははは、なかなか頭が切れますね。彼らの最大の弱みですよ。あれを使えば身動きが出来なくなりますから。早急に頼みましたよ」
「はっ!」
(さて、新選組はこれで良いとして西郷隆盛はどうしましょうか。何処にお隠れか?ふはははは、面白くなってきましたね)
薩摩藩が所轄している屋敷である
ここにあの黒服の男はいた、サキュバだ
表向きは大久保利通が仕切り、倒幕へ向けて動いている
その裏でサキュバが動いているのだ
サキュバの存在を知っているのは一部の人間のみ
大久保利通ですら知らないのだ
たが、西郷隆盛は知っているのだろう
倒幕の影に潜み、日本を悪魔の国に変えようと企むサキュバ
日本を拠点に世界征服をも成し遂げようとしている
何故、日本が最初なのか
この国だけが神の力が自分に及ばないと知っているからだ
サキュバの魔の手が近藤の身に及ぼうとしていた




